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脳移植したら世界が変わっただと?!  作者: 猫夏れい
第一章「脳移植と変化」
5/21

背丈って大事

四日目。

きついかな……?

「ねえ、慧」



 あの二人が出ていくのを見送った後に母が現れる。



「折角だし、お使い頼まれてくれるかな?」


「お使い……、何故に?」


「それはモチロン、慧が早く社会復帰出来る様にって思ってのコトよ!」


「……本音は?」


Yae(ヤエ) do(ドゥ) chocola(ショコラ)のケーキが食べたい!」



 成る程、……チョコレートケーキ専門店のケーキを食べたいと。

 と言うかそんなに開き直られても困る。



「断る」


「良いじゃ無い。お小遣いはお釣りで、ね?」



 なん、だと……?

 断ろうと決意していた心が大きく揺れ動く。



「……何円?」


「700円」



 心の壁は決壊した。


 いいだろう。

 その話……、乗った。


 静かに母さんを見つめると俺は無言で手を差し出す。


 勿論、お金を受け取るために。



「交渉、成立ね。行ってらっしゃい」



 俺は母の視線を受けつつも無言で玄関から出て行くコトとした。

 金のために。



 そして、これは母に頼まれたお使いで家を出てしばらくしたあとの話だ。



「お嬢ちゃん可愛いね! ちょっとオレ達と一緒にお茶しない?」



 四人組の不良に絡まれた。

 いや、ガラの悪いチャラ男とでも言うのか。


 ナンパだぞ!


 正真正銘のナンパ!


 とはいえこんなものはいち早く抜け出さねば親元から自立できそうにも無い。



「いえ、そう言うの、私受け付けてないんで」


「えぇ〜? いーじゃん。ちょこっとだけだってばー」



 金髪のチャラ男Aの反論。

 俺の足はすくんだ!



「いえ、でも急いでいるので……」


「急ぎ? じゃあさ、近くのオミセに寄ろうよ。10分程度で終わらせるからさ〜」



 サングラスをしたチャラ男Bの追撃。

 俺は沈黙状態に陥った。


 ……迫力と言うか話の流し方と言うか、俺の話が巧く流されている。


 目の前の奴らやたらと背が高い。

 これも反論し辛い原因の一つなのだろう。



「う……ぁ……」



 俺はもう戦闘不能だ。

 頭が真っ白で何も考えつかない。


 怖い。

 目の前の野郎に何をされるのか分からない。


 母さんの口車に乗せられるんじゃなかった……。



「ホラー、いこっかァ〜」



 一番背の低いチャラ男Cが俺の手を掴む。


 体がすくんで動かない。

 心が恐怖で満たされている。



 だめ、怖い……!


 手を引かれるまま連れて行かれる。



「おい」



 引き止める低い声がした。



「貴様等、嫌がっている少女を無理やり連れて行くとは対した見上げた根性を持っている様だな」


「なんだてめぇ!」



 無個性なチャラ男Dが声を張り上げて叫ぶ。

 俺の足がさらにすくんで立てなくなってへたり込んでしまう。


 視界が急に開けてきた。

 彼奴は……?



「峰……?」



 彼奴だ。

 先刻まで一緒に楽しく話してた。



「オラァ!」


「……踏み込みが甘い」


「いだっ?! いだだだだっ!」



 殴りかかったチャラ男Bの足を払い腕をひねる。


 それに怖気付いたのか他三名は逃げ出した。

 抑え込まれている奴は峰が手を離すと情けない声を上げながら走り去って行った。



「大丈夫か?」



 峰の声が聞こえる気がするが頭は今だにフリーズしっぱなしだ。



「どうした、慧」



 ぶっちゃけ、……惚けていた。



「全く、帰り道に神速の爆風(ウインドー)という雑誌を買いに来てみれば貴様はこの有様だ。もっと気を付けるがいい」


「ぁ、うん……」



 変な様子に苦笑の表情を浮かべる峰であるが、一息吐くと俺の頬を軽く叩いた。



「大丈夫か。まさか人の持ちし欲望の鏡(ヒュマドリュム)(意味不明)に掛かっていたのではあるまいな」


「え、あ、それは、勿論……」



 もしかすると掛かっていたのかもしれない。

 その、……ひゅまどりゅむ?とかやらに。

 無論、言葉の意味は分からないが。



「さっきは、どうもありがとう」


「そう畏るな。俺の方がお前には借りがある」



 何なんだよ。

 この微妙すぎる雰囲気は。



「じ、じゃあな。頼まれてて行きたい店もあるし」


「お前だけじゃ危うい。俺も着いて行こう」


「えっ……」


「嫌なのか?」



 ……寂しそうな顔をするな。

 これだと断りきれないじゃ無いか。



「いや、着いて来てもらった方がいいかな。その拳法の実力も捨てきれないしね」


「フッ、任せろ」



 そんな感じで峰にボディガードなものを任すコトになったのだった。

修正2015/5/5

飛翔の秘宝のルビがなんだかアブナイ感じがしたので、

神速の暴風でルビはウインドーにしておきました。



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