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第10話 修行

「はぁはぁ……くそっ」


紙を切るという簡単そうに見えて難しい修行を始めてから、今日で3日目……。少しずつではあるが、剣を振るう速度が上がっていくのを実感できた。だが、紙はまだ切れない。ペラペラな紙のくせにあまりにもしつこい。ゴリアさんはというと、俺を置いて城に戻っていてここにはいない。多分、城の兵士の訓練をしているのだろう。ここで修行する間は、ユリスさんの命令である、庭の掃除を免除されることになった。なんでこの男を?というような顔していたがそこは信頼できるゴリアさんの申し出だ断れることはなかった。だが、修行が終わるとまた使用人としてあそこで働かされるらしい。


「はぁはぁ……。あー腕がいてぇー。」


一旦休憩しようと小屋の方へ行き、タオルを水で濡らす。それを首にかけ、家の縁側でボーとする。

しばらく力を抜いた状態で疲れをとり、一度、反省をする。何がいけないのか考える。おもえば昨日から、とりあえず数をこなしてきたけど、ただ数をこなすだけじゃだめなんじゃないか?もっと一回一回に集中してやった方が効率がいいのかもしれない。俺は剣術の心得はない。なにが正解なのかは全く分からない、けど……。


「よし!一回試してみるか!」


俺は再び紙の前に立ち、構えを取る。目をつむり集中して、余計なことは考えない。ただ目の前にあるこの紙をきることだけを考えろ。


……いける。


剣を握る手に力が入る。自然に声がわき出る。今の俺は自信に充ち溢れていた。いける!心の底からそう思えた。高く上げた腕を振り下ろす。早く、速く。


剣を振り下を見ていた。顔を上げるのが怖い。今の俺に出来る最高の一撃だった。これで紙が切れていなかったら俺は多分挫けてしまうだろう。自信はある。だけど……。嫌な予感がして顔を上げられない。

ひらひらと何かが落ちてくる。……紙だ。ということは!


「き、切れてる……。」


俺の目の前にあった紙は真っ二つになっていた。つまり俺は成功したのだ。


「よっしゃあああああアアアアアアアアアア」


獣のような喜びの雄たけびを上げ、俺は地面に大の字で倒れた。剣を握っている右手を空に掲げる、掲げた剣が太陽の光を反射させ輝いて見える。剣を下し、日本の事を考える。母さんと父さんはどうしてるのだろうかとか学校はどうなってるんだろうとか、考えていくうちに涙が自然と流れてきた。帰りたいという気持ちが大きく膨れ上がっていく。だけど元の世界に変えるにはこの世界の魔王を倒してこの世界を救わなければならない。そんなことが俺に出来るのだろうか。哺乳類を一度も殺したことのない俺に、魔王を殺すことはできるのだろうか。そんなことを考え悶々としているとゴリアさんが帰ってきた。


「あ、ゴリアさん。俺成功しましたよ。これ。」


立ちあがりながら成功を報告する俺。


「そうみたいだな。だが、少し時間がかかり過ぎだろう。しかもお前、さっきまで倒れてただろう。一撃放つだけど地面に突っ伏しているようでは、船上では役に立たんぞ。」


……あれ?ここはほめてもらうシーンじゃないの?


「……うぃっす。精進します……。」


「うむ。まァだが……。」


ゴリアさんが少し間を開けて何かを言おうとしている。


「よくやったんじゃないか……。うむ、速く飯を作れ。」


「は、はい」


ゴリアさんは小屋の方に消えていった。その様子を茫然と見つめる俺。

え?これって……。俗に言う……


ツンデレ


ってやつじゃないか……。

生まれて初めてツンデレ的な発言を喰らった。つまりファーストツンデレ。

その相手が……ゴリアさん

今の気持ちを某超能力系ラノベの主人公風に言うと


「不幸だあああああああああああああああああ」

ちょう久々に更新します。すいません。

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