表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(完結済)異世界に転生したら俺が二人になってた。  作者: TOYA
第6章 ジャックの依頼編
184/356

182話 瘴気の山方面へ

「フィアン君とネビア君。先程はすまなかった」

「いえ……こちらこそ申し訳ありませんでした……」

「まぁ面白いものを見せてもらったよ。さすがの実力だな……国一番の強さを誇るフォランをここまで……」

「有難う御座います」


 王座に戻ってきてから俺も少し熱くなり過ぎたなと、冷静になってきた今は反省している。最近はこういう事にはすぐに口を出してしまう気がするな。


「えっと、フォランさん」

「……なんだ」

「さっきはごめんなさい。俺、言いすぎたよ……」

「は……? いや……。いきなり謝るのかお前は……」

「フォラン! お主も同罪だぞ? 見た目だけで判断する癖は早く治せ」

「はい。フィアン殿……こちらこそ申し訳なかった」


 自分からは言い出さないあたり、頑固な奴だな……。まぁでもそういう人も居るだろう。気にすることは無いな……。


「早速ですが……フォート王。僕達がここへ来たのはシャドウキメラ討伐の為です」

「ああ。分かっているよ。わしも正直、最初は半信半疑だったが、先の戦いを見て実力は十分に理解した。ここで調査した全てをお主達に開示しようと思うぞ」

「有難う御座います。フォート王」


 こういうやり取りはネビアがお手の物だな……


「ではフォランよ。我が国で調べた情報を見せてあげなさい。資料室へ案内するんだ」

「はっ! じゃぁ二人とも……こっちだ」


 俺達はフォランと共に別の部屋へと向かった。


「ここだ」


 連れてこられたのは資料や本でごった返しになった部屋だった。何となくエリリアさんの作戦会議室を思い出させる汚さだ……。

 フォランはそのまま一つのロール紙を取り出し、卓上に広げた。そこには大きなイラストと、細かい文字が沢山書かれていた。


「これが最後に目撃されたシャドウキメラの姿を絵にしたものだ」


 サイズは4~5m程で手足は二本ずつでトリガーを構えている様子が描かれている。


「色々吸収してる割にはちゃんとした形なんですね……」

「ああ、1ヶ月程前まではもう少し獣の様な姿だった……。これは2週間前、この城から瘴気の山へ行く道で発見された姿……。日々姿が変わってるんだよこいつは」

「なんと……」

「大体夜に突然現れ、現れた場所には何も残らない。結界を貼っていない村と町はほぼ全て消滅してしまったよ……。今やこの国と二つの町しか残っていない」

「一つは俺達が通ってきた鉱山の町の事かな……」

「その通りだ。結界もいつ破られるか分からない。人々はそいつの存在に常におびえている……」

「ランク10……結界位ぶっ壊せそうだけど、今の所は大丈夫なんだな……」

「ああ……正直私もそう思っている。壊せるけど壊していない……シャドウキメラの気まぐれで存命しているだけなのかも知れない……」

「そうか……じゃぁさっさと排除しねーとな……」

「お前ら! ランク10を舐めてないか!? フィアンの強さは分かったが、たった二人でなんとかなる相手じゃない!」

「まぁ……やってみないと分からないさ」

「いや……分かるだろう普通に……!」

「フォランさん大丈夫ですよ。ランク10なら二人で地下ダンジョンで一回倒してます。何とかなりますよ」

「は……!?」

「まぁフォランさんよ! とりあえず俺達に任せとけって! その瘴気の山への道ってのを教えてくれ。とりあえずそっちに行ってみるよ」

「それは……あっちだ」

「おっけー! ありがとうな!」

「まて! これを持っていけ……。地図とシャドウキメラの詳細を書いた資料だ」

「お、こんなのがあったんだね……」

「あと、このブレスレットを持っていくんだ」

「これは……?」

「瘴気の流れを感知するブレスレットだ。明らかに自然現象ではない瘴気の流れに反応して、そのブレスレットに使われているその白い石が真っ黒になる」

「シャドウファントムで近づかれた際に、黒くなるだろう。役には立つ筈だ……」

「ありがとうフォラン」

「無事を祈っているぞ……」


 俺達はその場を後にし、瘴気の山へ行く道へと向かった。


「フォラン……最終的にはちゃんと協力してくれたな!」

「まぁこの国を救いたいのはあの人も一緒でしょうし、素直じゃないだけなんですよきっと」


 瘴気の山へは微妙に整備された道が続いている。魂片を帯びた鉱石は瘴気の山に近いほど採れるというから、採掘に行く時の道なのだろう。


「にしても……こうやって改めてこの瘴気の山を見ると……こんな昼間でも真っ黒なんだな……」

「ですね。光を完全に吸い込んでる感じですもんね……」

「俺達でも流石にあの真っ黒のとこに行ったら死ぬだろうな……」


 そんな会話をしながら道をどんどん進んでいった。

 最初は平坦な道が続いていたが、徐々に凸凹の岩場が目立ち始め、整備された道は完全に無くなっていた。


「ここ真っ直ぐでいいのか? 本当に……」

「ですね。マップ的には間違いないです。この辺も採掘痕がありますし、まだまだ奥へは行けるのでしょう」

「なるほど……だんだん暗くなってきたから心配だな……」

「最悪どこかで野宿ですね……。しっかりと隠れられるような所を探さないとですね……」

「ひえー。寝込み襲われたら流石にやばいぞ! 本体が来れば分かるけどトリガーを撃たれたら気がついたころには死……だな」

「とにかく痕跡の場所までは何とか今日中に行きましょう」


 そういいながら地図を片手に道なき道を進んでいった。

 

・・・


 辺りはもう真っ暗になっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