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(完結済)異世界に転生したら俺が二人になってた。  作者: TOYA
第7章 堕天使と天上要塞兵編
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209話 侵入直前

「おお、こっから入るのか」

「そうだよ。フィアンは一度入っているはずだが?」

「ああ、覚えているよ。ここでお前に殺されかけたからな……」

「ふん。人のペットの中に勝手に入るからだ」

「いや! 入りたくて入ってねーよ! いきなりだからな?」

「ほら、二人とも喧嘩などしてないで、さっさと入りたまえ」


 レッドに諭され、入場したのはシャドウディメンションの中だ。まさか自分からもう一度こいつに入る時が来るとはな……


「てか、こんな巨大なシャドウが歩いていたら、凄く目立つんじゃないのか?」

「大丈夫さ。こいつは出入り口である口とその周辺しか視認出来ないよ」

「なんで? じゃぁ今居るここはなんなんだよ……!」

「ざっくりいうと、他の場所にこの部分は転送しているようなのだよ。多分だが、ここはこいつ自身が作り出した世界? とでもいうべきなのだろう」

「ふーん……よく分からないな」

「フィアン君。多分デバシーの次元倉庫の様な原理さ。私達はこいつを巨大なシャドウと思っているが、実はそうでもないのかも知れないね」

「あー。なんとなくそんな気もするよね。どっちにせよ、こんなシャドウをペットにするとか、ヴィスすげえな……」

「そうだろう?」


 ヴィスは少し得意げにしている。


「よし、全員入ったようだね。ヴィス、指定の地点まで移動するよう命令してくれ」

「わかっているさ」


 ヴィスはシャドウディメンションの壁に手をあて、何かを話している。

 すると、地面が揺れ、体感で移動しているのがわかった。


「ここ、落ち着かないですっ」

「そうだよな……トラウマのある場所だしな」

「あの時は大変でしたねー」


 そんな昔話をしつつ、俺達は所定の位置へと移動した。

 辺りはもう日が落ちて、少し薄暗くなっている。


「そういえばガイアは?」

「ガイアなら最終調整に入っている所だろう。五光星達を葬る為にね」

「フィアン、ガイアの心配は要らないさ。それよりお前はアリシアと甲羅の場所に着いて、仕事を果たせよ?」

「わかってまーす☆」

「そうだな……」

「君達二人がこの作戦の要だ。しっかりと仕事を果たしてくれたまえ」

「とりあえず、ここに帰還用のシャドウ出しとくね☆」


――サモン:シャドウウォーカー


 そういうとアリシアはシャドウウォーカーをこの場に召喚した。この作戦は体力の底が無く、シャドウウォークが完璧な俺と、スイッチゲートが使える、アリシアの二人で先に潜入する。

 その後、目指すべき甲羅型のエリアでスイッチゲートを召喚し、後で全員を呼ぶ作戦だ。


「さって、フィアン君! ぼくの魔力がなくなる前にさっさと侵入しちゃおう☆」

「おっけー! 俺も準備は出来ている!」


 凄く便利なアリシアの召喚魔法だが、もちろんデメリットはある。

 まず、召喚したシャドウが残っている間は少しづつではあるが、自身の魔力が減っていく。もちろん召喚の数やシャドウランクが増えれば増える程魔力の消費は上がっていく。

 そして、スイッチゲートを使用する場合は、必ずウォーカー以上のシャドウが必須となり、頭数分用意しなければならない。

 本来なら今、ウォーカーを二体出して、何かあった時に二人とも脱出できればいいんだけど、入ってからどれだけ魔力を使用するかわからない。少しでも消費を抑えておきたい為に一体にしている状況だ。

 つまり、何かトラブルがあったら俺は一巻の終わりって訳だ。

 といっても、この役割になったのは俺が強く希望したからだ。ヴィスがこの役になって、ネビアと対峙した時、あいつは容赦しないだろうからな……。

 ネビアとは戦いたくない。俺ならそれが出来るはずだ……。


「てか、アリシアはシャドウウォーク出来るのか?」

「え? 出来ないからこうやって行くんだよ☆」


 そういうとアリシアは俺の背中へとダイブしてきた。流石に女の子と言った所だろうか……ネビアよりは軽いな。

 ルーネが少し不貞腐れてる気もするが今は気づかないふりをしよう……。


「……まじ?」

「いつだって真剣だし、これも作戦のうちだよ? フィアン君」

「えへへー! フィアン君の背中……綺麗だねー☆」

「いだだだだ! 何引掻いてるの!?」


 アリシアは白いコートの首を通す所を思いっきり引っ張り、背中を引掻いてきた。


「え? 血が出るかなーって☆」

「いや出るにきまってるだろう! あほなのか!?」


――ヒーリングライト


 俺はアリシアを一旦落とし、ヒーリングライトで引掻き傷を治した。


「この治っていくのが気持ち悪くて可愛いよねー☆」

「アリシアちゃん……侵入後は引掻かないでね……」

「はーい☆」


 最近こういった狂気的な部分は見ていなかったが、やっぱりこいつはおかしい……。


「あ、ヴィス? やっぱりお前行く?」

「絶対に断る」


 俺がこの役割を立候補した時に心なしかヴィスが喜んでいるように見えたのはこういった理由もあるのだろうか……。

 とにかく、頑張ろう! こいつの存在が非常に不安だけどな……。

 なんやかんやでアリシアとしっかり組むのは初めてだ。

 ヴィスターンがよく組まされるようで、その愚痴をダンジョン内でよく聞いたものだ。

 大げさだと聞き流していたが、本当にきつそうだな……。


「よし、では飛ばすぞ? フィアンとアリシアよ」


 レッドは大精霊と共にこちらを見ている。魔方陣の生成ももうすぐ終わるようだ。


「おう。しっかりと遂行してくるよ」

「頑張ってくるねー☆」

「では行くぞ!」


 俺達は魔方陣の上に乗り、光に包み込まれていった。

 アリシアを背中に乗せた状態で……。

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