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脳移植したら世界が変わっただと?!  作者: 猫夏れい
第一章「脳移植と変化」
15/21

エアークラッシュ!

おひさです

 朝だ。


 真っ白な病室の天井が俺を出迎えてくれる。いや、嬉しくはないんだけども。


 望月先輩とはあのあと楽しく雑談した。

 時々望月先輩がおかしなベクトルへと暴走しかけていたことを除いては、とても楽しい時間を過ごせたとい


 っても過言ではなかった。

 まあ、どうして入院しているのかについては教えてくれなかったし、俺の方からも聞きもしなかったのだけ


 れど。



「はい、血圧を測りますね」



 看護師さんが毎朝の健康チェックとして血圧を測るバンドを腕に巻いてくれている。

 母さんからは変だと言われるがバンドの妙な締まり具合はちょっとだけクセになる。

 ……へんなのだろうか?



「はい、以上です。何かあったらナースコールで呼んでくださいね」



 朝の健康チェックも終わり、暇な時間へと突入する。

 平日は暇になるなー。あ、でも退院もあと3日くらいだっけ。入院の理由も刺された時の失血とかなんとか


 って言ってたような気がするし。



「入っていいですか」



 俺はドアのノックに反応して返事をする。それにしてもこんな時に来客とは気が利いているのだろうか。い


 やまあ、そんなわけないんだけれども。



「一晩ぶりね」


「望月先輩……? ど、どうしてここに」


「カルテを勝手に覗いたのよ」



 ……危ない話だった。というか、カルテを勝手に覗くって犯罪じゃないんですか!?

 そんな感じのアイサインを送ると、うーんと唸りながら首をひねり始めた。

 あ、ダメだこの人。



「いいのよ。……多分」


「いやダメですよね、それ」



 もう多分って言ってる時点で自分でも悪いことしてるって自覚あるでしょ、この人。



「先輩と慧だけの秘密よ?」



 いや、そんなかわいこぶったってそれとこれとは話が別でしょうよ!



「あれ、効果無いわねー」


「……」



 効果が無い、そう言われてみればそうかもしれない。昔は先輩のブリッコ一つで顔をゆでダコみたいに真っ


 赤にさせて金魚のように口をパクパクとさせていたほどなのに。


 ……一体、どうしてだろうか。

 女の子になったにしても和美の急接近とか心臓がバクバクとしてしまうしなあ。



「そういえば、先輩。見ないうちに痩せちゃいましたね」



 ここで話題転換っと。

 これ以上は話が途切れてしまう。痛い沈黙には耐えきれそうにもないし……。



「そう? うーん、今私が飲んでる薬の副作用かしらね」


「薬?」



 薬かあ。

 一体何の薬なのだろう。



「ふふ、秘密」



 どうやらあんまり俺には話したくはない内容らしい。

 隠し事をするときには決まって秘密と言って隠す癖は変わっていないらしいようだ。



「先輩」


「なぁに?」


「……ぃや、何でもないです」



 今はまだ聞かなくてもいっか。俺にとってもそんなに重要なことでも何でもないし。



「やだねー。私に隠し事なんて良くないわねー」



 別に対して隠していることではなくて聞きたいことなんだが……。まあいいや。



「でも、望月先輩も十分俺に隠し事してるじゃないですか……」


「あら、そうかしらー?」



 やはり先輩といる時間はあの時(・・・)と変わらず居心地がいい。

 ま、ずっと続いて欲しいだなんてこれっぽっちも思ってない。なんて、ね。



「慧、私ね……」


「先輩……?」



 先輩が突然口ごもった。そんなに言いたくないのなら言わなくてもいいのに。一体何を無理して言おうとし


 ているのだろうか。



「実は――」


「たのもー!!」




 先輩が意を決し、口を開きかけた次の瞬間のできごとであった。

 突如として扉が勢いよく開け放たれて和美が乱入を果たした。名づけて空気破壊(エアークラッシュ)、なんちて。

 とまあ面白くもない冗談を考えながら、俺は固まってしまった空気をどうにかしようと模索することにした。


忙しい……。

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