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契約せし者の双剣  作者: 葵セッカ
新しき選定者
1/21

契約学校

白夜の剣と極夜の剣

対になる剣を獲た者は天使と悪魔の頂点に立つ者なり

彼はその言葉を聞き、力を覚醒させた。

女性のみが対象となるその力を持ったこの少年は1人の天使と出会った。

その天使の名はイロウエル。恐怖の天使。

彼女は彼に言った。

「貴様は私自身だ。これから多くの恐怖を味わうこととなる。私と共にあれ。さすれば、恐怖を乗り越える力と心を与えん。」

少年はその差し出された手を取った。それ以降、少年は3人の天使と悪魔と出会った。

天使の1人はファヌエル。悪魔はシパクナーと鬼。天使は希望、悪魔は巨人と百鬼夜行の主。

その少年の名は奏皇真かなでこうま


「はあ〜。マジでこれから此処に通うのか。叔母さんの学校だからってどういう理由なんだよ。」

皇真の母の手紙には、『あんた契約しちゃってるんだし、学校行きなさい。ちょうど私の妹学校やってるんだから、行ってくりゃあ良いのよ。入学手続きはしといたからね。』と書かれていた。

「こんなことまでされたら、断れなくなるに決まってるだろ。自分の性格が憎いよ、ホント。」


「ねえ!あんた、ここで何をしているの。ここは、神聖なる契約学校よ。あんたみたいな男が来るところじゃないのよ?ねえ、聞いているの!?」

「男で悪かったな。これでも4人の天使と悪魔の契約者なんでね。なんなら、4人とも見せてやろうか?」

「ふんっ。何それ?冗談?馬鹿馬鹿しい。そんなんだから、男は契約出来ない…の、よ?」

「男でも、契約は出来るぞ」

そう言った彼は恐怖の天使、イロウエルの姿だった。

「ど、どういうこと!?男が、男が契約して、しかも憑依させてるなんて…」

「これで理解出来ただろ?俺は契約者だ。まあ、学校に行くつもりは無かったが…」

「じゃあ、帰りなさいよ。来たく無かったんじゃあ帰れば…」

「落ち着け、イヒル・ノーヴァ。そいつは私の甥だからな。この学校に入れさせたんだ。…ほれ、皇真、紹介状。」


「はい。それじゃあ、お前も今日からカナメス契約学校の生徒だ。改めて、私は篠波御奈しのはみな。この学院の学院長だ。」

「俺は奏皇真。契約天魔は4人。イロウエル、ファヌエル、シパクナー、。」

「鬼?鬼ですって!?な、なんで鬼と契約出来るの?」

「こいつはまた別だからな。鬼の契約者は全ての妖怪と契約することと同義なんだ。契約と同時に体を乗っ取られかね無いんだよ」

「へ〜。そうだったんだ。だから鬼との契約の後から妙に妖怪と会うのか」

「よくもまあ、今まで生きてこられたな。妖怪って結構強いだろ」

「まあ、俺は強いからな」


「こいつがお前がこれから所属するクラスの担任だ。」

「奏皇真。よろしくお願いします」

「はいよ。うちはヒエリスゆうもんや。これからよろしく」

「よし、じゃあ行ってこい。我が甥よ」

「ああ、そうだ。我が甥よ。お前のクラスはエリートだがまあ、いろいろガンバレ」

「我が甥って言うのやめて下さいよ篠波先生。」



「ほな自己紹介してな。」

「はい。奏皇真、17歳。契約天魔は4人。イロウエル、ファヌエル、シパクナー、鬼。」

やはり、教室は騒ついた。それほど鬼と契約することが特別らしい。他にもいろいろと喋っているらしいが。

「ほな、奏はんはあそこ座ってな」

「はい。…って隣お前かよっ」

「何よ。このクラスでもトップクラスの契約者である私と隣なのよ。少しは感動しなさいよ」

学校にいる、多くの契約者は憑依が出来ない。それに、名前を持つ、上位の天魔と契約している人間は多くない。

「へ〜」

「何よ?まさか、疑ってるの?なんなら勝負する?」

「やってみるか。じゃあ、放課後やるか?」

「良いわよそれじゃ…」

「ちょっとお待ちなさい。それなら、私とも一戦交えさせていただけます?」

「なんでアンタが出て来るのよ。フューズ・ベイス。」

「はいはい、ほな今日の授業始めるから、放課後に3人で戦いなはれ。うちが監督したる。」

授業内容は天魔の説明や、契約の条件や戦闘指南だ。

「ほな、戦闘訓練始めるから、みんなスーツに着替えてグラウンド2に集合な。」

「ヒエリス先生、俺は?」

「皇真はんはこっちに着替える場所あるから、着いて来てな」

「あ、はい。」

どうやら皇真が来ることでトイレや更衣の部屋が設けられたらしい。


「はい。ほな、始めるで。皇真はんは武装出来る?」

「出来るっていうか、憑依まで出来ますよ」

小声で何か話している。

「ねえねえ、奏君って4人と契約してるって言ってたけど、名前持ちがだよね」

「だよね。4人だけでみんな名前持ちだったら凄い力だよね」

天魔には名前を持つ天魔と持たず、自分で名前を付けられる天魔とがある、らしい。

「ほな、憑依出来る?そうやなあ。それじゃ、ファヌエルに憑依してもらおか。他に、憑依出来るもんいるか?」

「私は出来ますよ」

そう言って出て来たのは、銀髪の髪に橙黄色の眼を持つ、何処か憂いを帯びた少女。

「おお、ナガレ・アルマはんか。じゃあ、やってもらおか」

「はい。混沌と夜を支配せし悪魔よ、我のていに憑き我が魂の一部となれ。出でよ、デモゴール」

「希望の象徴となりし天使よ我が体に憑き魂の一部となれ。出でよ、ファヌエル」

周りから大きな歓声が上がる。だが、すぐに違いに気付いたらしい。今度はざわつき始めた。それもそうだろう。ナガレは装備を装った様な姿だが、皇真は殆ど天使の姿だった。白く神々しい、天使そのものとも言える姿だった。

