214話 ガイアvs五光星
「皆、うまく潜入出来ている良いのだが……」
転送後、デバシーの電波が届かなくなったことにいち早く気がついたのはレッドであった。
念の為にアリシアが生成した魔方陣の上で待機し、続報を待つレッド……その姿を見ているジャックは無表情で何を考えているのかわからない。
「ところで……ジャックよ」
「どうしましたかレッドさん」
「君はどこまで関与しているのだね……?」
「はて、何のことでしょう?」
無表情を貫くジャックに対してレッドは話をつづけた。
「私が気がついていないとでも思っていたのかね? 返答次第ではただですまないと思いたまえ」
「……」
「私は君といる時間が長い。デバシーの事に関してもかなり詳しくなったつもりなのだが?」
「……」
「フィアンに送ったあのメールはどういう意味かね? 答えてたまえ」
ジャックは自身のデバシーに目をやった。すると、スワイプした先の右上の方に二つのデバシーがリンクしているようなアイコンが出ていた。
「画面共有モードがオンに……」
「その通り。共有モードを通して、最近の動きは全て見させてもらったのだよ。流石にセキュリティのかかったメール……宛先は見られたが、内容などは見る事は出来なかったがね……だが、フィアンに送るメールは焦っていたのか? セキュリティが掛かっていなかったのだよ」
ジャックは驚きの表情を隠せないようだったが、その後軽く鼻で笑った。
「ふふ……参りましたね。まさかこの高度な機械の事を現地人が、そこまで使いこなせるとは恐れ入りました」
「さて、洗いざらい話してもらおうかね。君は何を企んでいるのだ? 君は、私達の味方なのか……?」
・・・
・・
・
(アイレイン)~~天級魔法:幻影ノ水
自身の分身を作り出す。攻撃されると水に戻る。
(レア)~~天級魔法:幻影ノ土
自身の分身を作り出す。攻撃されると土に戻る。
(アイレイン)~~アイスウォール
(レア)~~ロックスピアx3
「なかなかやりおる!!」
高位天族、五光星レベルの魔法使いとなると、光球を飛ばして詠唱する[ホーリーライトペイント]を使用できる者が大半である。
アイレイン、レアはそれぞれ光球を5つ操作する事が出来、それを用いて魔法を即時詠唱しガイアを翻弄した。
――閃光脚!
――グランドスマッシュ!!
ガイアが攻撃を放つごとに大気と地面が揺れ、とてつもない衝撃が走る。
「アイレイン、あれに当たったらあたしたちは終わりよ!」
「分かっているわ。奴を近づけさせない」
「ふうむ。どれが本物かさっぱり分らんわ。幻影系魔法……厄介だな!」
かなり広い場所な上に、幻影で二人がかなりの数に増えており、それが散り散りに散開している。
その上、魔力の感知に特化していないガイアには全て同じに見えてしまい、どれが本物かを見つけることができない。
また、それぞれがしっかりと魔法を放って来る為、四方八方から魔法が飛んでくる状況である。
(レア)~~ロックスピア
(アイレイン)~~アイススピア
「ふん!」
――ロックウォール!
ガイアはロックウォールを瞬時に放てる腕輪の魔装具を装着している。腕輪を片方の手で押さえながら、拳を地面に叩きつけた際に発動する事が出来るが……
――ザンッ!!
「ぬう。やはり天力を帯びた魔法は一切防ぐことは出来ぬか!」
「魔装具なんて天力にかかればゴミも当然よ!」
天力は幅広い使い方が出来る。天力を用いなければ発動できない天級魔法だけではなく、上級や中級魔法に天力を混ぜることで、威力の上限を大幅に上げる事が可能である。
ロックウォールにも勿論、魔力を込められる最大値が存在する。ガイアはその上限いっぱいを魔装具に込める事が出来るが、その上に天力まで込めてしまうと腕輪が壊れてしまう為、天力は込めていない。
天力で上限を解放された魔法に対しては、天力を含まない防御技など、無いに等しいのである。
――ビートスタンプ!
――ブーストスラッシュ(拳)!
「一向に減らぬな」
「そのまま疲弊してしまえ! 本体を見つけられないまま貴方はしぬのよ!」
「ぬう……」
現状お互い天衣は纏っていない。ガイア達は潜入する前に最大限まで天力をため込んで来たのだ。向こうも天衣がないまま天力を使用していることから、天力をしっかりためてきたのだろう。
死ぬほど疲弊してしまう、天衣を纏うのは最終手段であり、早めに使用するべきではない。
しかし……
(このままでは埒が明かんな……)
「仕方がない。使うとしよう!」
ガイアは両拳を胸のあたりで重ね、力を貯めた
「!? 天衣が来るわ! 私達も準備よ!」
「わかっているわ」




