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(完結済)異世界に転生したら俺が二人になってた。  作者: TOYA
第5章 覚醒・地下ダンジョン突入編
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133話 理事長に会いに。

「ただーいま」

「あ! フィアン! 戻ってきてたんですね」

「おうよ! すげえ技をまた覚えてきたぞ!」

「おおっ! どんな奴ですか!」


 久しぶりに二人が揃って、色々話をした。ルーネとテーネが婚姻の儀に出ていた事はテーネから聞いて知っているようだ。

 二人には聞こえているからあまり直接的な話はしていないけど、俺らもいつかそうなるかもなーくらいには話をした。

 また、俺は極意瞑想の事を伝え、今度地下合同ダンジョンの救助係をすることを伝えた。まだ確定ではないが……。

 ネビアもこの間、カースドシールドを使い込み、かなりの大きさのシールドを展開できるようになったと言っていた。実際に見せてもらったが、前半分は完全にシールド展開をされていたな……。とんでもない防御力だ。

 この日はそんな話をして終了、次の日からは通常通り学園で授業を受け、エリリアさんとの約束の日になった。


・・・

・・


「エリリアさーーん」


――ガチャッ


 また返事が無いし、扉の鍵が開いたままだ。もう二回目だし気にする事は無い……。約束の時間も有るし入っちゃおう。


「エリリアさーん? 起きてますか?」


 同じく二階に上がり扉を開けると、またソファーで寝ているようだ。酒の匂いも半端無いな……。


「え……エリリアさん?」


 毛布1枚で寝ているエリリアさんを揺すった。次は下着の姿で寝ている……。

 だめだ……こんなの見たら理性が飛んじゃいそうになるって! ただでさえ、この身体になってからは一度もソロプレイさえしていないのに……! 

 身体と精神が合ってないのは中々辛いな……。早く大人になりたいもんだな……。


「うーん……」

「エリリアさん! もう約束の時間ですよ!」

「え! なんだって!?」


 エリリアさんはその声で飛び起きた。まぁまだ時間まで1時間あるけどね……。


「嘘だよ。まだ1時間前!」

「ああ! 助かったよ! 起こしてくれてありがとうフィアン!」


 エリリアさんは下着姿のままで抱きしめてきた。


「エリリアさんダメだって! 早く用意しないと!」


――ヒーリングライト


「ほらこれで、酔いも醒めたでしょ?」

「おお……何から何まで助かったよ! すぐに準備をするから待っていてくれ!」

「まったく……大の大人がだらしないな……」


 エリリアさんはそのままシャワーを浴びに行ったようだ。

 とりあえず、辺りが酒瓶やらで散らかっていたので、片づけをしながら待つことにした。

 酒瓶が転がってるのに目が行ってたが部屋を見渡すとここには資料とかが一切ない。したにはごちゃごちゃ置いていたのに……。プライベート空間には仕事は持ち込まない人なのかな? 

 あと、ソファーの前にある暖炉がいい感じだ。俺もこのソファーに寝転がっていたらきっと眠ってしまうに違いない。だけど部屋の温度は少し暑いくらいだな。多少汗ばみそうになるくらいだ……。

 そう思いながら最後に毛布を畳もうと触れた。


「む……少し湿ってるな……」


 こんな暑い中毛布をかぶっていたせいだろう、ソファーと毛布が少し湿っている。多分汗をかいたんだろうな……。

 くう……こんな時にしゅっとするスプレーがあれば防菌にもなっていい感じなのに! このままだと絶対にカビとか生えちまうよ……! 

 と、もだえたところでどうする事もできない。とりあえず毛布を畳んで、部屋に日が入るようにしておいた。


・・・


「待たせたフィアン!」

「いえいえ、間に合えばそれでいいんだからね」

「というか部屋を片付けてくれたのかい!」

「まぁただ待ってるだけでも暇だからね……」

「ありがとうフィアン! 片づけとかどうも苦手でね……。そうだ! 私の嫁に来ないか!?」

「俺が嫁になるの!? いや、それはそれで嬉しいお話だけど、ダメだね!」

「そうか……それは残念だね……」


 いや、そこまで残念そうにするの!? なんだか申し訳ない気持ちになっちゃうからやめてくれよな……! 


「さて、では準備も出来たところで理事長に休止解除の話をしに行くぞ!」

「了解!」


 そういって俺達は準備室を出て、上の方の階にある理事長室へと向かった。


・・・


――コンコン


「どうぞ入りたまえ」

「失礼します。理事長」

「失礼します」


「む……君は……」

「理事長? フィアンとはお知り合いですか?」

「え……ああいや。大会で優勝した子だなと思ってね。そうかそうか。君が新たな救助係か」

「自己紹介が遅れました。前任者が居なくなり、私が代わりに救助係として使命を授かりました。フィアンと申します」


「そうかいそうかい。まぁ座りたまえ」

「失礼致します」


 理事長に促されるまま、大きなソファーに二人で腰を掛けさせてもらった。


「早速だが……試験には受かったようだが、君はまだずいぶん子供だね?」

「そうです! ですが、かなり優秀な子で……」

「エリリアよ。今はフィアン君と話しておる。少し黙りなさい」

「はい……すいません」


「さて……フィアン君。能力は十分にあるが、レッドになる前の救助係となった者はどうなったのか知っておるのか?」

「いえ……知りません」

「レッドになってからは死亡者は0人になったんだが……、それまでは救助が間に合わず、亡くなってしまう方も多々居たんだ」

「死亡者を出してしまった救助係は責任を問われ、それが一生付きまとう……それでもやるのか?」


 その言葉を聞いて、少し迷ったが、もうここまで来たんだ。やるしかないだろう……。


「はい。その覚悟はありますし、死者は出しません」

「覚悟だと!? そんな言葉だけでは信用できん! この演習はとても重要だし、休止しているのは学園としても痛いが、覚悟の見える者が担当で無いと安心して任せられんわ! これは"本当の意味"で命を賭けてやる仕事なんだ!」

「理事長……おっしゃるとおりです。覚悟という言葉はすぐに吐く事ができます。では、もし……万が一死者が出るような事になってしまえば、私も命を絶つ気持ちでやります」

「フィアン!? 何もそこまでは!!」

「黙るんだエリリア! ふふ……立派な男じゃないか。気に入ったぞ。吐いた言葉は責任を持てよ……?」

「はい」

「よしわかった。フィアン君の覚悟はわしの心に届いたぞ」


 俺は、極意瞑想を覚えてから、相手の言葉の揺らぎの様な物を感知できるようになった。ようは嘘をついているかどうかが大体分かるんだ。だから俺は最後にある質問をする事にした。


「理事長。前任のレッドさんという方、失踪したとか殺されたとか噂が学園で流れてますが、レッドさんはどうなったんですか?」

「……いや! 知らないんだよ。だから今も捜索を続けている。見つかればいいんだがな」

「そうですね……」


 今の発言……完全に嘘だ。理事長はあくまでも一般人だな。言動が非常に分かりやすい……。

 俺が質問した時に殺気がこちらに集中したし、発言中も闘気が非常に乱れていた。今も少し乱れたままだ。途中から薄々気づいていたが、確信した。理事長はレッドの死因を知っていて、俺の死を望んでいる。殺意を向けられているのがその証拠だ。命を賭けるといった時の変容っぷりが凄かったからな。

 さて、地下ダンジョン演習……平和に終われ無さそうだな……。

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