↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

✒ ドラゴンスライムの冒険 下編


 D(ドラゴン)S(スライム)さんがリザードマン達と一緒に暮らすようになり、数(すう)百(ひゃく)年(ねん)が経っていました。


 リザードマン達が暮らしていた里は、数(すう)百(ひゃく)年(ねん)の間(あいだ)に一国の王国となっていました。


 王国にはD(ドラゴン)S(スライム)さんの石像が幾(いく)つも在ります。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんは王国では信仰の依(え)処(しょ)とされていました。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんを信仰神(しん)として崇(あが)め奉(たてまつ)る “ D(ディ)S(エス)信仰 ” をリザードマン達は信仰しており、産(う)まれた瞬間から子供も “ D(ディ)S(エス)信仰 ” の信徒となります。


 信仰神(しん)として崇(あが)め奉(たてまつ)られているD(ドラゴン)S(スライム)さんですが、当の本人は微塵も理解していません。


 リザードマン達が生(い)き生(い)きとして、楽しそうに暮らしている様子を見ているだけで、嬉しいのです。


 不思議と心がポカポカして来(き)て温かくなります。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんは友達のリザードマン達が幸せに暮らしている──それだけで十(じゅう)分(ぶん)でした。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんは人(ひと)型(がた)の姿となり過ごす事が多くなりました。


 頭の左(さ)右(ゆう)に生(は)えている立派な2本の角(つの)──、背中から生(は)えている立派なドラゴンの翼──、力(ちから)強(づよ)く逞(たくま)しくも美しい鱗(うろこ)で覆(おお)われた尻尾──を持つのが、人(ひと)型(がた)の容姿です。


 器用に左(さ)右(ゆう)の翼を使い、尻尾でバランスを取りながら、大(おお)空(ぞら)を散歩します。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんは、澄(すみ)み渡る青(あお)空(ぞら)やキラキラと光(ひか)る満(まん)天(てん)の星(ほし)空(ぞら),雲海の上(うえ)を風を切りながら空(くう)中(ちゅう)散歩するのが大好きなのです。






 D(ドラゴン)S(スライム)さんは、とある場所へ向かって飛んでいました。


 新しい友達と出逢えた場所です。


 目的地が見えて来(き)ました。


 空(そら)を眺めていた人物が、D(ドラゴン)S(スライム)さんの姿に気(き)付(づ)くと、嬉しそうに手を振ります。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんも地面に立ち、自分へ手を振ってくれる友達に手を振り返します。


 地上へ着地したD(ドラゴン)S(スライム)さんは、角(つの),翼,尻尾を体(からだ)の中へ仕舞います。


 宍(しし)色(いろ)に白(しろ)色(いろ)を混ぜて薄めたような色(いろ)の肌をした人族の姿となったD(ドラゴン)S(スライム)さんは、人物と念話で話(はなし)をします。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんは言葉を発する事が出来ないからです。


 怪物(モンスター)との念話が出来たD(ドラゴン)S(スライム)さんは、亜(あ)人(じん)類(るい)とも念話が可能でした。


 そんなD(ドラゴン)S(スライム)さんは、人(じん)類(るい)とも念話で話せる事に気(き)付(づ)いたのです。


 大怪我をして倒れていた人(じん)族(ぞく)を助けたD(ドラゴン)S(スライム)さんは、瀕死の状態から生還した人(じん)族(ぞく)とそ(・)の(・)ま(・)ま(・)友達になりました。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんと友達になった人(じん)族(ぞく)は青年で、“ アムカ ” と名(な)乗(の)りました。


 アムカは何(い)時(つ)も美(お)味(い)しい料理──お弁当を持参してくれます。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんは、アムカが持って来(き)てくれるお(・)弁(・)当(・)が大好きでした。


 アムカと念話で話しながら一緒に食べるお(・)弁(・)当(・)の時間は、D(ドラゴン)S(スライム)さんにとって、かけがえのない愛(いと)しい時間でした。


 然(しか)し、そう思っていたのはD(ドラゴン)S(スライム)さんだけだったようです。


 お弁当で釣れたと思ったアムカは、D(ドラゴン)S(スライム)さんに、お願いをしたのです。


 「 自国を救う為にピカピカ光(ひか)る “ 黄金のマツボックリ ” が必要だから、自分の代わりに取ってほしい 」と言われた瞬間──、D(ドラゴン)S(スライム)さんは心の底から落胆しました。


 「 あぁ…………彼も “ 黄金のマツボックリ ” が目当てだったのか── 」とD(ドラゴン)S(スライム)さんは悲しい気持ちになりました。


 黄金のマツボックリは、リザードマン達が大切に育てている巨大樹に実を付けるマツボックリの事です。


 ピカピカと黄金に輝くマツボックリは、巨大樹から栄養を得る事で黄金に光(ひか)っているだけで、巨大樹から取ってしまうと普通のマツボックリへと変貌してしまうのです。


 巨大樹に実(みの)っているからこその “ 黄金のマツボックリ ” なのです。


 どうやら人(じん)族(ぞく)は “ 黄金のマツボックリ ” には不思議な力(ちから)が宿(やど)り、手に入(い)れた者の願いを “ 叶えてくれる奇蹟の木の実 ” だと勘違いしているようです。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんが “ 黄金のマツボックリ ” に関する正しい知識を教えても、アムカは全(まった)く信じてくれません。


