227話 天上要塞脱出後
「はっ! ここは……」
目が覚めた時、俺はアジトのベッドの上に居た。
添い寝をするような形でルーネが寝ている。
横のベッドではネビアも寝ている。
「ネビア……」
「気が付いたかねフィアン君。本当は私が添い寝をしたかったんだがね。小娘に場所を盗られてしまったのだよ」
「ルーネ……有難うな横で寝てくれて……!」
俺は寝ているルーネの頭を撫でた。
「俺が気絶してからどの位経ったんだ?」
「二日程だね」
「二日も……大天使や天上要塞はどうなったんだ……?」
「ふむ。説明すべきことは沢山あるだろうが、それは食事でもとりながら話そうじゃないか」
「そうだな……お腹空いたよ」
俺はネビアのめくれた布団を整え、部屋を出た。
「あ! フィアーン! よかったああ、壊れちゃったかと思ったよ☆」
「やっと起きてきたか。寝過ぎだ」
アリシアとヴィスターンは元気そうだ。
ただ、ガイアとジャックの姿は見えない。
「心配を掛けたな! 所で、ガイアとジャックは……?」
「……」
一瞬変な間が流れたが、すぐにレッドが口を開いた。
「さてフィアン君。まずは今回の結果を言おう」
「天上要塞から聖母を救出と言う作戦は大成功だ。これは喜ぶべき事だろう!」
「だが、皆意識が朦朧としており、万全の状態では無い。皆中央都市の病院で治療を受けている」
「中央都市病院での治療はあてにならない!」
ヴィスターンが突然机を叩き、声を荒げた。
「……ヴィスターンの言う通りだ。現状だとしっかりとした治療方法が分からない。それは何としても探さなければいけない表題の一つである」
「レッド……何故そんなに冷静でいられる! お前の妹だって! ……ちっ!」
ヴィスターンはそのままその場を出て行ってしまった。
「アリシア、ヴィスターンについてあげてくれまいか」
「はーい☆」
そう言ってアリシアもヴィスの後を追ってその場を後にした。
「ヴィス……大丈夫かな」
「ヴィスの気持ちは痛く分かっているつもりだよ。私の妹も同じような状況だ。だが、嘆いていても仕方あるまい。方法を模索しなければならないのだ」
「ああ、俺も手伝えることがあったら何でも言ってくれ」
「ありがとう。心強いよ」
「その手伝い、僕にもさせて頂けませんか」
「ネビア! もう大丈夫なのか?」
「おはようネビア君こちらに座りたまえ」
ネビアはまだ本調子ではなさそうだ。それと、何となく余所余所しい感じになってるな……。
「フィアン! 本当に迷惑を掛けました! 本当にごめんなさい……!」
「迷惑って……?」
「僕が操られたせいでフィアンも死に掛けて……僕は……何も知らないで……!」
俺はネビアのほっぺを軽くつねった。
「……フィアン?」
「それは俺も同じだよ。ネビアがどれだけ大変だったか、何もしらなかった。お互い融合したから状況は理解してるだろ? ネビアが謝る事なんてないし、むしろ謝るのは俺の方だよ」
「いや、最終的には僕はフィアンに危害を加えたんです!」
「そんなもん、状況が違えば、逆だったかもしれないだろう? 気にすんなって! やっとこれからまた二人で行動が出来るじゃねーか、すげー嬉しいよ!」
「フィアン……!」
「兄弟と言うものは本当に素晴らしいっ!」
レッドが俺たちの間に入ってきて、肩を組んできた。
「おい、何でお前が間に入ってくるんだよ!」
二人でレッドをすぐさま押し退けた。
「ああ……冷たい子だ……」
「とにかくネビア、これからも宜しく!」
「こちらこそです!」
俺とネビアは握手を交わした。やっとまた一緒にいられるのか。いやしかし……元は天上要塞兵のネビアをガイアが許してくれるのか……?
「レッド、話を勝手に進めてしまったけど、ネビアはここにいていいのか……?」
「私は構わないが? とにかく話の続きと行こうか」
3人でテーブルにつき、改めて話を始めた。