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契約せし者の双剣  作者: 葵セッカ
新しき選定者
3/21

天魔召喚

「沙玖夜、蹴りをつけに来たぜ」

「あらまあ、早かったのね。まだ10日しか経ってないよ?」

「十分遅えよ。イヒルは、あいつは無事なんだろうな」

「うん。もちろん、無事だよ。綺麗な身体のまま、だよ?」

「ああ、そうか。じゃあ、あいつを返せ」

「返せとはなんだい?彼女は君の恋人、なのかい?違うだろう?」

「ああ、違うよ。だがな、あいつはただの女の子なんだ。ツンデレお嬢様なだけなんだよ」

「私がなんだって?奏皇真」

「ああ?誰もお前なんか呼んでねえんだよ。ただの天魔が」

「ただの、とは失礼しちゃうわ。アドラメレクは人を呪う悪魔よ。特に、この代は人に憑依してその体を乗っ取るのが特別上手いんだから」

「それなら、天魔以下だな。いっそ俺が殺してやろうか?そうすりゃ代替わりでマシな奴が生まれるだろ」

「やれるならやってみれば?その子はあなたの大事なお友達、なんだからさ」

「こいつが俺の友達?何言ってんだよ。こんな腐った野郎が俺の友達だと?俺の友達はなあ!もっともっともっともっともっともっともっと!綺麗なをしてんだよ!こんな汚ねえ瞳じゃねえんだ!俺とは違うんだよ!」


彼は昔、罪を犯した。誰も庇えない大きな罪を。彼は禁忌を破ったのだ。堕天魔との契約。己の堕転を意味し、その堕天魔と同一になること。だが、彼の場合は特別だった。同一化しなかったのだ。しかし、力を得てしまった。その堕天魔の力を。それにより、彼の母は契約祭典バートラグ・フェストを失格になり、彼女の契約者としての人生は幕を閉じた。


「ふうん。君とは違うのか。まあ、そうだろうね。

君の場合ケースは契約者の世界を闇へと引きずり混んだからね。君自身で(、、、、)

「っ!」

「いやまあ、私は感謝しているんだよ。計画も早くなったし」

「計画?」

「おっと、私としたことがつい喋り過ぎてしまったよ。それじゃあ、ともかく、

そろそろ出て来てくれないかい?みんな気づいているよ」

「…ありゃありゃ。ばれてたんだ。言ってくれればすぐ入って行ったのになあ。ま、いっか。久しぶり、皇真」

「ああ。久しぶり、リューイ」

「魔導師がここに何の用だい?」

「皇真の気配を感じたから、ちょっと親友に会いに来たってわけさ」

神樹リューイ。彼は皇真の親友の男だ。自称『通行人Qぐらいの人間』だが、実際は『燃え盛る光(リヒト・フレア)』として有名な、大魔導師である。


「ま、良い感じに2対2って感じじゃね?」

「一ついいか?リューイ」

「ん?なんだ?ってああ、そゆこと」

目の前には30体程の堕天魔がいた。

「そういうことだ。やるぞ!」

「おうよ!」


火紋フレア・エニモスタ!」

「イロウエル!旋風に響けし恐怖(アンスト・ワーヴェル)


雷光ブリッツ!」

災禍の戯れ(スポート・ライド)!」


僅か7分で30体の堕天魔が残り3体にまでなっていた。しかし、残った堕天魔は上級天魔であっただろう天魔であるため、侮ることは出来なかった。それにイヒルいや、アドラメレクが出てきたので分が悪いともいえる状況だ。


「皇真、俺はこの3体の相手をする。お前はそっちの可愛い娘を乗っ取ったクソ野郎を頼む」

「了解」


「さて、正直勝てるか不安だなあ。っていうか、喋らない相手と戦うってのはちっとばかし調子が狂うな」

「「「………」」」

「ああもう!やりずれえ!さっさと殺してやるよ!おら、かかって来いや〜!」

3体の堕天魔が同時にヒューイめがけて一直線に突っ込んで来る。

「覇大魔法!閃光の豪火龍・ファンリゼラード!

