220話 二度目のフィアンvsネビア
「ネビア、目を覚ませ! 俺だよ!」
~~ロックウォールx5
~~チェーンシャドウ
シャドウスピアーに形状形態変化、移動術式闇の鎖で相手を束縛する。
「なっ!! 早い……!」
ネビアの即時詠唱はさらに磨きがかかっていた。ネビアは以前よりダークライトペイントになっており、魔方陣生成が非常に見にくいのである。
一瞬で全方位をロックウォールで囲まれた後、チェーンシャドウで束縛された。
そして、俺の頭上で魔方陣が凄い速度で描かれている。
「おいおい、これは……!」
~~スチーム・エクスプロージョン!!
「――くッ!!」
岩壁の中で大爆発が起こり、壁が全壊すると同時にフィアンは吹き飛んだ。魔装魂は限界まで強度を高めたが、ダメージは大きい。
「フィ、フィアンさん!!」
――ヒーリングライトx3
「ダメだ……天力はほぼ尽きちまってるし、そんな中ネビアなんてどう考えても勝てない……というか、戦えない……」
フィアンは現状を瞬時に把握し、ほぼ半分諦め状態となっていた。
「フィアンさん……! 嫌です! そのまま諦めるなんてルーネが許しませんっ!」
「ルーネ……」
「きっと方法があるはずです! だから……」
涙目になるルーネを見て、俺は我に返った。
「ルーネ、ありがとう。そうだよな! とりあえず一発ぶん殴ったら治るかもしれねえ! とにかく、その姿はあぶねーから小さくなっとけ!」
「はぃっ!」
こういう切り替えは俺は早い方なのだろう。このまま話をしたら後ろから攻撃を受けてしまうってのもあるけど、何とか立ち直れた。
とにかく一発……ぶったたくぞ!
「ふう……速攻で決めるしかないな」
フィアンは、残りの力を振り絞った。
――天衣・極光刃!!
~~天衣・冥闇陣
それをみたネビアはすぐさま自身も天衣を纏った。
「やっぱちゃんと纏うよな……!」
~~シャドウコピー
自身の分身を作り出す。攻撃されるとその場で消滅する。
「まじかよ、ヴィスターンが使ってたシャドウコピーか……!」
ネビアは3人に増え、それぞれが魔方陣を描き始めた。
~~アブソリュートシャドウ
シャドウボールに形状形態変化し、シャドウボールが消失すると同時に辺りを吸引する
~~シャドウスパイク
シャドウスピアに形態、形状変化、状況によって移動術式を追加
~~エクスプロージョンピラー
ファイヤピラーに形状、形態変化、場合によって移動術式を追加
「くっ!!」
咄嗟にネビアの方に寄ろうとしたが間に合わず、アブソリュートシャドウに吸引されてしまった。
――天装・光刃壁!
吸引された瞬間、地面からシャドウスパイクとエクスプロージョンピラーが発生した。
フィアンは咄嗟に地面に防御膜を展開し、攻撃を防いだ。
だが、衝撃はそのまま上へと延びていたことから、フィアンは空中へと投げ出された。
その際、シャドウコピーが二人消滅していた。よくわからないが、魔法を詠唱した後すぐ消えたようだ。
とにかく、本物一人になったのが分かったフィアンはすぐさま行動した。
――エアータッチ(天衣)
天力にて空気に触れた闘気を空気中に定着させ足場を作る。
――ビートスタンプ
闘気を溜め、垂直に武器を振り下ろす。武器とその周辺の大気を大きく振動させ相手を怯ませる。
「……!」
フィアンの天衣状態での移動速度は恐ろしく早くなっている。
空中に吹き飛ばされた後瞬時に移動し、ビートスタンプを叩き込んだ。
「目を覚ませ!!」
ネビアが怯んだ隙に俺は一発拳でぶん殴った。
――バキッ!
結構な威力だった為、ネビアは大きく吹き飛んでいった。
「……」
ネビアはすっと立ち上がり、以前無表情である。
「漫画みてえに、こんなので意識は戻らないか……」
(どうすればいい……まじで倒すしか方法はないのか……?)
「そういや、テーネはどうなってるんだ……?」
「本来、契約者を経緯して自由に移動するのが精霊ですが、あの状態では契約者としての条件が満たされてないのかもしれません。何か大きな力で出現できないのかもしれないですっ!」
「なるほど……テーネに何とかしてもらうってのも無理そうだな……」
フィアンは迷いながらも再度剣を構えた。天衣で居られる時間ももう残されていない……。




