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14話 報酬

 眩しい光が消えた後、俺達はゆっくりと目を開いた。


「お二人とも、各自潜在力の上昇及び現在値の上昇が完了いたしました。お疲れ様です」

「何か変わったかな?」

「正直現状じゃよく分かりませんね……」

「それは戻った時に、試してみると良いです。では、第2の試練を与えます」


 女神はふっと目を瞑り、何かを詠唱し始めた。


「お二人とも、また内容が同じですね。では試練を授けます」

「フィアン、ネビアよ……元素の精霊と契約を果たし、新たな力を授かりなさい」

「なんだその試練! ヒントとか無いのですか!」

「ヒントですか……それはすぐには与えられませんが、期限は10歳までにとなってます。8歳の時点でまだ契約が出来ていなければ、助言を授けましょう」

「ではお戻りなさい。またお会いできることを楽しみにしていますよ」


 その瞬間、目の前が暗転した。そして、はっと目を開けた時、目の前には二人の少女が心配そうな目で俺達を見て居た。


「……目、あけた」

「本当だ! よかったですーっ!」


 可愛い二人の天使が目の前に……ここは天国か? ……何て思っている場合じゃなくて。

 身体を起こし、胸のあたりを触った。服は綺麗に破れているが、刺された傷などは全て完治しているようだ。


「ルーネとテーネじゃないか。危ないよ。こんな所に居たら」

「は、ネビア! 大丈夫か?」


 ボーっと意識がはっきりとして来た所でネビアに目をやったところ、足がちゃんとくっついており、怪我もなさそうだった。


「フィアン、僕足がついてますね……」

「何でかよく分からないけど、本当に良かった!」


 また、俺の居た脇に一本の剣が落ちていた。見ていると吸い込まれるような漆黒色で染まっており、刀身は非常に艶がある。それをふと手に取ろうとしたところ……


「フィアンさんだめです! それに触れちゃ!」

「え――」


 そう言われた時には既に手にとって持ってしまっていた。


「それに触れると凄く力が奪われる感覚になって一瞬で……あれ? なんとも無いのですかっ?」


 ルーネにそういわれたが今のところ持っていても別段何も感じない……かっこいい普通の剣だ。


「フィアン、少し貸してもらえませんか」


 そう言われ、俺はネビアに剣を手渡した。


「これは……な……ッ! 凄い闘気を吸われますよ!」


 ネビアはそういうとすぐに剣を離した。


「ええ、そうなのか? 全然感じないんだけどな……」


 俺はまた剣を手にとり素振りをしてみた。


「この剣……重さも長さも丁度いい。すげえ馴染む感じだ……! この剣であの壁を割れないかな?」


 唐突な発想だが、俺は結構真剣に思っていた。何故ならこの剣、刀身に闘気を凄く込めることができるのだ。木の剣では既にばらばらに砕けているレベルの倍以上込めているが、剣は壊れる気配を一切見せない。


「そういえば、瘴気がほぼ無くなってますね……この辺りも」

「そうなんです! それで物凄く大きな音がして、瘴気が消えたからここまで様子を見に来れたのですっ!」

「そうだったのか、ありがとうな! もしかして、怪我も治してくれたのか……?」

「テーネ達は何もしてない……。二人の身体に異常全然なし」

「そうか……と、とにかく一度おばあさんの所に戻りましょうか」


 ネビアがそういうと俺達は立ち上がって、おばあさんのいる方へと向かった。あれだけ大怪我をしたのに、完治しているのは驚きだ。そんな事を考えているうちに、小さな穴の前へとやってきた。


「よし、ちょっと下がっていてくれ」

「フィ、フィアン! 本当にやるつもりなんですか?」

「え? 身体も調子がいいし、一回試してみるよ。おばあさんをここから出すって決めたんだからさ」


 俺は目を閉じて、剣先に意識を集中させた。自分のもてる闘気をただひたすらに剣先に込めていった。


「いくぜ……!」


(フィアン)――魔装・一閃!!


――ザンッ!!


 俺は目の前の岩壁に向かって力一杯剣を振り抜いた。周りの空気が恐ろしく振動し、ルーネ、テーネは吹き飛びそうになっていた。

 そのままガリガリと岩を削り取るような音が続いた。その音が消え、一閃を放った所を見てみると、幅50センチで長さ20メートル程の綺麗な横一線に削れていた。

 岩を破壊したというよりは……削いだような感じになっていたのだ。


「フィアン、すごいです! 凄いんですけど……」

「ネビア言うな……とりあえず壊せることはわかった! あと、岩の中の方はあまり硬くなさそうだ。硬かったのは外殻部分だけだったようだな」


 俺は削った隙間に手を突っ込んだりして、具合を確かめた。


「それなら、中は僕が処理しましょう。その後[魔装・一閃]で削り取って下さい。雪のカマクラを作るように、中を消しとばして、出入口を作ってもらいましょう!」

「ネビア任せた!」


 ネビアは隙間の中に魔法を放つようなイメージで、小さめの魔方陣を大量に描いた。


「小さい炎の球を中で一気に混ぜて大きく……」

「フィアン! 二人と下がっててください!」

「ファイア・エクスプロージョン!」


 炎が燃えさかる音がした後、物凄い爆発音がした。俺の剣でつけた隙間から恐ろしい熱気が飛んで来たので、急いで身をかがめ、[アイススパイク]で壁を作った。


「ふう……」

「ネビアすげえな! 中が空洞になってるじゃないか!」

「あとはフィアンが硬い部分を削ってくれれば開通ですね!」

「ところでフィアン、[アイススパイク]って使えましたっけ?」

「あれ、そういえば何で今普通に使えたんだ? でもやり方も魔力の流し方もまるで昔から使えたように身に染みついてる感じだ……」


 少しの間二人は考え込んだ。するとネビアが、


「フィアン、これあれじゃないですか……? 僕たちが融合した時にもしかして記憶を共有されたんじゃないですか?」

「ふむ、何でそう思ったんだ?」

「えっと、一個夢か現実か分からない記憶があって……。フィアン、正直に話して貰えるなら言います」

「何言ってんだよ! 俺同士なのに何も気にするなよ!」


 ネビアは耳打ちで俺に囁いて来た。


「フィアン、両親の夜の営み……何度も見てたでしょう?」

「は、ははは……これは記憶共有されてるな。間違いない」

「やっぱり見てたんですね……妙にリアルな記憶でしたから、変だとは思ったんですよ」


 これは絶対にネビアには見られて無いし、完璧なシャドウウォークだった。覗きの記憶がネビアにあるはずが無いのだ。俺の魔法の感覚もそうだし、帰ったら色々実験だな。


「よし! とりあえずさっさと開通させよう!!」


 俺は話を中断し、再び俺は闘気を込めるのに集中した。

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