覇大魔法とは、強大な魔法であり、大魔導師クラスの魔力と実力を持った者の奥義とも言える技である。

ヒューイが地面を叩いたその場所から龍が現れる。そして、その龍が大きな火を起こす。

「豪火光龍刃!」

光の如く眩しく、速い炎が堕天魔を包み込み、刀の様に斬り裂いた。

「ったく、どうせまだ生きてんだろ。この調子じゃあ魔力無くなっちまうぜ」

龍が巻き起こした竜巻の中で堕天魔が立ち上がる。弱っている様にも見えるが、まだまだ余裕がある様にも見える。


「わたくしも手を貸して差し上げますわ、皇真さんのお友達」

丘の上に一人の少女が立っていた

「誰だ?あんた」

「あら、なんて酷い口の聞き方ですの?…まあいいですわ。わたくしはフューズ・ベイス。契約者ですわよ」

「じゃあ、お嬢さん、手を貸してくれるかい?」

「もちろん。そのつもりで来たのですから。

神の力を借りし天使よ、我が魂を糧としその力を我が手に宿せ。出でよ、神の友、ラグエル!」

「へ〜。なかなか綺麗だね」

「それはそうですわ。このわたくしが綺麗でないわけが無いでしょう」

「じゃあ、よろしく頼むよ、お嬢さん」

「余裕ですわ」


「行くぜ、火炎の拘束(フランメ・ツヴァング)!」

神の恨み(ゴット・グロル)!」

火の鎖が1人の堕天魔を拘束する。その拘束された堕天魔を神の恨み、憎しみの闇が包み込み、消滅させた。

「よしっ!残り2!」

「次っ!いきますわよ」


呪いの火災(フルーフ・ブラント)!」

剣戟の響き(グングニル)!」

その瞬間、黒い炎が天魔を包み、焼き尽くす。そして、その天魔を炎ごと切り裂いた。


「残り1!」

「あれっ!?もう一体はどこへ?」

「お嬢さん!危ないっ!」

「えっ?…きゃあっ!」

残っていた一体は空から銀翼を閃光の如く降らせた。

「畜生!火炎防護陣フランメ・バリエラ!」

火のバリアが銀翼を防ぐ。

「大丈夫か?」

「ええ、申し訳ありませんわ」

「申し訳ないのは俺だな」

「どういうことですの?」

「魔力…切れだ…。すま…ん…」

「えっ?」

ドサッ

魔力を切らしてしまったリューイは倒れてしまった。

魔導師にとって魔力は自分の気力を意味する。そのため、魔力を切らしてしまうと自分の意識を保てなくなり、気絶してしまう。

「ウソ、でしょ。これにわたくし1人で戦えと?無理に決まってますわ。……ですけれど、やらなければならないんですものね。いいですわ、やってあげますわ。

神の力を借りし天使よ、我が体に憑き魂の一部となれ。出でよ、神の友、ラグエル!」

一か八かと言う様にフューズは叫んだ。自らの進化を促す様に力を込めた。

「やりましたわ。憑依に成功しましたわ。……これで勝てる可能性も広がりましたわね」

彼女は蒼の鎧を纏い、神々しくも禍々しいガントレットを着けた、堕天使として相応しい姿となった。


「まだ、長くは持たないでしょうからね。一撃で決めて差し上げますわ。復讐(ラッハ)!」

堕とされた天使の恨みの火が龍のような堕天魔を焼き去った。

「…………もう…ダメ…です…わ…ね…。頑張って下さい、皇真さん…」



「はあ、はあ、はあ

やるにしても、ダメージが本人にも届くかもしれないんじゃあ、思った様に手が出せねえ」

「そんなんじゃあ、俺は倒せねえぞ。おら、かかって来いよ、やれるんならな」

イヒルの声でアドラメレクが喋る。その声で皇真の怒りは蓄積されていた。

(流石にこれはまずいな。アルマロスがいれば呪いを無効化出来るんだけど、贅沢は言えないか)

「イロウエル、天魔だけを斬るって出来るか?」

『いや、どうだろうな。私では無く奴、ブファスならばなんとかなるかもな』

「いけるのか?ブファス」

『彼女の心とあの天魔とで争わせる事なら可能かもしれない』

「じゃあ、出来たその間に恐怖心を流せばいけるってか?」

『だが、そのためには2人の天魔を憑依と武装させなければならないぞ?』

「だけどな、イロウエル。この状況じゃあやってみるしかないだろ。行くぞ!

闘争をもたらす悪魔よ、我が体に憑き魂の一部となれ。出でよ、ブファス!

