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(完結済)異世界に転生したら俺が二人になってた。  作者: TOYA
第6章 ジャックの依頼編
178/356

176話 岩のテントで。

「関所が見えてきましたね!」

「やっとかよ! ここも警備兵は居るのかな?」

「居なければ関所の意味を成してないですけどね……」


 関所の高い壁は木々の間から見える所まで来た。ついに俺達、フォート領に入るんだな。

 未開の地へ入ると言う事で結構わくわくしている。どんな景色が広がっているのだろう! 


「あ、警備の人居ますね。一人ですが」

「そうだな……こんにちは!」

「おや……え? 君達二人だけかい?」

「そうです。冒険者カードもありますし、僕達、天族なんです」


 ネビアはそういって冒険者カードと天族の転送リングを見せた。


「天族……! 信じられないよ。そんな歳で覚醒天族だなんて! 世の中いろんなことがあるなぁ。あ、通っていいですよ!」

「有難う御座います」

「あ、すいません。ちなみに、フォート城はどちらにいけば……」

「フォート城なら向こうに見えている岩石山に向かって行くと町があって、その先に行けばあるよ。町でまた詳しい道は聞くといい」

「ありがとうございます。では」


 関所は驚くほど簡単に通る事ができた。冒険者カードもそうだけど、何より天族の証であるリングの存在が大きいみたいだな……。


「ここからついにフォート領か……」

「こちら側も、森を出れば平原が続いてるんですね」

「だなー。整備された道は無いけどな……」

「ですね。フォートは瘴気の森と海で断絶されてて、他国との交流も中々出来ないそうですね」

「船で貿易はしてるみたいですが、海の魔物や山から吹き下ろす瘴気風があったり、とにかく大変みたいですよ」

「ああ、中心の山が瘴気の固まりだもんな……。山に近い航路では移動距離は減るけど、瘴気の風……離れすぎると海の移動距離が増えて魔物に襲われる……。どちらにしろ大変なんだな……」

「ただそれでも海を渡る人が後を絶たないのは、フォート城の周りにある岩石山で純度の高い鉱石が採掘できるからですね」

「なるほどな……」

「てか、暗くなってきましたね……。この辺の治安ってどんなもんなんでしょうね……」

「だな……一面平原で隠れるような場所も無いし、夜に火を灯せば目立つよな……」

「というか……少し雲行きが怪しいですね。一雨きそうです」

「げー。野宿で雨はいやだな……」

「まぁ……そこは任せて下さい。とりあえずあっちに見えている木の近くで今日は休みましょう」


 そういうと俺達は大きな木の根元へとやってきた。今日はここで一泊だ。


(ネビア)――ロックウォールx3


「お、おお……!!」

「これで雨は防げますよ!」

「めちゃくちゃ良いじゃないか!」


 ネビアはロックウォールにて岩壁を作成し、それを三角形に設置、床にも岩壁を敷いて一段高くしている。


「でもこんな斜めに生成して……落ちてこない?」

「大丈夫ですよ。根元はしっかり地面に繋がってますし、上部は二つが支えあってますからね。それに僕の魔力で作った壁です! 爆撃くらいなら耐えられますよ」

「立派な石材だぁ……」

「とりあえず、ここで休みましょう」


 岩のテント……としか表現出来ないが、今日はここで一泊だ。食事の準備をしていると、しばらくして雨が降ってきた。

 岩テントの中央で燃えさかる焚き火が良い具合にこの空間の温度を保ってくれる。


「なんか……こういう雰囲気も悪くないよな……」

「ですねー。なんだかキャンプみたいですね」

「一回くらい前世でキャンプ行ってみたかったもんな。時間無かったけど……」

「ですねー」


 雨の日はシャドウの活動も鈍くなるらしい。それが理由で、雨の日専門にシャドウを狩るハンターも居るんだとか……。

 俺は自身の視界が悪くなるからいやだけどな……地面も柔らかくなるし。


「あのっ……聞いていいのか分かりませんが……」

「どうしたんだルーネ」

「ずーっと気になってたんですが、フィアンさんとネビアさんの間に出てくる異世界とか……生前とか……どういうことなんでしょう!」

「あー……異世界の話とかしてたっけ?」

「言ってました! 異世界の知識があるのに活用できてない! って!」

「そういえばそんな話もしてたな……」


 俺とネビアは顔を見合わせた。


「まぁ……別に隠すことじゃねーからルーネとテーネには教えておくよ」

「……わくわく」


 そして俺とネビアは、別の世界で死んで、転生してきた事を伝えた。その時の記憶が残っていると言う事も。


「ほえー。やっぱりそうだったんですね! 別世界ってのが凄く神秘的ですがっ!」

「思ったより驚かないね?」

「精霊は転生する生き物です。記憶は残る事はないですが、あっても不思議ではないですよー。まぁヒト族でそんな事があるのは聞いたことないですけど……」

「そういえば覚醒もある意味転生ですよね? 身体が天族に変わるんですから」

「ははっ確かにそうだな!」

「まぁでも、大人っぽい雰囲気がある理由が分かりました……。ギル君と同い年くらいのはずなのに、雰囲気が違いすぎましたもん!」

「そうだよー大変なんだよ? 頭は割りと大人脳なのに、身体が子供で出来ない事が多くてな……」

「そうなんですねー。したくて出来ない事って何ですか?」


 純粋な目で聞いてきたが……出来ない事って言えば夜の遊びに決まっているだろう……! 


「えーっとな……。あっほら……高い所の物とかちょっと取りにくい……よね?」

「ふーん。そんなのルーネが取ってあげますよ!」

「あ……じゃあ出来るわ! 出来ない事無いわ!」

「やりたいことしょぼすぎですよフィアンさん……」

「あっ後さ、隠す必要が無いって言ったけど……両親には黙っておいててね?」

「どうしてですか?」

「いや……実の子供が精神年齢年上とか嫌だろ……」

「あ、確かにそうですねっ」

「さて……食事が温まりましたよ。食べましょう」

「はーい!」


 岩壁に当たる大粒の雨の音を聞きながらゆっくりと食事をした。雨の日だと何となくのんびりした気持ちになる。

 瘴気も雨で薄くなっているのか、湿気は強いが空気は美味しい。今日はゆっくりと眠れそうだ。


・・・

・・

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