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(完結済)異世界に転生したら俺が二人になってた。  作者: TOYA
第5章 覚醒・地下ダンジョン突入編
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135話 新たな問題

「そこまで!!」


 結局、決着がつかないまま試合は終了した。


「では少しリセット入れますのでそのまま待ってくださいねー」


 そういうと結界は光り輝き、少し前の状態へと戻った。


「ふう……傷は治るけど、ついでに精神的な疲れも取れればいいんだけどな」

「贅沢を言っちゃだめにゃ」


 そんな会話をしながら両チームは握手をし、試合を終えた。実に良い試合だったな……。得る物は無いかと思ってたけど、そんなことなかったな。たまには覗かせてもらおうかな。

 そう思いながらも他のコートをちらっと見るに、多分勉強になるのはこの二組だけだろう。他の奴らより遥かにレベルが高いや。


「おいおい! やっと終わったのか。つまらねー試合を長々と続けやがってさー」

「! ああ……申し訳ないです。キャップさん……」


 な! あの強気なケイトが敬語を使ってるだと……? 

 その男を見ると身長は結構高く、体格もでかい。贅肉と筋肉が凄くついてるって感じの奴だ。隣にいかにもコバンザメの様な奴……というかこいつ、いつかのやんす君じゃねえか! ちょいちょい見かけるな……。


――バシッ! 


 キャップは突然ケイトの頬を叩いた。そしてケイトはそのままこけてしまった。


「おい! 俺様の名前を呼ぶときはキャップ様と呼べ! 何度言えば分かるんだ!!」

「は? お前なにして……」


 俺は割って入ろうとしたがケイトに手を止められた。


「いや……フィアン。いいんだ」


 ケイトは立ち上がり埃を叩いた。リッタ、オリアも拳を握り締め我慢してその様子を見ている。何故……何を我慢する必要があるんだ……? 


「ふん。じゃあ行くぞ。今日は約束の日だ。しっかりと全身を見せるんだぞ……?」

「そ、そうだな……じゃぁみんな……またな」


 ケイトは無理やり手を引っ張られながら、キャップに連れて行かれそうになった。その顔には涙が見えた。あいつが涙……だと……。


「おい」


――バキッ! 


 キャップは思いっきり俺に殴られ吹き飛んだ。


「はわわわわ! 何をしてるでやんすか!!」

「いってぇ……。この俺様を殴ったのはどいつだ……?」

「フィアン!! 全力で謝るでやんす! 死ぬ気で謝ったら今なら許してくれるでやんす!」


「何故こんなクズに謝らないといけないんだ……?」

「こ……この方はニューハット家のご子息でやんすよ!?」

「誰だよそれは?」

「理事長の息子さんでやんすよ! 貴族の中でも最高クラスの方達でやんす! ほらあやまるでやんす!」

「お前……ケイトをどこに連れて行くんだ?」

「ふん……教えてやろう。こいつの母親はニューハット家が経営する病院に入院しているんだ。ずいぶんと支払いが滞ってるから、差し押さえとしてこいつを少しの間、借りるのさ。つまり……俺様のおもちゃになるんだよ!!」


 気色悪い笑い方をしながらキャップは話した。


「そうだ。元々はこういう契約だった。最後にリッタ達と試合をしたら行くと言う約束だったんだよ……」

「情けで昨日中に赤3払えば延期してやろうと言ったのによ。一つも持ってきやがらねえ!」


「じゃぁとりあえずこれで今日は帰れや」


 そういいながら俺は赤2をそいつに投げつけた。


「代わりにお前が払うってか!? どっちにしろ赤1足りねーだろうが全部もってこ……」


 俺はそいつの胸倉を掴み持ち上げた。


「うぐ……貴様……まだ俺様に対してそんな事を……!」

「これで全部だ。お前は女性に暴力を振るい泣かした。これは慰謝料赤1以上の最低な行為だ。本来なら赤2でも払いすぎだと思うが?」

「ぐぐ……はな……せ。わがった。これでいい……!」


 そう言われ俺はぱっと手を離した。その勢いでキャップは尻餅をついた。


「お前……フィアンと言ったな。覚えておけよ!!」

「まぁ……どちらにしよ次の時に払わなければ、約束どおり俺のおもちゃになってもらうからなぁ……?」


 キャップはそう言って赤2を握り締めそそくさと退散してしまった。


「フィアン……」


 あの気の強いケイトはその場でへたり込んで俺の名前を呼んだ。

 とりあえず頭をぽんぽんと撫でた。


「フィアン……! 怖かった……覚悟はしてたけど、やっぱりその時になると……!」

「お前は俺のパーティと連合組んでくれるんだろ? つまり仲間だ。仲間は助け合わないとな」

「ありがとうフィアン……!」


 とりあえず落ち着くまでは頭を撫でてあげた。それを皆何も言えずただ黙って見守っていた。

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