会議は踊る
どれぐらいの分量書けばいいのかわからないです。もっと書いた方がいいんですかね?
――――魔王場内、特設会議場にて。
広い会場の中に設置された円卓には、様々な種族が着席している。
「一体どうしたことだ! 人間が魔王内に侵入するとは!」
「まさかあの人間、魔法を使ったのでは……」
「魔王様の責任問題ですな!」
「さっさと殺してしまおう!」
先程起こった出来事について、各々が好き勝手に発言をするため、全く会議は進まない。もはやこの集まりは、会議というにはほど遠いものとなっていた。
中でも一際大きく、装飾が施された椅子がある。恐らくは魔王とはこの椅子に着席している人物のことであろう。魔王という名にふさわしい威厳を漂わせるこの人物は、しかし何も発言しようとはしない。
「魔王様、そろそろ会議の進行を続けてもよろしいですか?」
そう尋ねる側近の顔はどんどん青くなっていくのだが、やはり魔王の返事はない。
「魔王城に忍び込むほどの精神力の持ち主、興味があります」
「人間などただのの食糧ではないか! 気にせず会議を続けよう」
「静粛に静粛に! 会議を続けますぞ!」
ついに痺れを切らした側近が無理矢理に会議を続けようとする。
その言葉を無視したのか聞こえないのか、大声はまだ飛びかっている。
もう一度側近が声を荒げようとしたとき、一人の男がゆっくりと言った。
「ですが、今ちょうど議題となっている『人間の成長について』というのは、まさにこのことでは?」
その言葉が合図になっていたかのように、円卓が急に静かになった。
男はそのことに満足したかのように大きく頷くと、さらに言葉を続けた。
「初代魔王様のときよりしばらく、人間は圧倒的に我らより劣った存在でありました。ですから我々も初代様のお言葉である『過度に人間を殺さない』ということを守ってまいりました。ですが、先の吸血鬼一族の壊滅からというもの、我々魔族は人間に負け続けであります。人間は我々のように魔法が使えないにも関わらずです。そして、そのような現状を打破するべく開かれたのがこの会議でありました」
男はここで言葉を切り、円卓を見渡す。もはや先程のように大声で意見を述べ立てるような者はいない。誰もが男の言葉に聞き入っている。
「そして今、この会議に突然現れた人間。この現状から考えるに、私としてはある可能性を考えざるを得ません」
「――――人間が魔法を使えるようになったかもしれぬ、ということか?」
それまで沈黙を守っていた魔王が口を開く。その言葉は円卓の動揺を再び呼び起こすには十分だった。
「人間が魔法を使えるだと! ありえん!」
「いや、そうでもなければ吸血鬼が人間などに後れを取ったとは考えられぬ」
「そういえば人間の町ですさまじい炎が確認されたとか……」
「人間は我々を皆殺しにする気だ!」
「お静かに、お静かにみなさん。まだそうと決まったわけではありません」
例の男がまた口を開く。
「皆さんが今すべきことは大声で未来を憂うことではありません。未来のために行動することです。魔王様、例の人間二人組をどう処分されるおつもりで?」
自然魔王の元にに注目が集まる。それに対する魔王の返答は――――。
「私が牢へ出向く。戻ってくるまで会議は中断とする」
そう言うと魔王は席を立ち、足早に部屋を出て行った。
後に残るのはまた開始された話し合いの大声と、側近のため息だけだった。