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16話 2度目の達成

 眩しい光が消え目を開けると、さっき見たばかりの景色が広がっていた。一つ違うのは目の前に女神はいない……近くにはネビアとさっきのおばあさんが一緒に居る。


「あれ……なんでしょうね? 女神様は居ないみたいです」

「おお、ここは……坊や達! 精霊覚醒に無事に成功してくれたんだね! 感謝してもしきれん……」

「いえいえ、俺達も精霊と契約を果たすのが2次試練の内容だったし、おかげでクリアする事ができました。有難う御座います!」

「にしても……ここに来て目の前に女神が居ないってのは初めてじゃな。どうしたんじゃろうか……」


 すると遠くの方からかすかに声が聞こえてきた。


「ええっ! もう来たの!? さすがに早すぎよ!!」


 ばたばたと音がしている。聞き覚えのある女神様の声だ。そして、目の前が大きく光って、女神様が出現した。少し息が上がっているし、髪は濡れている様子でほのかに石鹸の様ないい匂いが漂っている。服装も少しはだけており、急いできたのが見て取れる。お風呂にでも入っていたのだろうか……。

 というより、なんとなく人間くさいな……女神様も風呂には入るんだろうか。


「え、えーと……あっこほん……フィアンとネビアよ二つ目の試練達成おめでとう御座います。また、アルネよ、最終試練よくぞ達成致しました!」


 アルネさん……? そういえばおばあちゃんと呼んでいたけど名前聞いてなかったな。アルネさんっていうんだな。


「えー……3人同時にこちらへ来られるのは初めてですね……」


 女神様は少してんぱりつつ考え込んでいた。


「ちょ、ちょっと待ってもらえますか!」


 女神様はもう一回光に包まれて一時退散した。


「ど、どうしたんでしょうか……」


 するとまた遠いところから女神様の声が漏れて聞こえてきた。


「3人同時ってどうすればいいのよ! マニュアルにも載ってなかったわよ! あと一人最終試練達成者よ! 私一人じゃ無理じゃない! 大天使様呼んできて頂戴!」


 どこで話しているのか分からないけど、丸聞こえなんだよなあ……。

 女神様という割には新人の人事部担当みたいな感じだな。マニュアルってなんだよ気になるなぁ。

 その後も誰かと話している様子で、しばらくして少し静かになった。どうやら落ち着きは取り戻したようだな。そしてまた目の前が光りだした。これももはや演出か何かなのかな? とか思い始めてしまったが……。


「お待たせ致しました。まずはフィアンとネビアに報酬を与えます。アルネよ、大天使様が来られるまで少し待ってください」


 遠くで聞こえていた声と今の姿にギャップがありすぎて噴出しそうになったが何とか堪える事が出来た。笑ってしまって報酬無しとかになったら大変だからな。紳士的に行こう。


「では、報酬ですが、各自に魔術の属性一つを選択頂き、その属性の知識、全てを授けましょう。全てと言いますが、私達の知る範囲での全て……で御座います。一つだけですので、慎重に選択してください」

「なるほど、かなり迷いますね……」

「おばあさんは何を貰ったんだ?」

「わしの時は確か……攻型の上級までの知識全てと決まっておったぞ。選べなかったのう」

「報酬は、試練の難易度によって大きく変化いたします。何を報酬で与えられるかは、私には分かりません。ただ、伝えるのが私の役目なのです……」


 さすがプロだ。あたふた感は全く見せず、今はもう高貴な女神様にしか見えない。


「フィアン、どうしましょうか」

「うーん、そういえばさ、ここにいるという事は精霊とは契約出来たんだよな……? あの子達って何の精霊なんだろうか」

「どうでしょう、見当たらないしここには来てないのでしょうか……」

「居ますよ!」


 そんな声がした時、目の前が光、ぱっとルーネとテーネが現れた。


「おお、よかった! 無事だったんだな! どこから出て来たんだ……?」

「私達は精霊として覚醒し、精霊界と呼ばれる所へ飛ばされました! フィアンさん達の近くであればこうやってくる事が出来ます! 私達はフィアンさん達の魔力と闘気の属性変化と魔術、剣術のお手伝いをします!」

「テーネは闇、ルーネは光の精霊。よろしく……」


 なんと、特別感満載の光と闇が来ましたよ! 精霊と契約出来た上にこの属性……胸が踊るね! 光魔法とか使えるのだろうか、いや俺の場合は光剣術とかの方がいいな……とにかく帰ったら特訓だ! というより、精霊界とか気になる単語が出て来たが、その辺は後で聞いてみるとしよう。

 うきうきしている俺を横にネビアが話しかけて来た。


「であれば、僕は闇、フィアンは光の知識を得るのはどうでしょうか。色々使いたい所ですが、最終的には使い慣れた属性を特化すべきだと思うんです。光と闇……凄くカッコいいですよね!」

「なるほど! 絶対それがいいな。それぞれ、光と闇の知識を貰おう」


「女神様。俺には光属性の知識を下さい」

「僕は闇属性の知識をお願いします」

「なるほど……知識があれど、適正がなければ高位な魔法や剣術に応用は出来ませんが、貴方達なら大丈夫そうですね」


 女神は微笑み、俺達はまた光に包み込まれた。

 最近光に包まれ過ぎな気がする。

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