187話 一旦図書館へ
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――中央都市(学園内)
「あ、ジャックの所へ行く前に図書館に寄ってもいいですか?」
「おっけー。図書館に何の用があるんだ?」
「堕天使と天使って本があるんですけど、僕が行った時いつも貸し出し中で……。そろそろ返却されてないかな……と」
「そんな本があるのか! タイトルだけ見るとかなり興味が出るな」
「そうでしょう? 一度見てみたいんですよね!」
「そういう事なら早速向かおうぜ」
俺達はジャックに会う前に図書館へと向かった。
・・・
「なんか久しぶりですね……」
「俺なんかネビアよりもっと久しぶりだ……」
図書館は、古本屋のような匂いがしており、何となく落ち着く空間だ。機能はしっかりとしており、どこに何の本があるのかは厳重に管理されている。
といっても、受付の人が全て覚えていると言う感じなのでこの人ありきの話かもしれないが……。
「こんにちは」
「おや、ネビア君今日は何の本を?」
「あ、堕天使と天使って本……返却されてますか?」
「ああ、その本か。残念ながらまだ返却されておらんのよ。もう期日は過ぎてるんだがな……」
「そうなんですね。残念です」
「ちなみに誰が借りてるとかは教えてくれないんだよな?」
「そうだねー。基本的にはダメなんだけど、期日が過ぎてるし、代わりに返却の催促をしてくれるという事ならおっけーかな?」
「あ! じゃあ催促してきますので、教えてもらえませんか?」
「いいとも! だが、これを借りている人……用紙に「J」としか書いてないな……まったく……」
「J……あ、何となく誰か分かったので、その人に聞いてみます」
「お? 本当かい! ならよろしく頼むよ」
「任せて下さい!」
そういって図書館を後にしようとした時だった。
「にゃ! フィアンとネビア!」
「お……? その声は!」
声の先を見ると、4人の女の子が席を囲んでいた。ケイトとシーン、リッタとオリアだ。
「おお……? 4人で図書館って凄く珍しくないか……?」
「私だってこんな所へ来たくなかったぜ……」
ケイト達の前には本が散乱しており、どうやら勉強中? のようだ。
「ネビアさんフィアンさん、卒業されたのですにゃ?」
「そうですね! 普通に学園に入れる辺り、卒業したって感じがしないですけど……」
「いいにゃー。リッタ達は実技はもう満点! って感じにゃんだけど、歴史系の筆記がもう死んでるにゃ……」
「なるほど……それで勉強中って訳なんだな……」
「正直1人で3人を教えるのはきついぜ……!」
「ケイトは歴史は点数良いんだな」
「おう! 暗記系は結構得意だぜ?」
「ところで! 次はいつ冒険者ギルドの依頼をうけれるにゃ?」
そういえば、すっかり忘れていたが、俺達は同じパーティだった。
こいつらは冒険者依頼をしっかりやっていかないとお金が無いんだったよな……。全然一緒に行けてないし、次また一緒に行けるのはいつのなるのか……。
「あー……ちょっとまだ分からないんだよな……ごめんよ……」
「そうか……にゃ。まぁでも最近は合同でケイトと行ってるからまぁ文句はにゃいが!」
「合同?」
「ああ。私らと4人で最近は依頼とか行ってるんだぜ? だいぶ連携が取れるようになったもんな!」
「そうにゃ! フィアン達を倒せる日も近いにゃ!」
「おお! そうなんだなっ」
ここでふと思ったんだが……合同で行く位ならリッタオリアもケイトのパーティに一回合流してもらった方が二人のためになるよな……。
ちょっと提案してみるか。
「てか、リッタとオリア! 正直俺達次また一緒にいつ行けるか分からないんだ……。天上要塞兵になってから結構忙しくてさ……」
「にゃ! 大変にゃんだな……」
「んで! 一旦ケイトパーティに移動とかどうだろう? ケイト達がよければ……だけどね!」
「にゃ! でも……」
「私達は凄くありがたいぜ? でも、二人が抜けちまったらメッセージとか使えなくなっちまうぜ……?」
「いや、最上級パーティになったおかげでそれは使えるみたいなんだ。だからとりあえずは大丈夫だよ!」
そうは言ってみたものの、リッタとオリアは凄く悩んでいる様子だ。
多分、俺達に気を使っているのだろう……。
「正直、俺達がしっかり活動できてないのに、貢献度だけを稼いでもらってる状況……逆に気を使ってしまうんだ! だからケイトパーティで貢献度を稼いであげてくれ!」
「わかったにゃ……! なら、そうするにゃ!」
「おっけー! まぁパーティが変わっても、どこかへ行くときは連れてってもらうけどな!」
「もちろんだにゃ! 恩人であるフィアン達の為なら何でもついていくにゃ!」
まぁこの世界でのパーティってのは人員の移動は良くある事だ。そういう背景もあり、割とあっさりと納得してくれたようだ。
同意の上で申請さえすれば行き来は自由にできるしな!連合とかになってくると話は別の様だが……。
「となるとリーダーの私が申請にいかねーとな……。フィアンとこはリーダーは誰だっけ?」
「あー、リーダーね……」
「リーダー……とりあえず、フィアンが行って下さい。その間に僕は歴史の勉強を手伝いますよ!」
「にゃ! ネビア! 助かるにゃ!」
「でも……3人を1人で……大変じゃね……?」
「……テーネも手伝う。歴史的な勉強は得意。ルーネも得意」
「ルーネとテーネも!? 神様にゃ……3人とも神様だにゃ……」
「え! ルーネも手伝うんですかっ!? 何も言ってないのに……!」
「たのむにゃ。後でおいしいスイーツをおごるニャ……」
「ま、まったくしょうがないですねっ! 教えてあげますよっ!」
「じゃぁ、い……行って来るぜ!」
「いってらっしゃいにゃ!」
そういってケイトと二人で冒険者ギルドへと向かう事にした。
「あ……あのさぁフィアン」
「うん?」
「いつもこうやって話すときには、ルーネは姿が見えなくても聞こえてたりするんだったよな?」
「あーそうだね。多分聞こえてると思うよ」
「今はどうなんだ!?」
「えっ! 今は……図書館に居るから聞こえないんじゃないか……?」
「そ、そうか。じゃぁフィアン!」
「お、おう……どうした?」
「その……手を握ってもいいか……?」
「手!? いや……うーん」
「ほら! 仲が良い友達とか繋ぐんだぜ? 最近は……」
「そんなもんなんだな……じゃぁ、いいよ!」
そういってケイトと手を繋いで冒険者ギルドへ向かった。
にしても、最近の子は友達同士で手をつなぐのか……。