 それ処(どころ)か、逆(ぎゃく)上(じょう)して「 困っている友達の頼みも聞いてくれないのか! 」と声(こえ)を張り上(あ)げて怒るのです。


 これにはD(ドラゴン)S(スライム)さんも困ってしまいます。


 黄金のマツボックリには願いを叶える奇蹟の力(ちから)は宿(やど)っていません。


 黄金に光(ひか)るのが不思議なだけの、極(ごく)々(ごく)一般的なマツボックリなのです。


 黄金のマツボックリは、苗の頃からリザードマン達が大切に育てている巨大樹です。


 黄金のマツボックリはリザードマン達の物なのです。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんは、友達であり家族であるリザードマン達が大切にしている “ 黄金のマツボックリ ” を誰よりも守りたいと思っています。


 だから、D(ドラゴン)S(スライム)さんは何(い)時(つ)も同じ選択をするのです。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんは、スライムの姿に戻るとアムカを呑み込みます。


 体内では苦しんでいるアムカの肉体が消化されていきます。


 友達だから──、じっくりとジワジワと時間を掛けて消化していきます。


 アムカが綺麗に消化された後(あと)、スライムの姿から人(じん)族(ぞく)の姿へ転身します。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんは、アムカの容姿を手に入(い)れました。


 また1つ、D(ドラゴン)S(スライム)さんの宝物が増えたのです。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんは捕食した人(じん)族(ぞく)の姿に転身する能力(ちから)を獲得していたのです!!


 D(ドラゴン)S(スライム)さんは決意しました。


 手に入(い)れた人(じん)族(ぞく)の姿で、人(じん)族(ぞく)の暮らす国(くに)へ行こう──と。


 そして──、間(ま)違(ちが)った情報を信じ込み、真実を聞かない人(じん)族(ぞく)を捕食しよう──と。


 リザードマン達が大切にしている “ 黄金のマツボックリ ” を狙う人(じん)族(ぞく)を根(ね)絶(だ)やしにしよう──と。


 D(ドラゴン)S(スライム)さんは直(す)ぐ行動に移します。


 人(じん)族(ぞく)の暮らす国(くに)を目(め)指(ざ)して飛び立ちました。






 意外と早く人(じん)族(ぞく)の国(くに)へ到着したD(ドラゴン)S(スライム)さんは、しれっと入国を果たします。


 人(ひと)気(け)の無い場所へ入(はい)ったD(ドラゴン)S(スライム)さんは、“ 手話 ” という手段で話す人(じん)族(ぞく)の姿をイメージして転身します。


 話(はなし)の出来ない人(じん)族(ぞく)は、手(て)を動かして他(ひ)人(と)とコミュニケーションを取る事を思い出(だ)したのです。


 そして、D(ドラゴン)S(スライム)さんは人(じん)族(ぞく)の姿── “ フツク ” と名乗り、生活を始めました。


 とは言え、フツクは人(じん)族(ぞく)が使う硬貨を持っていません。


 どうしたら人(じん)族(ぞく)が使っている硬貨を手に入(い)れる事が出来るのか──、フツクは考えました。


 フツクは乱暴者の人(じん)族(ぞく)から硬貨を拝借する事を思い付きました。


 乱暴者な人(じん)族(ぞく)が弱い人(じん)族(ぞく)から硬貨の入(はい)った金(かね)袋(ぶくろ)を奪っているのを何(なん)度(ども)も目撃していたからです。


 フツクは自分から乱暴者達に近(ちか)付(づ)きました。


 乱暴者達はフツクの容姿を見て、厭(いや)らしくニヤニヤと笑います。


 フツクは乱暴者達に促(うなが)されるように人(ひと)気(け)の無い場所へ誘導されました。


 フツクを襲う気でいた乱暴者達でしたが、スライムの姿に戻ったフツクに全員、捕食されると体内で消化されてしまいました。


 フツクは念願の金(かね)袋(ぶくろ)を手に入(い)れる事が出来ました。


 フツクは乱暴者を捕食して、金(かね)袋(ぶくろ)を集める事にしました。






 フツクが人(じん)族(ぞく)の国(くに)に入国をした日から1ヵ月(30日)が経っていました。


 国内では悪(あく)事(じ)を働く悪(あく)人(にん)の数(かず)が確実に減少していました。


 人(じん)族(ぞく)の視点では原因は不明でした。


 まさか、人(じん)族(ぞく)に転身したD(ドラゴン)S(スライム)が金(かね)袋(ぶくろ)を手に入(い)れる為に人知れず捕食しているなんて──、誰も思いもしないからです。


 国内にD(ドラゴン)S(スライム)が入国し、人(じん)族(ぞく)の姿で歩き回っているなんて、想像もしていないのですから当然の事でした。


 当のフツクは沢山の金(かね)袋(ぶくろ)を手に入(い)れていました。


 金(かね)袋(ぶくろ)だけでなく、なんとフツクは寝(ね)床(どこ)となる場所もゲットしていました。


 フツクは “ 黄金のマツボックリ ” に関係する事を口(くち)にする人(じん)族(ぞく)も忘れず捕食をしていました。


 その為、国内では実(じつ)に多くの行方不明者達が続出していました。


 真相を知らない人(じん)族(ぞく)は、原因不明の事件に対して捜査に動いていました。


 然(しか)し、人(じん)族(ぞく)は行方不明事件の真相を解明し、犯人を探し出(だ)し、捕らえる事は出来ないでしょう。


 フツクは人(じん)族(ぞく)が行方不明者の捜査を始めた事を知りません。


 フツクは当初の予定通(どお)り、黄金のマツボックリを狙う人(じん)族(ぞく)を探し出(だ)して捕食します。


 乱暴者も捕食して金(かね)袋(ぶくろ)を手に入(い)れます。


 フツクのする事は1ヵ月(30日)前から何(なに)も変わりません。


 人(じん)族(ぞく)の国(くに)で、フツクの生活は未(まだ)々(まだ)続くのです。


 めでたし めでたし

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。