風、霧、異郷
ツイッターで募集した三題噺です
「霧、風、異郷」
人里離れた辺鄙なところにあるという霧の町を目指していた二人の旅人。
その二人はセグウェイに乗って優雅な旅をしていた。前の街で充電をしてきたので、まだまだそれなりに走れるようだ。
「この体勢、やっぱり疲れるよね」
「うん。なんか座りたくなる」
「そういう点ではバイクの方が良かったかなぁ、って思う」
「セレブな旅がしたいって言ったのは誰さ」
「そういう意味じゃなかったんだけどなぁ……」
一人の文句に、もう一人が苦笑いで答えた。
「そろそろ見えてくるはずなんだけどなぁ」
「さっきから風が吹いてないから、近いんじゃない?」
噂の霧の町は『異郷』と呼ばれていて、特別な自然環境が重なり重なって出来上がる不思議な町である。
例えば、霧が発生すること。
例えば、風が吹かないこと。
そしてそこでは霧を神様の象徴として崇めているらしい。
「楽しみだねー」
「まぁ霧がどのくらい深いのかも見てみたいしね」
そんな二人が運転するセグウェイは、霧の町までの舗装されていない道を、順調に快適に走っていくのであった。
ごめんなさい