僕の行くスエ
やっは~~!
お久しぶりで御座います!
しかし、また隠れますので平にご容赦を!
青年の力によって、否。正しくは、精霊の力を借りている青年の力によって、この国の領主は成す術も無く床の一部になった。
領主がいた場所には、汚らしく黒い塊がドロリと落ちており、そこにはナニかがあった、ということを示している。
青年は慈愛に満ちているわけではない。非情な扱いには報復を。それこそ、人間らしい扱いを受けていなかった青年には、当たり前として然るべきことだった。
”…さて、これからどうしようかな?”
無意味な拷問を受け、拷問官とその後ろにいた領主を殺したが、何分気持ちがスカッとしない。ソレの理由は不明だが、何か胸の辺りがモヤモヤとするのだ。
人間でいうところの不快感。まだ青年が小さき少年だった頃に味わっていたモノ。幾度となく経験しそして、苦渋に満ちた毎日。それらが思い出され、青年は不愉快そうに顔を歪める。
うんうんと唸っていると、青年の頭に乗っていた精霊が壁に繋がれている物に気が付いた。
「あれあれ~?これって…」
”どうしたの?”
「ああ、亜人種がいるなぁ~って」
”亜人種?”
聞き覚えのない単語にそれは何だと精霊に聞く。そして、一通り説明を受けた後、青年は徐に亜人の彼女に近づいた。
”…臭いね”
「そりゃそうでしょうね。亜人なんてのは、基本男なら労働奴隷、女なら性奴隷って決まってるしね。これは、女だから性奴隷だったんでしょうね」
精霊とって、人間だとか亜人だとか等と言うものは基本的に何も感じない。所詮は同じ生き物なのだ。そしてさらに、この精霊、ネイルにとっては青年こそがすべてなのだ。そこには、何も入る余地はない。
「まあ、どうでもいいでしょ?次の国に行かない?」
要は早く、自分の主を攻撃した国にいるのは胸糞悪いだけなのだが、青年はそれに気づくはずもない。
”まあ、待ってよ”
徐に女性に身体に手を伸ばし、その体を一瞬にして灰へと変えた。
”…ネイル、決めたよ。次にするべきことを”
「何々?」
精霊は楽しそうに答える。主の力が膨れ上がっているのを感じているからだ。先ほど同じように自分の力を使ってくれるのかと気が高揚していくる。
「さあ、言って?私は、私に出来る事全てを貴方に捧げるわ、我が主様?」
悪戯っぽく笑い、そして暗に力を存分に使えという。
”行くぞ、ネイル”
「はいな」
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これは、勇者の物語。
何をトチ狂ったのか、使えない出来損ないの勇者の物語。
されど、勇者とは皆の希望である。光である。
皆の希望なのだ。光なのだ。
そこには、『亜人』も『奴隷』も『魔王』も関係なく。
全ての希望なのだ。
出来損ないの、出来損ないなりのやり方で、希望へとならんとする勇者の物語である。
変な引っ張りになってしまった…




