4話 手紙 その1
【電〇的な彼女】に憧れて書いています。
似てると言われても反省はしないつもりです。
書きたいように書いていきます。
よろしくお願いします。
6月初め、中間テストが返却された。
帰りのホームルームでは、各教科の点数、クラス順位、総合順位の書かれた紙が配られた。
それとは別にウガミはもうひとつ紙を持っていた。恐らくはラブレターである。
朝、昇降口の下駄箱の中に置いてあった。それは綺麗に装飾された封筒に包まれていた。こんなことをする差出人に心当たりが一つだけウガミにあった。
それが外れることを願って、昼休みに教室で封筒の中身を読んだ。教室内は騒がしかった。でも嫌悪感を抱くようなうるささではない。健全な高校生の明るさ、騒がしさという風に感じていた。クラスの皆、集まって誰かと食事を取っている。話題は中間テストや成績のことが多いようだ。体育館や外に出て行く男子生徒もいる。そんな様子を自分の席からわかってしまった。自分は地獄耳なのかもな、なんてウガミは思った。
教室で手紙の一つ読んだところで、誰も気にしない。気にも止めない。だが教室内で一人がウガミのことを注視しているのに気づいた。
あぁ、あの娘は多分違う。まったく心当たりがない人物からウガミは見られていた。彼女のことをウガミは同じクラスの女子ということしか知らない。
5月の末のこと
何故だか知らないが、自分が3年後に死ぬということを知った次の日から、よく彼女から見られている。
何の接点もないが、見られている。わかること、それは死ぬことを知る前は見られていなかったということ。彼女との接触がないため、それしか自分の中の転機になり得ない。他にも何かあったかな、と考え込もうとしたが止めた。考えることは苦手なんだとウガミ自身思った。
手紙の中は、ウガミをえらく褒めちぎった文が並んでいた。違う意味で顔が赤くなりそうで、必要な情報だけを頭に入れるような速読みたいなことをした。できているかはわからないが、顔は熱くならないで済んだ。長い文からはウガミを好きだということ。遠くからずっと見ていたということ。今日の放課後に学校から三番目に近いマックに来てほしいということ。を読み取った。
もうウガミには、誰が出した宛名のない恋文かわかっていた。
イタズラじゃないのか。
気持ち悪いな。
回りくどい。
向こうから直接来ればいいのに。
なんて思いながらも放課後、ウガミはマックに足を運んだ。
☆☆
外にはいない。
店内にいるのか、なんて手紙を取り出して確認してみたがどこで待ってるかについて詳しく書いてなかった。不親切な恋文だと思うと同時に、万が一にイタズラのラブレターだとしたらとも考え出してしまい、入り口のドアの横で立ち止まった。
しばらくそのままでいた。
こんなところに自分がいたら売上が下がっちゃうな、と自嘲的な考えに発展したところで
自動ドアが開いた。
「やぁ、来てくれたんだ! 」
ウガミの思い浮かべていた人物が中から出てきた。
ヨーがウガミを見て言う。
身長差があるため見上げながら言う。
「驚かないの? ショックだったりしないの? 」
息を吐いてウガミが返す。
「安心した。寧ろお前でよかった」
ウガミの返答が想定外だったのか、ヨーは一瞬固まった。
その後、笑ってウガミを店内へと誘導した。
ヨーという男の笑い顔を見ると、背筋に冷たいものが走る。
あの一件以来、顔を合わせていなかったが、その気味悪さを思い出した。
まぁ、俺も怖い顔をしている自覚はあるけど。
それでも、暗闇に白く浮かぶ幽霊なんてものを見てもこんなに恐怖は感じないだろうと思う。幽霊なんて高校生にもなって子どもっぽいな。今はこんなでも、いつかは大人になるのだろう。
...いや、なれないか、3年後に死ぬんだから。ギリギリ二十歳になれないのか。人がいつ死ぬかなんてことは誰にだってわからない、今この瞬間に人が死ぬことだってある話だ。言葉にできないもやもやが浮かぶ。早く学校の連中みたいに割り切らないとなぁ。
ヨーとウガミは向かい合うように席につく。
ありがとうございました。
前までTWITTERやっていることを知らせていたのですが
見ない方がいいですよ。