表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(完結済)異世界に転生したら俺が二人になってた。  作者: TOYA
第6章 ジャックの依頼編
176/356

174話 二人の子供

「っと……その前に名前を聞いてもいいか?」

「おらはギル=エアル、妹はミリュ=エアル……」

「ギルとミリュか。宜しくな。俺はフィアンでこっちはネビアだ」


「こんな事になったのはたしか5日前……」


――――

――



「かあちゃん! 今日は魚がいっぱいとれたぞ!」

「あら、凄いわねぇ。今日はその魚でギルちゃんの好きなスープをつくって上げましょう」

「わーい! お母さん大好き!」

「じゃぁそれまで遊んでくるね!」

「遅くなりすぎないようにね」


 おらとミリュはその日、いつも通りに湖付近で遊んだり、魚を取ったりしていたんだ。

 村は小さいけど、皆良い人で仲良く暮らしてた。

 んで、おら達は村の少し離れにある、いつもの遊び場に向かったんだ。


「坊や達。この辺に住んでいる子達か?」

「おじさん……だれ?」

「ちょっと道に迷ってしまってね。お父さんお母さんが居るなら道を聞きたくてね」


 おらは怪しいなって思ったけど、妹は困ってる人を放っておけなくて、結局村まで案内したんだ。

 この村には特別な結界が貼ってあって、村の住民しか出入りが出来ないようになってておじさんたちには外で待ってもらうようにしたんだ。


「ほう……ここが君達の村か」

「そうよ! 小さいけどいい村なんです!」

「ふふ……はぐれ天族の村……やっと見つけたわ!!」

「え……? おじちゃん……?」


 突然おじさんは血相を変えておらの妹を乱暴に掴んだ……そして……。


「おい小僧!! はやく両親を呼んで来なさい。さもなくば小僧の妹が首と身体で二つになっちゃうわよ?」

「ミリュ!!」

「お……おにいちゃん……」

「さぁ。さっさとする!」

「わかった……わかったから妹に手を出すな……!」


 おらは両親を呼ぶ以外何もできず……一目散で呼びに行った。


「かあちゃん! 変なおじさんが……ミリュを! 助けて!」

「変なおじさん……!?」

「あなた……」

「俺も行こう」

「ギルはとりあえずここで待っておくんだ」


 そうしておらはそこで一人待つ事にした。

 その後すぐに妹の悲鳴が聞こえたんだ……。


「ミリュ……? おばちゃん……?」

「ギルちゃん。この床下の部屋で二人で身を潜めておくんだよ。このローブは羽織ったままね……。絶対にこのローブは脱いだらダメだよ」


 ミリュは気絶していて、隣に住むおばちゃんがミリュを運んできた。

 おらはただ怖くて、ミリュを抱きかかえたまま身を潜めた。

 だけどそれでも外の様子が気になって、少し経った後にこっそり覗いて見たんだ。


「はっは! やはり聖母だったわ! こいつは連れて行く! 他は……皆殺しでいいわよ」


 辺りは火に包まれていて、その声が聞こえた瞬間怖くなってまた床の下に閉じこもった。

 おらは気づけば眠ってしまっていた。

 しばらくして、はっと目が覚めて床の外へと飛び出した。そこは一面焼け野原と化していて、誰一人として居なくなってた……。

 あんなに笑ったりしてくれた妹も無表情になって、言葉を話さなくなってしまった。

 幸い、床下には食べ物があったから今日迄なんとか生きていたんだ。


――――

――


「何て……酷い……!!」


 その話を聞き終えた後、俺は血が滲むほど拳を握ってしまっていた。両親をなくし、故郷を燃やされ、立った二人にされてしまったこの二人の気持ち……一体どれだけ悲しいものか……! 


「そいつには、翼が生えていたように見えたよ……。煙と、瓦礫で片方しか見えなかったけど……」

「ギル君、よく話してくれましたね。君が頑張ったからここまで来れたんですよ」

「ほんとだよ……! 泣きもせずによくここまでな……!」

「妹をただ守りたくて……おらが泣いてても妹は助からない。しっかりとやらなきゃっておもったんだぞ……」

「とにかく今は食え! 食って少しでも気を紛らわせろ!」

「ありがとうお兄ちゃん達……!」


 見た目的には1~2歳の差だろうけど、お兄ちゃんと呼ばれるのは悪い気はしないな。

 ここまで涙を見せないとは……本当に強い子だな……むしろ俺のほうが泣いてしまったわ! 


――その夜


「二人ともぐっすり眠ってますね」

「どうなってるかも分からない状況で、二人ずっと耐え忍んでいたんだ……。しっかり眠れてなかったんだろうな……」

「そうですね……」

「なぁネビア……。翼が片方見えたって行ったよな……」

「言ってましたね……」

「堕天使の仕業だろうか……!」


 俺はまた怒りが込み上げてきた。本当に許される事ではない……。


「かもしれませんね……」

「つまり……レッド達の仲間か……!」

「……」

「許せねえよこんなの! 俺が必ず仇を討ってやるからな……」


 俺が憤慨するのをネビアはただ黙って聞くだけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