「な、なんだ?その姿は」

「皇真はん、その姿はあきまへん!早く憑依を解きなはれ!」

ヒエリスがそう言った時には、もう遅かった。どこからか天魔が、正しくは堕ちた天魔が集まって来た。その数は50体程。

あたりから悲鳴が上がる。ヒエリスは生徒を避難させながら、学校に連絡を入れに行った。

「先生、取り敢えず俺がなんとかします」

「よろしゅうお願いしますわ。」

天魔は基本どこにでもいる存在だ。契約ならどこでも可能である。だが、名前を持つ天魔は運や、なんらかの条件の下で現れる。そのどちらでも無い天魔が堕ちた天魔、堕天魔と言われる存在がある。その堕天魔は契約が出来ない。必ずしも出来ない訳では無いのだが、その場合、とても大きな力を持っていなければ体を蝕まれて堕転することになるのだ。

「ホーリーアロー。堕ちた天魔に裁きの光を」

白く輝く聖なる弓が堕天魔を貫く。大きな光を受けて残った天魔は20体程。それからの皇真のファヌエルの憑依は強かった。大きな鎌を振るい天魔を斬る。その様子は希望にも見えたが同時に絶望にも見て取れた。残りの天魔を浄化するのは早かった。ヒエリスが教員を連れて来た頃には、天魔は愚か、皇真も憑依を解いていた。



放課後、夜も更けてきた頃。広場には皇真とフューズ、イヒルがそれぞれ立っていた。

「戦闘形式は三つ巴。制限時間は無制限。では、始め!」


「神の力を借りし天使よ、我が魂を糧としその力を我が手に宿せ。出でよ、神の友、ラグエル!」

「救いの象徴となりし天使よ、我が魂を糧としその力を我が手に宿せ。出でよ、シェムザ!」

「妖を使役せし悪の権化よ、我が体に憑き魂の一部となれ。出でよ、鬼!」

フューズ、イヒル、皇真がそれぞれの天魔を召喚する。

「「「はぁぁぁあああああ!!!!」」」

広場に響く3人の声と共にその力がぶつかり合う。

「意外に簡単に鬼を召喚したな、我が甥よ。もうちょっと勿体振れば良かったのに」

「鬼は対人戦に向いてるからな。使っときたかったんだよ。我が叔母よ」

「よくもまあ喋っていられる余裕がありますわね」

「そうよ、私を舐めていると怪我じゃ済まないぞ」

「ラグエル、神の、オーディンのグングニルを貸して頂戴!」

「シェムザ、救いの力を。救いの剣(サルースブレイド)!」

「現せ、鎌鼬」

召喚された鎌鼬が2人の剣撃を旋風と共に弾き返す。

鬼は妖を使役する。鬼を使う契約者は同時に全ての妖を使役している。そして、皇真は異質すぎる。

「憑け、刑部」

数体の妖を一度に使役する。悪を納める器が広くなければ使えない技。

鎌鼬かまいたち音も無く斬る妖怪

刑部おさかべ人の心を読む妖怪

「さて、これで2対2か。来いよ、人間さん」

「望むところよ!」

「そんな言葉2度と口に出来ない様じっくり調教してあげますわ。」


「荒らせ、鎌鼬」

旋風が起きる。斬撃を纏った旋風が2人の少女を襲う。


勝負が着くのは一瞬だった。鎌鼬が無音でフューズを斬るのと同時に鬼と化した皇真がイヒルの剣を弾き、峰打ちを済ませていた。だが、それだけで負けるエリートはいない。武器を手に闘った。健闘した。それでも、皇真は強かった。荒らせ、の一言で2人のエリートを蹴散らしたのだから。


「解。

希望の象徴となりし天使よ、我が魂を糧としその力を表せ」

「2人とも動いてすらいないのに、天魔を変えてなにをするつもり!?」

「皇真はん、もうやめなはれ。それ以上は死んでまう」

「もちろん分かっていますよヒエリス先生。だから、天魔を変えたんですよ」

「どういうつもりや?」

「まあ、大丈夫だヒエリス。うちの甥はそんな残酷じゃ無いぞ」

「おお、分かってるじゃん。叔母さん

癒せ、ファヌエル」



その後皇真はいろいろと質問攻めにあっていた。

内容は契約のコツから、彼女がいるかという質問まで様々だった。他にも、契約天魔の全数や紋章の位置などがあった。

因みに、彼に彼女はいないし、天魔もあの4人だけだ。

紋章は天魔との契約の際に出来る双剣を描いた痣だ。

皇真にはその痣は首筋、左肩、右脇腹、そして右眼。その右眼の痣は最初の天魔であるイロウエルとの契約で出来たものだ。


「ありゃりゃ。あの子学校に入れちゃったんだ、美乃梨っち。いくら私から守りたいからってそこまでしなくても、自分で教えれば良いのに。」


to be continued…

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