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グランプ!  作者: 緋呂
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カードゲームなんて馬鹿らしい【3】

 扉が開くと来客を知らせる軽い電子音、こう見ると……グランプばっかだなこのカードショップ。一応どのカードゲームも扱っているはずなのだが。

「いらっしゃいませ。おや?」

 店員の一人が挨拶をしてから俺の顔をまじまじと見ようとするがそれに取り合わず俺は嫌な空気を感じながらもスタスタとカードゲームを出来るスペースへと早歩きする。

「よっし!覚えるぞー!」

 後ろの意気揚々とした声がせめてもの救いだった。俺は喉元の嫌な感じのものを取り払うが如く一つ息を吐いて、それから、一つの二人用テーブルの座席に着く。

「それじゃ、とりあえずグランプのルールとか概要を言ってみ」

「えー!? またー!?」

「出来なきゃ教えてやらん」

「……はーい」

 ブーブーとしかめっ面を見せながらも菅原は自身のバッグからカードケースを取り出してそこから50枚強のカードを引っ張り出した。

「グランプは54枚のカードを使って遊ぶゲーム。それぞれカードにはトランプ同様エースからキングの13個の数字、それとは別にダイヤ、クラブ、ハート、スペードの四つのマークがあしらわれてる。そしてそれとは別にジョーカーカードが2枚、この合計54枚を使って勝負すんだよね」

「おぉ、ちゃんと覚えてんじゃん。偉い偉い」

「何回言ったと思ってんのさ! いいから取り敢えず始めよ!」

「ほいほい」

 俺はバッグから新品のカードケースを取り出すとそこから菅原と同じくカードを取り出す。

「あ、そのカードケース使ってくれてるんだ」

「そりゃもらったら使うだろ」

「よしよしいい子いい子」

「おい、調子のんな。ほら、デッキチェック」

「ういーっす」

 菅原は俺から俺のデッキを受け取りパラパラとちゃんとエースからキングが4枚ずつ、4つのマークのチェックをする。もし同じ数字が5枚あったり、同じ数字のマークが二つあったりする場合はルール違反になってしまうため、プレイヤーはお互いに自分のデッキを渡しチェックさせる。

 そしてチェックが終わるとデッキを良くシャッフルし、ようやくゲームスタートなわけである。

「おい、お前ジョーカーデッキに入れたまんまになってんぞ」

「あ、抜くの忘れてた」

 てへぺろっと舌を出されたがこんな基本の基本間違うな。公式戦だったらこのミス初心者だと馬鹿にされるやつだぞ。まぁ、こいつ初心者だけど。

 ジョーカー。トランプでもあるマークも数字もない奇妙なピエロだったりがよく描かれている事が多いそのカードはこのグランプでは……いや、他のトランプを使うゲームでもそうだがキーカードとなる事が多い。

 そしてグランプではこのジョーカーはデッキに入れずデッキの横に二枚重ねて出しておくのがルールだ。

 今回特にそれ以外のデッキの不備は見られない。ようやくまともにデッキ組めるようになったかこいつも。

 最初なんて適当に54枚集めたデッキだったからな。6が9枚あった時は笑った。

「問題なし。でもお前これだとチェックに時間かかるからマークごとに並べた方がいいぞ。クラブの1から13、ハートの1から13個って風にさ」

「あー了解。雷斗のデッキ見てこれからはそうするって今誓ったところ」

「はいはい」

 絶対嘘だがまぁ、ルールではなくマナーについての小言だったためうざいと思われても仕方ないな。

 お互いにデッキを返してもらってよくシャッフルする。

「よし、デッキの一番上オープン」

「ほい! 12」

「俺6。先攻はそっちからだな」

 先攻はデッキの一番上のカードの数字が単純に大きい方からだ。そしてそのカードは一番下に送られる。つまりプレイヤーはお互いにデッキの一番の下のカードを知った上でプレイする事ができる。

「よーし行っくぞー! Let'dealレッツディール!」

「その前にライフカードな」

「おぉ、そうだったそうだった」

 そう言って菅原はデッキの上から5枚カードを引きデッキのジョーカーが無い方の横へと置く。

 ライフカード。それは自身の文字通り命扱いのカード。こいつを全て失うとプレイヤーは負けになる。

 俺は1枚だけライフカードとした。このゲーム、ライフカーは実は1枚〜5枚にプレイヤー自身が設定する事ができるのだ。

「また1枚!? 雷斗私の事本当なめてるよね」

「いやいや、ライフを1にするのも立派な作戦なんだぜ。だってライフにしたカードはもう手元に戻ってこないんだから。グランプではそれが」

「はいはい、わかったわかった。やるよほら」

「Let's deal……」

「Let's deal!」

 こいつゲーム開始の合図だけ元気だな本当……。

 俺はデッキから6枚のカードを引く。これがスタートの手札。うむ。まずまずの引きだ。というか多分勝った。

「よーし! ダブ6でグランウィザード召喚!」

 色黒の魔女が茶色い羽織を着た綺麗な【アタック3000】のカード。だが……。

「グランウィザードはダブルで召喚するとアタックを+2000!」

 ダブルとは同じ数字のカードを重ねて出す事を指す。つまり菅原は6のカードを二枚重ねて召喚したというわけだ。

 この場合もう一枚の6はドロップと呼ばれる装備カードとなる。

 しかも……ダブルで召喚する事はもう一つ重要なアドバンテージを得る。

「ダブルで召喚出来た場合はもう一度召喚出来るんだよね?」

「その通りだ」

「よーし、じゃあミニゴブリン召喚」

 言葉とともに出されたカードには小さな緑色の肌をした小人が身の丈より大きな武器を持ったモンスターがあしらわれている。

「いきなりアタック5000のカードを出せちゃったー! 更に1ターンでモンスター2体出せるなんて攻撃できる次のターンが楽しみだね!」

 先行のプレイヤーは最初のターンは攻撃出来ない。

 よって菅原はターンを終了しないといけないのだ。

 さて、次は俺のターン。すまんな菅原。次のターンで地獄見せちゃうわ。

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