✒ ドラゴンスライムの冒険 下編
DSさんがリザードマン達と一緒に暮らすようになり、数百年が経っていました。
リザードマン達が暮らしていた里は、数百年の間に一国の王国となっていました。
王国にはDSさんの石像が幾つも在ります。
DSさんは王国では信仰の依処とされていました。
DSさんを信仰神として崇め奉る “ DS信仰 ” をリザードマン達は信仰しており、産まれた瞬間から子供も “ DS信仰 ” の信徒となります。
信仰神として崇め奉られているDSさんですが、当の本人は微塵も理解していません。
リザードマン達が生き生きとして、楽しそうに暮らしている様子を見ているだけで、嬉しいのです。
不思議と心がポカポカして来て温かくなります。
DSさんは友達のリザードマン達が幸せに暮らしている──それだけで十分でした。
DSさんは人型の姿となり過ごす事が多くなりました。
頭の左右に生えている立派な2本の角──、背中から生えている立派なドラゴンの翼──、力強く逞しくも美しい鱗で覆われた尻尾──を持つのが、人型の容姿です。
器用に左右の翼を使い、尻尾でバランスを取りながら、大空を散歩します。
DSさんは、澄み渡る青空やキラキラと光る満天の星空,雲海の上を風を切りながら空中散歩するのが大好きなのです。
DSさんは、とある場所へ向かって飛んでいました。
新しい友達と出逢えた場所です。
目的地が見えて来ました。
空を眺めていた人物が、DSさんの姿に気付くと、嬉しそうに手を振ります。
DSさんも地面に立ち、自分へ手を振ってくれる友達に手を振り返します。
地上へ着地したDSさんは、角,翼,尻尾を体の中へ仕舞います。
宍色に白色を混ぜて薄めたような色の肌をした人族の姿となったDSさんは、人物と念話で話をします。
DSさんは言葉を発する事が出来ないからです。
怪物との念話が出来たDSさんは、亜人類とも念話が可能でした。
そんなDSさんは、人類とも念話で話せる事に気付いたのです。
大怪我をして倒れていた人族を助けたDSさんは、瀕死の状態から生還した人族とそのまま友達になりました。
DSさんと友達になった人族は青年で、“ アムカ ” と名乗りました。
アムカは何時も美味しい料理──お弁当を持参してくれます。
DSさんは、アムカが持って来てくれるお弁当が大好きでした。
アムカと念話で話しながら一緒に食べるお弁当の時間は、DSさんにとって、かけがえのない愛しい時間でした。
然し、そう思っていたのはDSさんだけだったようです。
お弁当で釣れたと思ったアムカは、DSさんに、お願いをしたのです。
「 自国を救う為にピカピカ光る “ 黄金のマツボックリ ” が必要だから、自分の代わりに取ってほしい 」と言われた瞬間──、DSさんは心の底から落胆しました。
「 あぁ…………彼も “ 黄金のマツボックリ ” が目当てだったのか── 」とDSさんは悲しい気持ちになりました。
黄金のマツボックリは、リザードマン達が大切に育てている巨大樹に実を付けるマツボックリの事です。
ピカピカと黄金に輝くマツボックリは、巨大樹から栄養を得る事で黄金に光っているだけで、巨大樹から取ってしまうと普通のマツボックリへと変貌してしまうのです。
巨大樹に実っているからこその “ 黄金のマツボックリ ” なのです。
どうやら人族は “ 黄金のマツボックリ ” には不思議な力が宿り、手に入れた者の願いを “ 叶えてくれる奇蹟の木の実 ” だと勘違いしているようです。
DSさんが “ 黄金のマツボックリ ” に関する正しい知識を教えても、アムカは全く信じてくれません。
それ処か、逆上して「 困っている友達の頼みも聞いてくれないのか! 」と声を張り上げて怒るのです。
これにはDSさんも困ってしまいます。
黄金のマツボックリには願いを叶える奇蹟の力は宿っていません。
黄金に光るのが不思議なだけの、極々一般的なマツボックリなのです。
黄金のマツボックリは、苗の頃からリザードマン達が大切に育てている巨大樹です。
黄金のマツボックリはリザードマン達の物なのです。
DSさんは、友達であり家族であるリザードマン達が大切にしている “ 黄金のマツボックリ ” を誰よりも守りたいと思っています。
だから、DSさんは何時も同じ選択をするのです。
DSさんは、スライムの姿に戻るとアムカを呑み込みます。
体内では苦しんでいるアムカの肉体が消化されていきます。
友達だから──、じっくりとジワジワと時間を掛けて消化していきます。
アムカが綺麗に消化された後、スライムの姿から人族の姿へ転身します。
DSさんは、アムカの容姿を手に入れました。
また1つ、DSさんの宝物が増えたのです。
DSさんは捕食した人族の姿に転身する能力を獲得していたのです!!
DSさんは決意しました。
手に入れた人族の姿で、人族の暮らす国へ行こう──と。
そして──、間違った情報を信じ込み、真実を聞かない人族を捕食しよう──と。
リザードマン達が大切にしている “ 黄金のマツボックリ ” を狙う人族を根絶やしにしよう──と。
DSさんは直ぐ行動に移します。
人族の暮らす国を目指して飛び立ちました。
意外と早く人族の国へ到着したDSさんは、しれっと入国を果たします。
人気の無い場所へ入ったDSさんは、“ 手話 ” という手段で話す人族の姿をイメージして転身します。
話の出来ない人族は、手を動かして他人とコミュニケーションを取る事を思い出したのです。
そして、DSさんは人族の姿── “ フツク ” と名乗り、生活を始めました。
とは言え、フツクは人族が使う硬貨を持っていません。
どうしたら人族が使っている硬貨を手に入れる事が出来るのか──、フツクは考えました。
フツクは乱暴者の人族から硬貨を拝借する事を思い付きました。
乱暴者な人族が弱い人族から硬貨の入った金袋を奪っているのを何度も目撃していたからです。
フツクは自分から乱暴者達に近付きました。
乱暴者達はフツクの容姿を見て、厭らしくニヤニヤと笑います。
フツクは乱暴者達に促されるように人気の無い場所へ誘導されました。
フツクを襲う気でいた乱暴者達でしたが、スライムの姿に戻ったフツクに全員、捕食されると体内で消化されてしまいました。
フツクは念願の金袋を手に入れる事が出来ました。
フツクは乱暴者を捕食して、金袋を集める事にしました。
フツクが人族の国に入国をした日から1ヵ月が経っていました。
国内では悪事を働く悪人の数が確実に減少していました。
人族の視点では原因は不明でした。
まさか、人族に転身したDSが金袋を手に入れる為に人知れず捕食しているなんて──、誰も思いもしないからです。
国内にDSが入国し、人族の姿で歩き回っているなんて、想像もしていないのですから当然の事でした。
当のフツクは沢山の金袋を手に入れていました。
金袋だけでなく、なんとフツクは寝床となる場所もゲットしていました。
フツクは “ 黄金のマツボックリ ” に関係する事を口にする人族も忘れず捕食をしていました。
その為、国内では実に多くの行方不明者達が続出していました。
真相を知らない人族は、原因不明の事件に対して捜査に動いていました。
然し、人族は行方不明事件の真相を解明し、犯人を探し出し、捕らえる事は出来ないでしょう。
フツクは人族が行方不明者の捜査を始めた事を知りません。
フツクは当初の予定通り、黄金のマツボックリを狙う人族を探し出して捕食します。
乱暴者も捕食して金袋を手に入れます。
フツクのする事は1ヵ月前から何も変わりません。
人族の国で、フツクの生活は未々続くのです。
めでたし めでたし




