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(完結済)異世界に転生したら俺が二人になってた。  作者: TOYA
第5章 覚醒・地下ダンジョン突入編
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165話 学園卒業

・・・

・・


「いやー……練習不要って感じっすね……」


 ラウタの目の前には持ってきた練習用依頼紙にしっかりと文字が浮かんだ物が何枚も散らばっていた。


「見ろネビア! 両手でもいけるぞ!」

「それを言うなら僕だって!」

「いや、両手で2枚することなんて多分一生出番ないっすから……」

「てかラウタ……これ印字されたらもう消えないのか?」

「いや……大体3分ほどで消えるっす。けど天力を込めすぎたらこうやって消えないんすよ! 込める量はしっかりと考えるっす!」

「はーい!」

「ていうかさっきから純粋な子供っぽくなって変な感じっすね……」

「いや……10歳だからこんなもんでしょ?」

「自分でそれをいうんすね……」


・・・


「あら……? もう出来るようになったんですか?」

「そうっすね……十分すぎるほどできてるっす……」

「あらー。優秀な子達ですね! ラウタさんなんか3週間はかかってたのにね!」

「なっ……何十年前の話っすか! とにかく基礎はもう十分っす。後は天衣を開眼できれば、一人前の天族っす」

「天衣を開眼する方法は教えてくれないのか……?」

「それはやらない……というかできないんすよ」

「そうなのか……? こう……こんな風にやれば近道とか……指標とかもない感じか?」

「ないっすね。通常種ならある程度方法が確立されていて、それに乗っ取って修行すれば結構開眼する人はいるっすね。ただ特異種になると、人によって本当に開眼方法は色々なんすよ」

「ほー」

「おいらの聞いた奴で行けば……死に掛けた時に開眼……大泣きした時に開眼、ある朝目が覚めたら開眼……とか本当に色々っすね」

「条件が全然わからないね……」

「だから自分でなんとかするしかないっす!」

「そうか……。頑張ろうぜネビア」

「ですね!」

「では早速ですが……お二人に依頼が来てます。こちらをどうぞ」

「早速か……。初依頼だな……!」


・シャドウキメラの討伐

・期限:無し

・フォート領地の岩石山に現れた謎のシャドウキメラの討伐。近づくと無数の弾を撃って来る。信じがたい事だが、トリガーを装備している可能性が高い。


「期限無し……?」

「そうですね。これはプライベートの依頼ではなくて、公に出ている依頼となります。他にも受けている方は多く居ますが、未だに達成はされておりません」

「なるほど……」

「この依頼を達成しなくても、他の依頼をまかされる場合がありますので、そこはご了承下さい」

「了解!」

「初依頼……気合が入るかもしれないっすけど……まぁ気長にのんびりやることっすよ。焦ってもいいことないっす」

「そうだな……ラウタ! 色々ありがとうな!」

「これがおいらの仕事っすから。また何かあればいつでも聞いてくれっす」


 そうして俺達は転送されてきた場所に戻り、元の場所へと戻っていった。


・・・

・・


「うお……! あ、喫茶店……」


 綺麗に元の場所へと戻っている。これ……他の人が座ってたらどうするんだよ……。


「お客様! 食い逃げしたのかと思いましたよ。お会計はちゃんとしてくださいね」

「あ……はいすいません……」


 さっさと勘定を終え、店を後にした。


「次から転送する時は場所を考えた方が良さそうですね……」

「そうだな……。所で、フォート領地ってどこだったっけ?」

「んーっと中央都市から岩石山を越えて海を渡る方法か、僕らの居た森の関所を超えた真反対にある関所を通った先か……行き方はこの2パターンですかね……」

「海は現実的じゃねーから、森を通ろうぜ。ついでに実家にも帰ればいいだろう」

「そうですね」

「てかこの世界ってあまり海を渡る技術を聞かないよな……」

「たしかにそうですね……。僕達が習った内容で言うと、この世界は今居る大陸一つ……。形はパッ○マンのようになってて、口の部分が海、真ん中にあるめちゃくちゃ大きな山は瘴気が溜まっていてとても進入が出来ないし、ここから見ても山のてっぺんは遥か上で見えないですもんね」

