カードゲームなんて馬鹿らしい【2】
下校中でも周りではグランプの話題が飛び交う。
グランプ。
それは三年ほど前から急に世界で流行りだし、今ではプロのグランパーと呼ばれるグランプを生業、及びそれで生活出来るほどの地位を確立したほど世界で愛されるカードゲームである。
発売当初はそこまで有名なゲームでは無かったが、グランプを題材にしたアニメが放送されるや否や、買い求めるものが続出した。
終いには国境を越えてのカードゲームでの友情、みたいな大々的な宣伝文句のおかげか世界でもそこそこの知名度を誇るものとなっている。
更に言ってしまえば最近の学生では持っているのが当たり前とされ、持っていないと話題についていけないなどと、良く見方をすれば友情の架け橋になるもの、悪い見方をすれば、持ってないと侮蔑されうるものである。
確かにこのカードゲームにも希少であるレアカードなるものが存在し、それを持っていることが一つのステータスであるともされる。
そんなはたから見れば不思議な強制力は見事社会の一つのブームとして存在するに至ったのである。
ここでグランプは一つのステータスであると告げたわけだが、そこに男女の境目はあるのだろうか? 答えはノーだ。
グランプは女性達もやっている。流行り始めた理由までは知らないが女性も普通にグランプを好んでやっているのである。
そして菅原もブームにかなり遅れながら乗っかった一人というわけである。
「ねぇ、雷斗。今日はカードショップに行ってみない?」
「えぇ、めんどいから却下」
「そう言わずにさー。今のボクなら誰か一人くらい勝てるかもしれないし!」
「カードショップに行くまでしてるって事はガチのグランパーが多いわけだろ? 無理だね。菅原じゃ勝てねぇよ」
学校帰りにあるカードショップでは日夜カードゲーマー達が自身の持つカードがどれほど素晴らしいかを計る、もしくは自己顕示するために多くいる。
カードショップの中にカードゲームを出来るスペースを店側が用意してくれているのだ。
「でも今日ボクの家使えないんだよね。あはは」
「帰る」
身を翻し自分の家への進行方向につま先を向けるとガシッと肩を掴まれた。
「ちょーっと待った! ダーゲンハッツ2個!」
「……チッ、しゃーねーな」
分かりやすく舌打ちをしてからまたそれまで歩いていた方に身を翻す。
カードショップに行きたくない理由は面倒臭いという理由とは別にもう一つあるのだが、1時間彼女にカードについての講座を行うくらいならそう事にもならないだろう。
自己判断を正しいとして俺はカードショップまでの道のりを歩み始めた。