恐怖の象徴となりし天使よ、我が魂を糧としその力を我が手に宿せ。出でよ、イロウエル!

意外に出来たな。取り敢えず頼むぞ、ブファス」

『了解』

猛炎の将と化した皇真が刀を握りしめる。

ブファスという悪魔はそこに存在するだけで、争いを齎す悪魔である。長時間使用すると、そこに争いという空気が残ってしまい、場所によっては戦争をも引き起こしてしまいかねないため時間との勝負でもある。



私はイヒル・ノーヴァ。高貴な家に生まれた遊女の娘。卑しく、邪魔で、穢れた存在。私は自分の存在が憎かった、疎ましかった。…嫌いだった。けど、自分や、自分の生き方は嫌いじゃなかった。上に媚びず、馴れ合わない。そんな自分は好きだった。自分の存在が嫌でも自分や、自分の生き方は好きだった。これからも、そうして生きていくつもりだった…んだけど。あいつが来てから私は変わった。今までの自分が嫌いになった。一人で生きていこうと思っていたのに、そう思わなくなった。

でも、それが良いことなのかわからない。きっとあいつに聞けば『別に良いんじゃない?』とか言うだろう。

だから、今は分からずともいつか話したい。あいつが、皇真が来た直ぐの頃のことを。

『そのためにはこの状況をどうにかしないとねえ。あの子も手伝ってくれているんだし、頑張ってみたら〜?』

べ、別にあいつがやってくれてるからじゃないんだからね?恩を仇で返す様なことはしたく無いからだから!

『はいはい、ツンデレはいいから、ほら!さっさとケンカして来なさい!』



『おっ?間できたか?…よしっ、行けっ』

「オッケー。行くぞ!イロウエル」

『ああ、了解』

「恐怖の天使よ、堕ちし天魔に裁きの恐怖を与えたまえ。恐怖の妖刀・ティルフィング、齎すは恐怖、魅せるは凄惨。凄惨なる恐怖アンスト・グラスリッシュ!」


「抜けたっ!イヒル!怪我は…大丈夫だな。良かった。

さて、後は中身だけだな…っていない?」

イヒルをアドラメレクから引き出した時にはアドラメレクはいなかった。おそらく、沙玖夜の中に戻ったのだろう。そして、また沙玖夜も姿を消そうとしていた。


「皇真君、楽しかったよ〜。それじゃあ、また遊ぼうね〜」

「また逃げられたか。まあとりあえずイヒルが無事でよかった」

『ああ、忘れていたよ。皇真君、寮に戻ったら机の上に手紙があるから。読んどいて〜』

「机の上に手紙?まあ、先にこの二人、違った。三人を運ばないとな」



その後、イヒルとフューズをそれぞれの部屋に、リューイは皇真の部屋に運んだ。

「さて、手紙は…これか。えーっと何が書いてあるんだ?」

『親愛なる息子へ

皇真君、私が悪い人っていうのは知っているでしょ?私は今、ペイン・フォイルニスっていう集団のまあ、幹部みたいな立ち位置なんだよね〜。で、私たちペイン・フォイルニスは堕天魔の管理、利用をしているんだけど、どうかな?うちにこない?良いところだよ〜。堕転者はいるけど、みんな知識と技量なら君のお母さんと並ぶかもしれない。確か、君は来年卒業だよね?それまでに考えておいてね。

ちなみに、私たちの目的は契約者や魔導師、その他の人と天魔や堕天魔との共存だから。こっちに来れば君はもっと強くなる。自分の意思で天魔を召喚出来る様になると思うよ。


追伸

美乃梨っちによろしく言っといてね〜


君の母親の沙玖夜より』


「何が母親だよ、何が共存だよ。勝手に言いやがって。ペイン・フォイルニスは、『苦痛を与えし堕落者』は世界を滅ぼす殺戮集団だろっ!」

(決めた、俺はこの国を出る。卒業してからだけど、自分の主を探す。その中で天魔を探す)

「覚えてろ、沙玖夜。いつか殺してやる。ついでにペイン・フォイルニスもぶっ壊してやる」


to be continued…

十日振り?くらいの投稿です。

前話以降感想が一件あったんですが、リア友だったっていうオチでした。

評価下さい。面白くなかったら面白くないで言ってください。(これで批判ばかりだったら相当落ち込むんだろうな。学校行けなくなりそう)

それではまた十日後、次の次が終われば次を投稿します

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