126話 学生生活中
「うにゃー!」
~~ブーストオーラ!
~~ビートスタンプ!!
「おっと、リッタ! ユニオンをしなくても上級技が放てるようになったんだな……!」
「リッタも成長してるんだにゃ!」
~~ウォールアタック!
――キンッ
リッタのウォールアタックを直接籠手で受け、少し足が後退した。
そのまま受けきった後剣を籠手でいなし、がら空きになった胸に剣を突き刺した。その瞬間、俺達は光に包まれた。
「ふう。お疲れリッタ」
「にゃー! 全然勝てないにゃ」
「まぁ天族になって俺も強くなったしな!」
「天族……羨ましいにゃ。リッタはもう試練の内容さえ全然覚えてないにゃ」
「まぁでもこうやって頑張っているうちに条件に引っかかるかもしれないぞ?」
「そうかにゃー。とりあえず頑張るにゃ」
「うんうん。応援してるぞ!」
「よし! もう一戦お願いするにゃ!」
「おっけー!」
俺とリッタは学園の決闘場で午前中の時間を全て使った。
ちなみに今日はこの場にネビアはいない。それぞれ自分に合った修行を考えてみようって事で最近は別行動が増えている。
・・・
・・
・
「いやーいい汗かいたにゃ」
「凄いな……。リッタも結構体力あるんだな」
「それを言うとフィアンもにゃ! 人族の癖に体力多いにゃ! いや……今は天族だったにゃ」
「あはは。リッタはこれからまた実技の授業か?」
「そうだにゃ。結構勉強にはなってるにゃ」
「そうなんだなー。俺も免除じゃなくて受けたかった気もするな……」
「フィアンは多分勉強にならないにゃ。授業内容は決闘場で生徒同士で戦うのがメインで、フィアンの相手は誰も出来ないにゃ……」
「そうか……」
「じゃぁリッタはそろそろ行くにゃ」
「おう。またな!」
そういって俺達は解散した。そういえば地下ダンジョン演習はいつ頃なんだろう……。総合窓口に行って、聞いてみるか。
・・・
・・
・
「ええ!? 無期限中止でいつ再開するか分からない!?」
「はいそうなんです。いつも救助係をしていた先生が失踪してしまい、代わりの先生を今探しているところなんです」
「失踪……!? もしかして少し噂になっている、赤い髪のエルフ族の……?」
「そうなんです。あの先生が学園で戦闘面もかなりの実力の持ち主だったんです。あれ程の実力を持つ先生を他で見つけられるかどうか……」
「なるほど……」
これ……完全に俺のせいじゃないか! とにかく、他に方法が無いか聞いて見なければ。
「その地下ダンジョン演習以外で、地下ダンジョンに入る方法はあるのか……?」
「そうですねー……。最近調査依頼も殆ど出してませんから、この演習くらいですね」
「そ、そう……」
「あ! ちなみにその救助係の条件って何?」
「詳しいところは演習の責任者のエリリア様に聞かないと分からないですね……」
「エリリア様……! その人はどこに?」
「多分ダンジョン演習の準備室にいらっしゃるかと……」
「分かった! ありがとう!」
俺はその場を後にし、エリリア様と言う方に会いに行く事にした。
もしかしたら別であけてくれるかも知れないし、責任者と話をすれば何かアイディアが出てくるかもしれない。ダンジョン演習の準備室か。地下ダンジョンの入り口の横にある小さめの建物の事だろうな……。早速行ってみるか。
・・・
・・
・
「これだな……」
硬く閉ざされた地下ダンジョンへの扉の横にある、2階建て木造の建物に着いた。ここが地下ダンジョン準備室のはずだ。
――コンコンッ
「すいませーん!」
全然返事が無い……。留守なんだろうか? そう思いながらドアノブに手を掛けてみると、扉は普通に開いていた。
「施錠されてないぞ……?」
俺はそのまま扉を少し開けて、再度呼びかけてみた。
「おーい! 誰も居ないのー? 鍵開きっぱなしだよー!」
「……」
普通ならここで帰るが、俺はまだ子供だ! 多少入っても謝ればすむだろうし、入っちゃえ! もしかしたら地下ダンジョンへの鍵が置いているかもしれないしな……。
俺は扉を開けてそのまま中へと入った。扉を見るとしっかりと鍵はついている。やはり締め忘れだろう。
とりあえず辺りを見渡した。綺麗に整理されており、鎧や、ローブ、あとは剣などの武器など分類ごとに分けられて置いてある。雰囲気は小さな武器庫って感じだ。
そのまま次の部屋へと移動した。そこには大きめのテーブルが真ん中に置いており、地図が広げられている。地下ダンジョンで解明されているフロアマップだろうか……5階までしかないな……。
この部屋は作戦会議を行う部屋なのかな……? とにかくここにも人の気配は無い。やっぱり留守にしているのだろうか……。
でも折角来たんだから、この扉の奥を見てから帰ろうか。もうここまで来たら一緒だ!
――キィィ。
作戦室と思われる部屋奥の扉を開けた。すると目の前にはすぐに階段があり、俺はその階段を上った。
階段は暗いが、上を見ると、扉が半開きになっており、光が指している。もしかしたら誰か居るかもしれない……。
「おじゃましまーす……。うっ、酒臭いな……!」
部屋の温度がじみに温くて、酒の匂いが充満している。少し目を前に向けると人がいた! どうやらソファーの所で誰かが寝転がっているようだ。酒瓶を持った手だけがこちらから見えている。
「あの……」
俺は声を掛けながら恐る恐る近づいていった。