「うんうん」

「話がそれましたけど、この大陸しかないのなら大きな船で移動する必要も無いんじゃないですかね?」

「そうだな。この大陸しかない……と言うより、この大陸しか知らないだけかもしれないよね! 海の先は見に行く術がないのだからな……」

「ですね……まぁ厳密に言うと海を渡る方法はないって訳でもないですよ? ただ、僕が本で見たものは、大航海には向いてないものばかりでした。だからこの島の外に別の世界が広がっていても不思議ではありません。そう考えるとわくわくしますよね!」

「よし、船作って海賊にでもなるか?」

「あはは。国作りはどうするんですか」

「ああ……それもあるもんな! やる事いっぱいだな!」

「海賊はとりあえず目指す感じなんですね……」

「いやいや……言い方が悪かった。海の冒険者……だよ!」

「まぁしっかりと下調べはしましょうね……」

「そうだ、学園ってどうなったんだろうな? 理事長とかも気になるし一回顔を出そうぜ。結構休んでるしな……」


・・・

・・


 俺達は理事長室へと顔を出した。しかし、そこにはその憎たらしい理事長は居らず、


「あれ、サクエル!?」

「あら……貴方達、無事に依頼は達成出来たようですね」

「うん、それいいんだけど……何故理事長の部屋に……?」

「それは、私が新しい理事長になるからよ」

「そうなんだな! てかサクエル、話し方がすげえぶれてるね……」

「しょうがないでしょ! 仕事上丁寧に話すように努力してたせいでその時のがたまに出てくるのよ」

「いや、仕事って言っちゃったよ……。俺最初本当に神様だと思ってたんだよ? なんかぶち壊された気分だわ……」

「フィアン君……」


 サクエルは優しく頬に触れ、表情はあの時の女神のままだった……が。


「いでっ……」

「神様など居ないわ」


 突然元の表情に戻り、ほっぺをむぎゅっと抓られた。


「それをハッキリ言っちゃうと、元も子もないですね……」

「まぁでも、高位天族様達がある意味神様に近いわね」

「ああ、たまに聞く人たちだね……」

「貴方達もしっかりと依頼をこなしていれば、試験を受けられるかもしれないわよ。しっかりと頑張る事ね」

「頑張ります」

「ところで貴方達、今在籍状況を見てたんだけどね、もうとっくに必修科目数をクリアしてるわよ。いつでも卒業可能ね」

「あ、そうなんですか?」

「卒業しとく?」

「え? そんな簡単に出来るんですか?」

「そうね……私がこのハンコをここに押せば卒業完了ね」

「へえー……そんな簡単にすむんだな……」

「でも、まだ図書館とかの資料も読めて無いのもあるし……学園を出入り出来ないのは辛いとこかもですね……」

「え……? 何言ってるのよ。卒業してもOBなら出入りは自由よ。貴方達の成績を見る限り……卒業後も全ての機能を使えるままだわ。気まぐれに授業も受けられるわよ。まぁ寮からは追い出されるけどね!」

「ええ! そうなんですね。それは凄くありがたいです! 寮も僕らには関係ないですし……」

「なるほど、なら……卒業しちゃうか?」

「そうですね。支障は無さそうですししちゃいましょう。天族の依頼も受けなければならないし、長期不在が続きますしね。その度に、長期欠席届を出すのが毎回凄く面倒ですし……」

「え!? そんな書類書いた事無いぞ俺……」

「毎回僕が書いてましたからね。理由とか並べるのが凄く面倒でしたよ?」

「そうだったのか……知らなかったよ……とりあえず、それ書かなくてよくなるなら卒業しちまおうぜ!」


「なら、卒業ね! おめでとう二人とも!」

「わ、わーい!」

「何か実感ないですね……」


 こうして俺達二人は卒業! 卒業式とか無いから全然イベント感が無いが……結局出入り自由だから良しとしよう。

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