僕と国とドロリ
サボり癖が治りません。手が動きません、どうしましょう?
全身に力を入れ、青年は勢いよく部屋から飛び出す。それは宛ら人間ロケットの様に。向かう先はどこでもいい。とりあえず突っ込んだ場所で始めようと考えていた。
ドンッ!
地面の接触の為か、大きな音共に地面が揺れる。その音を聞きつけ周りにも人が集まってきた。
「どうしたどうした?」「なんだ!?」「おい、あんた、大丈夫か?」
”やるよ、ネイル”
精霊からの返事はない。それだけ集中して力を出し、青年のために使っているからだ。地面へと突撃したきて青年を周りの人たちが心配する。
が、青年はそれらを全て無視した。今の青年は、人間の希望ではないからだ。
青年の身体が白くそして激しく燃える。青年の形は崩れドロリとした何かへと変貌する。
そんな青年を見た周りの人たちはたちまち混乱した。目の前で人間が溶けた様に崩れたのだ。誰だって混乱するだろう。
それらを無視し、そんな、白い水溜まりみたいになっている青年は、上半身のみを顕現する。その姿は、先ほどまで人間だった物を見ている人たちからすれば、化け物に等しかった。
周りの住民は、憲兵を呼び迅速に対応し呼び出された憲兵は青年を威嚇する。
自分たちが所持している槍先を青年へと向ける。いつでも刺せるのだと青年を威嚇した。
しかし、青年はそれらを一瞥するだけだ。このような状況であろうとなかろうと、人間が使うところの武器で、青年に傷がつくわけがないのだ。
青年は身体を一気に膨らませる。それを攻撃とみなしたのか、憲兵たちが青年へと槍を突き刺した。
そんな物は全く意味はなく、青年は止まらない。
止まることなく膨張し続け、そして---、
一気にそれを、地面へと流し込んだ。
そこから始まるのは、一つの国の終わりと共に周囲の国を恐怖へと陥れた。
一つの国がたった一夜で滅んだことにより、周囲から一つの仮説が生まれた。
-もしや、『魔王』が人間の国を侵略しているのではないか?-
今までは、いるとはわかっていても、実質的な被害は少なかったのだ。ただ、魔物が活性化してしまったというものぐらいだろう。
そして、これが引き金となり各国は『魔王討伐』への準備をこれでもかという勢いで始める。『魔王討伐』を果たし、自分の国をほかの国より有意に立たせるために。誰もが、世界のためや皆の為にではなく、自分の欲のために動いていた。
しかし、それが叶うことは一つとしてなかった。
なぜなら、軍の準備等が早い段階で済んでしまっていた国は、悉く狙い済ましたかのようなタイミングで消されていったからだ。もちろん、物理的な意味合いだ。
そして、今日も世界の何処かで国が滅ぶ。
その際に必ず起きる現象がある。それは、天にも続く赤白い火柱が上がることだ。その天にも続いているということから、この一撃は、『神の鉄槌』とも呼ばれ、『魔王』等という矮小な存在ではなく、『神』が自分たちを消しているのだと、世界中で考えられた。
もちろん、そんなことを考える人たちもいなくなっていた。
当然だ、考える人も動物も植物もいないのだから。
その世界で思考力を持つのは一人の人間と、一人の精霊。
更に増やした力によって、青年は力を暴走させるかの如く力を振るう。
そして、世界全体へと溶岩を発生させたのだ。
全ての生物が死滅し、世界が溶岩で包まれているため、それに順応する筈もなく、新たな生物も生まれない。
『人間』『亜人』『奴隷』『精霊』『魔族』『魔王』。全てが蒸発し誰もいなくなった。
これにて、青年は勇者へと、みんなの希望になったのである。
終わりです。




