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10話 出会い

 目が覚めると、朝の日差しが眩しいという事はなく、浄化の光の優しい光が差していた。昨日の恐怖はすっかりと消え、脳内でトレーニングしてた事を試したい気にさえなっていた。単純だな俺は……。

 ネビアは少し前に起きていたようで、パンと干し肉を温めてくれていた。


「おはようございます。フィアン、朝食です。どうぞ」


  昨日何も食べずに寝てしまったせいで、お腹はかなり空いており、目の前の食事をペロリと平らげた。


「ここが最深部じゃなかったんだな。早いこと進まないとな」

「フィアン、その、大丈夫ですか?」

「ぐっすり寝たせいかすごく気分が良いよ。ありがとう! いつでも行けるぜ!」


 そう言うと俺は荷物を片付けて、準備を終わらせた。あと1日ちょっとしかないというのもあり、のんびりはしていられなかった。


「では、行きましょうか」


  俺達はまだ先へと進む事にした。だが、ここで問題がでてきた。


「道が二つに分かれてますね」

「そうだな……この後も分かれていたら嫌だな……」


 ここに来てまさかの分かれ道が来たのだ! 左の方が何となくやばい雰囲気を感じていたのだが、どうやらネビアもそう感じているようだった。


「やばそうな方がシャドウナイトが居そうだけど……一回右側に行ってみないか?宝箱とかあるかもよ!!」

「いや、ゲームじゃあるまいし……でも良いですよ。行ってみましょう!」


 そう言いながらもネビアも少し期待しているな……俺と同じだからバレバレだぞ!

 分かれ道の入り口に浄化の光を設置する事にした。一応行ったかどうかを確認する為だ。そして、右側の方へと進んで行く事にした。

 奥に行くにつれて、瘴気が薄くなって来ているのに気がついた。


「この辺からほとんど瘴気が無いですね……魔装魂を纏わなくても良いくらいですね」

「どうなってるんだ? こんな奥まできて、瘴気が無いなんて……」


 そのまま奥へと進んでみると、少し広めの空間に出てきたが、来た道以外は岩壁に囲まれており、行き止まりになっていた。


「何もなかったですね……」

「だな……いや、でもあの穴、気にならない?」


 俺の視線に入ったのは、子供一人入れるかどうかの小さな穴だった。更によく見ると、そこから小さな光が漏れ出しているのにも気がついた。


「入って見るか……? ここまで来たし」

「ですね。行けるとこまで行ってみましょう」


 俺達はそのままその小さな穴を進んで行く事にした。穴は俺達でもぎりぎり通るくらいの大きさだった為、荷物を一緒に持って行くのに苦労した。進むごとに光は少しずつ強くなり、ついに穴の終わりが見えた。

 そこを出ると、俺たちが遊んでいた森のような雰囲気で、洞窟の中とは思えない景色が広がっていた。とんでもないサイズの大樹が立ち並び、上を見てみると、天井はすごく高い上に、大樹が石の天井を突き抜けて更に上へと伸びている様に見えた。大樹の木の根はぐにゃぐにゃうねりながらむき出しになっている為、まるでアスレチックのように行く手を阻んでいた。

 また、天井近くの木の幹からも枝が分かれており、葉っぱがたくさん生えていた為、天井は広範囲で葉っぱで覆われていた。その葉っぱを移動する、蛍の様な光る虫が群れをなして飛び交っている。この虫のおかげでこの辺は明るいみたいだ。その光景は神秘的で、何と言うか、葉で出来た洞窟……という感じだ。

 その景色を堪能しながら、大樹の木の根の間を通って、真っ直ぐに進んでいくことにした。


「空気も美味しいし、神秘的なところだな……。スマホがあれば写真撮りまくってただろうな」

「ですね! む、フィアン何か見えてきました」


 視線を先にやると木でできた小屋が見えてきた。更にそれが生活観のある雰囲気で、正直驚いていた。


「だれか住んでいるのか……?」

「信じがたいですが……ありえますね」


 俺たちはその小屋にゆっくりと足を運んだ。小屋の前まで到着した時、扉をノックしてみると、声が聞こえて来た。


「誰かいるの?」

「こんにちは! 怪しいものではありません!」


 とりあえず、なるべく爽やか風に挨拶をして見た。


「怪しくないって! あけてあげよう!」

「……だめ、そう言うやつ程怪しい」

「えーでも、お客さんだよ?」


 そんな二人のやり取りの声が扉越しに聞こえて来た。


「こらこら、顔を見ないで何を言い合ってるんだい。あけてやりなさい」

「はーい!」


 3人目の声がそう言うと、扉の鍵をあけてくれた。


「お邪魔します……」

「おやおや、小さいお客さんだねえ。まぁ座りなさい」


 白髪の杖をついたお婆さんが俺らを招き入れてくれた。その背後には俺ら位の歳にみえる、小さな女の子が二人隠れていた。


「まさかこんな所に人が住んでいるとは思いませんでした……。私はネビアです。こっちはフィアン」


 俺は軽く会釈をした。


「礼儀が正しい子達だね。これ、二人共挨拶をなさい」

「こんにちは! ルーネです!」

「……テーネ」


 クリーム色の髪の子がルーネで、黒髪の子がテーネという名前のようだ。ルーネは元気そうだが、テーネは引っ込み思案なのかな? とか思いながら、二人をじーっと見ていた。なんとなく不思議な感覚がする子達だ……。


「見すぎ……」


 テーネに言われてはっと我に帰った。


「あ、ごめん……」

「あの、ここでずっと暮らしてたんでしょうか?」


 ネビアは恐る恐る聞いていた。


「そうだねえ、ここへ来たのはいつだったかな……かれこれ50年前程になるねえ……」


 おばあさんは遠い目をしながら語り始めた。

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