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第4話 これはひどい

「な、なんなんだここは……。」


カーテベル城の庭の掃除を任された俺なのだが、早くから挫折しそうだ……。

あまりにも、庭が広い。木も生い茂っていて、なかなか手入れはされていて、ゴミがあるとかいうわけではないのだが、これを一人で掃除するのは無理だ。

ちなみに、ここの掃除が終わるまではご飯抜きらしい。死ぬわ!

だが、なにもしないままでは本当になにも進まない。とりあえずなんかすっか。


「まず落ち葉を片づけるか……。」


といっても落ち葉を拾うくらいしか、庭の掃除って思いつかない。





そこそこ手際よく作業は進んだ。最後まで、とはいかなかったけど、だいたい半分は終わったんじゃないだろうか……。最初は絶対おわんねーだろ、と思っていたが、5時間でこれだけ進んだんだから、明日は、きっと楽勝だろう。


「にしても、暗いな。」


ちょっと熱中しすぎてて、もうすで真っ暗だ。奥の方まで来たから、城まで遠い……。


「あーだるい。」


正直歩きたくない。早く寝たい。


「もしかして、本当にご飯抜きじゃないだろうな……。」


今日かなりエネルギー使ったから、そんなことになったら革命を起こすぞ。


「お疲れ様です。」


「あ、どうも。」


城の近くまでくると、アリスさんが出迎えてくれた。


「庭掃除は順調ですか?」


「はい、この調子だと、明日には終わりそうです。」


「そうですか。では、お風呂にでも入っててください。着物はこちらで用意させますので。」


「あ、はい。ありがとうございます。」


では、といってアリスさんはすたすたと歩いて行った。お言葉に甘えて、風呂にでも入らせてもらおう。




「ふー、いい湯だった。」


働く人用の風呂なんだろうけど、それでも十分広く、とてもリラックスのできる空間だった。しかも驚いたことに、風呂は、メイド用、コック用、騎士用等、さまざまな人用にあった。やっぱこんなに広いと、働いている人の数もすんごいだろうな。


「えーと、ここを右か。」


服と一緒に、紙切れがあった。その紙には、おれの部屋までの道順を書いてあった。なんて気がきくんだ、アリスさん。そして、部屋まで用意してくれた、ユリスさん(かお父さん)には感謝しないいけないな。これからは、ちゃんとした態度で接さないとな……。


「おーここか。」


俺が行きついた先は、けっこう隅っこの方にある、小さな扉の前だった。


「まぁ、贅沢はいってらんねぇよな。」


少し期待してたのを反省し、俺は扉を開けた。


「は?」


そこに広がったのは、今にも足が壊れそうなベットに、薄汚れたシーツ、後は壁に広がるなぞの染み。そして謎の腐臭がする袋×約30


「……これはひどい。」


ベットもシーツも染みもまだ許せる。住ませてもらうんだ(多分無料で)。そんなことで、文句を言ったりしないが、これはあまりにもひどいじゃないでしょうか、ユリスさん。


「片づけないと寝られない……。」


まず、この臭い袋(中はパンパンまでつめこめられた生ゴミ)をどうにかしかしないと……。


「とりあえず、ここからだすか。」




「ふう。つかれた。」


一旦部屋の前に置いておくことにした。幸い近くに人の部屋はないみたいだし。


「後は、これをどうするかだな。」


さっき掃除をしてて分かったけど、ゴミ捨て場ってここから遠いんだよね。

正直だるいけど、明日の朝に早起きして捨てに行こう。今行くと他の人に迷惑かかるからな。

そんなことより、今最も気になるのは


「本当にご飯抜きなのだろうか。」


ということだ。腹減ったなー。

なんとなく、アリスさんが書いてくれたであろう地図を眺めてたら、裏面に文字が書いてあった。


「え~なになに?お部屋に着きましたら、ご飯の用意が出来てますので、風呂場の前にある食堂まで来てください。」


……いやっほうい。飯食えるじゃん。最高だぜアリスさん……ん?

確か俺は袋の処理をしてて、もう時間がだいぶ経ってるような……。


「やっべー。」


もしかしたら、待ってくれるかもしれない。悪いことしたなと思いつつも全力で目的地を目指す。



「ハァハァ、ここか。」


とりあえず、食堂まではダッシュで来た。おかげで余計に腹減った。

中を確認ししてもアリスさんはいないようだ。


「よかった。待たせてはいなかったみたいだな。」


まぁここの奥では少し残念だとおもっている自分もいるわけだけど。

俺は一人で『マイキさん』と張り紙があった席に座り、独りでご飯食べた。

おいしかった。うん、おいしかった。



「うわーくっせー。」


正直言って、俺の部屋はまだ臭い。今日はこんなところで寝るのか……。

こんなところで寝れるのか心配だったが、やっぱ疲れていたのだろう。べットに寝転ぶとすぐに意識がなくなってしまった。



「これで最後か……。」


なんとか睡魔に打ち勝ち、俺は他の人たちより早く起きることが出来た。と思えるほど早起きしたのだが、なんとすでに、ほとんどの人が起きていた。

だが、幸い途中っで会うことはなく、少し話声や、仕事をしている音が聞こえるだけだ。


「なんか、臭わない?」


「ホントだ、なんだこの臭い。」


ごめんなさい、俺の抱えてるゴミ(と臭い部屋で寝てた俺。)

部屋はドアを開けっ放しで寝たので大分臭くなくなっていた。もしかしたら、俺の嗅覚がだめになったのかもしれないけど。


「ふう、おしまいっと。」


最後の一袋を、ゴミ捨て場に置き、俺はもう一度部屋に戻って寝た。

疲れは完璧には取れてはいなかった。


「ZZZ」


寝ている俺には、部屋に近づいている者の気配も足音も聞こえはしなかった。

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