青木 駿の場合
それは唐突な出来事だった。
彼女が死んだ。
あっけなく。
簡単に。
そして、僕は追われている。
彼女の殺害容疑者として.....
彼女の名は伊藤圭子。
都内の大学に通う女子大生。
3年の夏に合コンで知り合った僕と付き合っていた。
そして、殺された。
死因はハッキング。
犯人は青木駿。
つまりは僕だ。
ハッキングで人が死ぬ。
昔の人はなんだかわからないだろうが、今の時代医療も全て携帯電話に集約されている。
ウェアラブル端末という機器をご存知だろうか?
スマートフォンが普及し始めた時代、それと連動してうごく腕時計型の端末である。
体調管理などの目的で作られたものなのだが、医療機関と連動し進化を重ねた結果、この世界から医師が必要なくなってしまったのである。
原理は簡単だ、体内にナノマシーンを注入し体調に変化が出たのを察すると携帯電話にアクセスし原因の解明と治療を行うのである。
ナノマシーンがハッキングされてしまえば簡単に心臓などを止めることができるわけなのである。
今までも何度もハッキングをしようとしたハッカーなどがいたのだが全てが失敗に終わっている。
今回の事件以外ではだ....
今の時代情報の伝わる速さは尋常じゃない、圭子が死んで5分後には犯人である僕の名前とハッキングでの殺害が知れ渡っていた。