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(完結済)異世界に転生したら俺が二人になってた。  作者: TOYA
第5章 覚醒・地下ダンジョン突入編
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158話 20階のボス

「さて、やっぱりここにあるのかな……」

「そうですね。ここに無かったらむしろ困りますね……」


 目の前にあるのは瘴気の濃い部屋だ。

 途中でこの部屋を見つけたが、とにかく他の場所を探索しようと後回しにしていたのだ。

 結局怪しい壁らしき物は見つからず……この部屋だけを残す形となった。とりあえず、ダンジョンストーンは20階のを多めに採掘し、それは持ち帰る事にした。


「一回ここで休憩しましょうか」

「そうだな。万全の体制で臨みたいしな」


 一旦その場で浄化の光を展開し、休憩と作戦会議を行う事となった。


「さて、5階毎にボスが現れてたけど……15階の時点でシャドウナイトだから次はもう一つ上のランクが出てくるんだろうか……」

「どうでしょうね……純粋なシャドウでナイト以上のシャドウって居るんでしょうかね……」

「そうだな……まぁシャドウディメンションとか未知の奴も居るし、居るんじゃないか?」

「ですね……本当に恐ろしい話ですよね。シャドウナイト灰色でSランクシャドウ、黄色になるとS+++ですよ? もうほぼ振り切れてますからね……」

「だなー……なんやかんやで恐ろしいランクの敵と戦ってるんだな……俺達」

「常人離れはしてると思いますよ……。自分で言うのもなんですけど」

「……とにかくどうやって倒すか考えて。テーネは働けるの?」

「あ、すいません。そうですね……。とにかく一緒に戦ってくれる事前提で作戦を立てます。フィアンもルーネと一緒にですね」

「ああ……黄色ですら纏がないととても敵わなかった。それ以上の奴が出てくるのは明白だ。最初から持てる力を全て使って、全力で行こう」

「頑張りましょうっ! ルーネもテーネも準備は万端ですよっ!」

「……うむ」

「ははっ心強いな。頼んだ!」

「とりあえず、侵入後の位置取りから念のために整理していきましょう。まずは……」


 ネビアの作戦を主軸に技のコンビネーションを入念にチェックした。大体本番はやればしっかりと息が合うが、打ち合わせをしているとしていないでは心構えが違う。

 その日はそのまま作戦会議をして御飯を食べ、一夜を過ごす事にした。


・・・

・・


「うしっ! 完全回復だ!」

「その調子ですよっ! フィアンさんっ!」

「よし、行きましょうか。速攻で片付けましょう」

「じゃぁ、行くぞ!!」


 俺達は戦闘態勢を取り、そのまま侵入した。


「まぁ、後ろは閉じるよな。それより……」


 後ろが閉じるのは十分に想定できていたが、周りの壁を伝う瘴気の濃度が目に見えて濃い。

 しかも厄介なのが、壁に張り付いているだけではなく、所々瘴気が枝状に伸びており、非常に移動が制限される。

 というのも、濃すぎる瘴気に触れていると一瞬で体力と魔力が磨り減ってしまう。伸びている瘴気には決して触れないように移動をしていかなければならない。


「正面! 現れるぞ……!」


 その中でも一際大きく濃い目の前の瘴気からゆっくりとシャドウが出てきた。それと同時に背筋がぞっとした。この感覚は、シャドウナイトですらしなくなっていたのに……。


「なんだ……この姿は……」

「見たこと無いですね……!」


 そのシャドウの姿は人型ではなく、狼の様な姿をしていた。大きさは5m程といった所だろう。すごく大きいわけではないが、狼の首が3つついておりまるでケロベロスのようだ。地を蹴るその手足は禍々しい紫の色で不気味な光を発しており、シャドウナイトの鎧より遥かに硬そうだ……。

 もう一つ気になる点があった。そのシャドウの周りをゴルフボールサイズで紫色の瘴気で出来た球が浮遊しているのだ。基本は球状だが、たまに四散してシャドウの周りで散ったかと思うとまた球状に戻ったり……。


――ワォォォォォォン!! ! 


 そのシャドウは突然遠吠えの様な声を出した。通常の遠吠えとは違い、耳にびりびりと来る感じで不快感が半端無い。


「くう……! やべ! 来るぞ!!」


(フィアン)――纏光!! 

(ネビア)――纏闇!! 


(ネビア)――ロックウォール! 


 シャドウケロベロスは遠吠えを終えた瞬間足を上げて真っ直ぐにこちらへ飛び出してきた。その瞬間に纏を行い、ネビアがロックウォールを展開した。


――ガンッ!! 


「あぶねえ!!」


 シャドウケロベロスの体当たりを受けたロックウォールは半壊し、そのままフィアンの方へ突っ込んで来た。


「ぐっ……!」


 一瞬の出来事だった。ケロベロスはフィアンの左腕を食らい、引き千切っていた。


「フィアンさん! 今回復を……!」

「ダメだ!! 左腕だけならまだいける! これ以上の致命傷があるかもしれない!」


(フィアン)――触媒紙:ヒーリングライト


 重症ではあるが……ルーネの精霊のささやきで完治は出来るがまだ早い。右腕さえあれば剣は振れる! 

 そう思いすぐさま触媒紙を取り出し、止血に使用した。欠損状態で長時間経過すると元に戻らなくなる……腕が戻るうちに倒しきらねば。


「開幕先制するつもりがまんまとやられてしまいました……!」

「まだ余裕だ! このまま戦うぞ!! しっかりしろネビア!」


 俺の腕がなくなったのと、作戦がいきなり潰された事で少し動揺していたネビアに一喝した。


(フィアン)――ホーリーソード・カルテット! 

(フィアン)――ブレードブラスト・ライト! 


 とにかく最速で当てる事ができるスキルを放ち、動きを止めようと行動した。がしかし……。


~~シュウゥゥ……


「なっ……!!」


 瞬間的に着弾するブレードブラストライトをあろう事か枝に伸びた瘴気を盾に、避けられてしまった。

 この瘴気……相当濃くて光を通さないようだ……。俺の力がまだ足りないのか……! 


「てか……あいつは枝状に伸びた瘴気は通り放題かよ……! くそっ!」

「フィアン、左前方から来ます!」

「ちっ! 早すぎる上に瘴気が邪魔で見にくいんだよ……!」


 二人で全開で感知を行い、辛うじて避ける事ができている。周りの瘴気が本当に邪魔すぎる! 更に感知するにしても枝状に伸びた瘴気が干渉して感知に相当精神を使う。

 さて……どうしたものか。

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