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脳移植したら世界が変わっただと?!  作者: 猫夏れい
第一章「脳移植と変化」
8/21

お弁当

七日目。

ついに一週間超えです。

感想やアドヴァイス募集中!

もし来たら作者がないて喜んで大体二徹します。


 


「秋元君が今日から復帰だ」



 先生の言葉に教室はざわめき始める。



「秋元、入れ」


「は、はい」



 先生の声に促されるがままに教室に足を踏み入れる。

 教室は静まり返っており、同級生達は俺を見つめてポカンとしている。


 そりゃあそうだろう。

 もし俺が逆の立場だったら、男だったクラスメイトが突然事故を起こして女になって戻ってきたら唖然とする。



「えっと、事故を起こして身体が変わったけど秋元慧と申します。あ、改めてよろしくお願いします」



 久し振りにみんなの前に出ると、どうも気恥ずかしくて堪らない。




「先日話したとおり本人はまだ現状に慣れ切って居ない。みんなも急な変化に戸惑いを感じるかもしれないが最も戸惑いを感じているのは当然本人のはずだ。どうかみんなも日常生活においてフォローを入れてやってくれ」



 現状に慣れ切って居ない、か。

 確かに先生の言う通りではある。


 でも、実際は現実を受け入れきれないと言う方が正しいのかもしれない。

 僅かな差の様に思えるが慣れると受け入れるは違うと俺はそう思っている。



「秋元、お前の席は前のままにしてあるからな」


「は、はい」



 俺は先生に促されるがままに席に着いて、ホームルームが終わった。


 そして休み時間。

 地獄だった。

 周囲にはクラスメイトが、教室には他学年や同学年の他クラスの生徒が野次馬として集まる。


 イチバンきつかったのが女子の質問責めだった。

 どうにか当たり障りのない答えで流してはいたが段々と質問の出てくる間隔が早くなって行き、最終的には頭の処理限界を超えてオーバーヒートしてしまった。


 そして授業に関しても特に困る様なことはなく進行して行き、ついにお昼休みになった。

 俺は弁当箱を取り出すとゆっくりとおかずを咀嚼して呑み込む。

 しかし、口の容量が小さくて一度に多量の物は食べることが出来なさそうだ。



「慧、おっぱい触らせてー」



 男のクラスメイトが唐突に言い放ってくる。



「いやだ」



 勿論答えはノー。

 触らせるかよ。バカなの?



「良いだろ? 100円やるからさー」



 100円て、安すぎやしないか。


 確かこいつ、女子から白い目で見られても平気な様子でデリカシーのカケラも無い言葉を浴びせかけてくる事で有名な奴だったはず。

 名前は忘れた。



「慧ちゃん、おっはー」



 もう昼過ぎなので挨拶はこんにちはのはずだが……。

 あの馬鹿も和美と関わりたく無いらしくて逃げ出した。

 他のクラスメイトもそっぽを向いている。

 まだ入学から一ヶ月経っただけなのにかなりの人から敬遠されてるんだな。


 確かに絡まれると厄介だし、俺に絡んでいる和美にちょっかいを出した奴は近づこうともしなくなっている。

 なにがあったのだろうか。


 まあこれはこれで良い虫除けにはなりそうだが、なにぶん効果が強すぎて逆に俺が孤立してしまいそうだ。


 人間関係多めにを作っておかねば。



「和美、何か用か?」


「ん〜っと、なんだっけ?」


「それを俺に聞かれてもな」



 相変わらずの和美節を炸裂させて来る。



「だって忘れちゃったからしかたないじゃん」


「俺は心を読めるような特殊能力など持ってないんだが」


「むぅー」



 和美が何故か頬を膨らませて俯いてしまう。

 本当にこいつはなにがしたいのだろうか。



「ちょっと俺、まだ弁当食べてるから」



 刹那に俺の全身に悪寒が奔る。



「……じゅるり」



 獣だ。

 食べかけの弁当(獲物)を狙う獣が目の前にいる。

 というより何故こんな食べかけの物を狙う?!



「や、やらんからな」


「じぃ〜っ」


「……っ」



 擬音を口で露骨に言い表してくる。

 一見すると可愛いが実際はかなり怖い。



「分かった。やるから、やれば良いんだろ?」


「やった〜!」



 俺が折れると奴は図々しくも食べかけの唐揚げをつまんだのだ。

 うげぇ、なんということをしてくれたのでしょう。



「おいひ〜!」


「お前……」



 一瞬で食欲が無くなった。

 恐らく俺の目からは生気が失われているだろう。



「和美、それ、全部、やる」


「ホント? やった!」



 弁当を差し出すと俺の箸(・・・)を使って弁当を食べて始めた。

 よく俺の箸を使えるな……。


 黙っていれば可愛いのだが。



 やはり、こいつは変人だった。


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