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20話 試練無き日々

 一息ついた後、俺たちは皆で自宅の方へ戻ることにした。アルネさんが久々に私の家に帰れるぞい! って言っていたが、その家というのが俺たちが借りている家だったことには驚いた。


「50年も無断であけていたらからしょうがないのう……まぁ様子だけ見て私はさっきの家に戻るつもりじゃったからいいんじゃがの!」


 そんな事を言っていたが、少し寂しそうな顔をしていたような気がした。

 また、シャドウナイトを倒したことによって、辺りの瘴気が消えるんじゃないか? というゼブパーティの予測は外れてしまった。今の村の外は瘴気で変わらず満ち溢れている。

 ただ、シャドウナイト付近の恐ろしく濃い瘴気は薄まったので、まったくの無駄ではなかったようだ。しかし、その事象を参考にしつつ、次の調査を行うそうだ。

 ……さて、あれから3日程経つが、未だに次の試練通達が来ない。アルネさんは大体クリアと同時に次の試練を貰っていたそうで、これは異例だそうな……。

 もしかして堕天使の子供だからお断り! とかなってしまったのか!? ……そういえば、天族になれば寿命が大幅に伸びるといっていたけど、堕天したらどうなるんだろうか。

 父さんの話を聞いてからさらに謎が増えたな。本当に分からない事だらけだ。そんな考え事をしながら朝食を食べていた。


「ところでフィアンや、シャドウナイトから奪い取ったという剣……一度しっかりと見せてはくれんかの」

「いいよ! アルネさん。ただ気をつけて。布でぐるぐる巻きにしてても闘気がかなり持っていかれるから……」

「なに、私も闘気はかなり高いつもりじゃよ。心配するでない」


 俺はアルネさんに布でぐるぐる巻きにした漆黒の剣を手渡した。俺は全然平気だが持ってるだけで闘気を吸い続ける剣……常人には持ってるだけで気絶してしまうような代物だ。


「ふむ、これは……やはり……」


 アルネさんは剣の布を剥いで、まじまじと見ながら何かを呟いていた。


「むっ……!」


 アルネさんは剣を一瞬落としそうになったが、机にぱっと剣を置いた。


「危ない危ない。かなり持っていかれてしまうな……恐ろしい剣じゃ……」


 アルネさんは少し息が上がっている。持っている時間で言えば、10分くらいだっただろうか。


「フィアンよ、私がこの村へ来た理由はな、この剣を探しておったからなんじゃ」

「……え?」

「昔に噂を聞きつけてな。体力をすい続ける魔の剣がこの地に眠ると……それからこの村を拠点にずーっと探し続けていたんじゃ」

「そ、そうだったんですね……」

「その剣の名前は[暗黒剣シャドウノヴァ]使用者の闘気をひたすらに吸い続けるが恐ろしい威力を持った剣じゃよ」

「暗黒剣シャドウノヴァ……」


 うおおおお! す、すげえかっこいい名前だ! 暗黒剣シャドウノヴァ使いのフィアン……いやちょっと長いし、なんだか恥ずかしくなってきた。


「じゃが! 今持ってみて痛感した……私には到底扱えん代物だったということがのう」

「シャドウノヴァですか、フィアンめちゃくちゃかっこいいじゃないですか! 羨ましいです……逆に魔力を吸い続けるような強い杖みたいな武器とかは無いんですかね……」

「そんな都合よくあるだろうか……」

「あるぞい!」

「あるんですか!」


 俺だけこんないい装備を持っているのは正直気が引けてたし、そんなものがあるのなら実にありがたい!


「まぁ、杖ではないがのう……魔力を吸い続けるグローブじゃ」

「グローブですか! 魔力を吸われ続ける意味があるんですかね……」

「そのグローブは吸った魔力を使用して、手の甲部分から魔力の盾を展開できるそうじゃ。また、魔力を溜める際に、グローブの魔力を同時に溜め込むことが出来て、単純に魔力を溜めるのが速くなる。まぁ、実際はどんなもんか見たことないから知らんがのう」

「なるほど、僕は守りがどうしても弱いから……本当にそんなものがあるのなら手に入れたいですね」


 ネビアは少しワクワクしていた。


「元々、そのシャドウノヴァとグローブは拷問道具だったらしいぞ。両手にそれらを縛り付けて、死ぬまで魔力と闘気を吸い続けられる。その拷問で死んでいった者の怨念が込められているとか……。色々恐ろしい呪われた品物ではあるんじゃ」


 呪われた装備……闘気を吸い続けられるのは立派な呪いだろう……。


「そ、それでグローブは何処にあるのか、アルネさんは知っているのですか……?」

「しってはおるが、簡単には入手できないと思うぞい……」


 アルネさんは難しそうな顔をしていた。


「物凄く危ない所とかですか?」

「いや、それはある学校で厳重に保管されとる」

「おお! 学校とかあるんですか!!」


 正直、伸び悩んでいた俺ら的にはグローブとかなくとも、学校があるならそこへ行きたいと思っていた。しかし、学校がそんな物を保管しているのか……。たしかにそこいらのダンジョンにあるより入手が難しそうだ。


「村から出たことない坊や達は知らんだろうが、剣と魔の聖域とよばれる場所があっての、剣の学園フラガラッハと魔の学園ヴァナルガンドというんじゃ。超有名な二大名門学校じゃよ! たしかヴァナルガンドの方で保管していたはずじゃ」

「凄そうな学校だな……」


 とりあえず、俺らの目標は決まりだ。

 両親を説得して、学校に行く! だけど学費とか高いんだろうな……。

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