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第1話 俺が世界を救う

俺の名前は桜舞希さくらまいき

16歳の高校1年生だ。

特にしたいこともなかったので部活には入らずに、だらだらと過ごしていた。

そして今日もいつもどおりに学校へ行きそして家に帰る(勉強?知らんな)といういつも通りの日常を過ごすはずだったのだが、家に帰ることが途中で出来なくなってしまった。

なぜかって?それは

俺が交通事故で死んだからだよ♪




「ここはどこだ?」


俺は気がつくと真っ暗な空間にいた。

きっと無重力っていうのはこんな感じなんだろうと思うようなふわふわと浮いているような感覚に新鮮さを覚えながら考える。

……俺は恐らく死んだんだろう……。

覚えているのは猛スピードで俺めがけて一直線に向かってくる車と、避けようとして見事にすっ転んだ間抜けな俺。思い出しただけで恥ずかしい。周りに人はいないが思わず顔を隠してしまう。

それにしても本当に周りには誰もいる様子はない……。こういうのって天使やら死神やらが迎えに来るのが定石じゃないのか?なんだ今になってもしかしたらずっとこのままなんじゃないかと考えてしまい急に不安になる。


「だれかいませんかー?」


消え入りそうなほど弱よわしい声で尋ねるが反応はない。ただの屍すら見当たらない。嫌な予感が現実味を増し俺は叫ぶ。


「もう死神でもなんでもいいから出てきてくれぇぇぇえええ!!!!!」


『呼びましたか?』


「うぇあ!!!!?????」


おもわず変な声が出てしまった。

だってさっきまで誰もいなかった俺の後ろから声が聞こえるんだぞ。

心臓とか大事なものが口から出かけたわ。



『すみません、脅かしてしまったようで。私はラファエルといいます。この地獄への案内人をさせてもらっています。』


恐る恐る後ろを後ろを振り向くとそこには俺が女なら確実に惚れるであろう超絶イケメンが立っていた。

ある部分を除けば人間と間違えるであろう……だけど確実に人間にはないものが付いている。

それは……黒い翼だ。

……というかラファエルっていうと天使じゃないのか?黒い翼で地獄への案内人なんて悪魔にしか思えないのだが。そしてなんで俺は地獄行き!!??


「お、俺は死んだんですか?」


『はい。貴方は車に敷かれてすでに死んでいます。いつもならさっそく地獄まで案内させていただくのですが…。』


なんだか歯切れが悪い言い方だな。なにか問題でもあったのだろうか。


『問題があったというよりは、問題を起こしてしまったという方がただしいですね。』


「……もしかして俺の心が見えるとか?」


そう俺はさっき言葉にしていないのに、このラファエルさんとやらは俺の心の声に反応して応えてきたのだ。


『はい。人間の心を読む程度の事でしたら簡単ですよ』


何だと……まずい早く煩悩を消さなければ。

ああ!そんな事考えてると余計に考えてしまう。


『話を戻しますが、実は私は貴方に謝らないといけない事があるのです。いえ、誤って済むことではないのですが……。』


地獄への案内人に謝られるようなことなんて、全く身に覚えがなかった。あれか、実は俺じゃない人が死ぬはずだったとか?ってマンガみたいなことあるわけ……


『なぜそれを知っているのですか?!!』


「いやいや分かってるよ。そんなわけない……ってえええええええぇぇえぇぇぇえ!!!???」


『え?!』


「なんだよそれ!?つかどうやったら手違いで死ぬんだよ!?」


『じ、実は地獄の案内人の仕事には死者を地獄まで導く役目ともう一つ、あるノートに寿命を迎えた人間の名前書く役目があるんです。そこで私は今日死ぬはずではなかった貴方の名前を間違えて書いてしまい貴方が死んでしまったのです』


なんだよそれ……?理不尽すぎる理由に頭は付いていけずただただ怒りだけが湧き上がってくる。


「ふざけんなよ!!なんでお前の間違いで俺が死ななきゃなんないんだよ!!!!!!訳わかんねぇよ!!!!!!」


俺は怒りに身を任せて思いつくままに目の前の男を罵った。こんなに怒りをあらわにするのは初めてかもしれない。しかしこの状況でキレない奴はガンジーくらいのものだろう。


「な、なぁ俺って本当は死ぬ予定じゃなかったんだろ?なら生き返らせてくれよ。」


手違いで殺されてそのまま、はいそうですか地獄に行きます、なんて言えるほどおかしな思考回路を持っていない俺は、元の生活に戻れるよう要求する。


『一度死んでしまったことをなかったことにする方法もあるにはあるのですが……。』


「あるのかよ!じゃあ早くなんとかしてくれよ!」


案外なんとかなるもんだ。なんだか歯切れの悪い言い方が気にはなるが……。


『それがですね……なかなかに難しい課題をこなさいといけなくて、更に私ではなく貴方自身に生き返れるかはかかっていまして……。』


まどろっこしいな。なら早くその方法とやらを教えてくれよ!


『世界を救うことです。』


「」


突拍子も無い答えが返ってきた。生き返ることと世界を救うことになんの因果関係があるのだろうか。それに世界を救うなんて普通の人間の俺にはできるとは到底思えない。


『実は世界を救った人間には一度だけ死をなかったことにすることができるのです。もちろん老衰でも交通事故でも不治の病でもなかったことにできます。しかし貴方は生前世界を救うなんてことはしていませんよね。』


「当たり前だろ。」


世界を救うなんて曖昧でなにをどうすることなのかもわからないが、俺がそんな行いをしていないことはわかる。


『そこで本当は禁忌に触れるのですが私の力で今の姿のまま別の世界に貴方を召喚します。そしてその世界を救うことが貴方が生き返る唯一の方法です。』


つっこみたいことは山のようにあるが一番確認したいことは、


「じゃあ俺は生き還るのか!?」


『はい。あなたが世界さえ救う事が出来たらば生き帰る事が出来ますよ。』


なんか、もう嬉しすぎてこいつのせいで死んだことも忘れられそうだった。


「わかった。んで俺はどうすればいいんだ?世界をを救うことなんてどうやってするんだ?戦争でもとめるのか?」


正直平和な日本で生まれ育った俺にはそれぐらいしか思いつかなかった。


『そうですね、貴方が召喚される世界では魔王率いる魔族と人間の戦争を止めること、つまり魔王を倒すことが世界を救うことになります。といいましても魔族の勢いが強すぎて戦争どころかむしろ世界は魔王に支配されていますね。』


「えぇ!!!???そんなの無理だって!!魔王だろ!!倒すんだろ!!無理無理無理無理!!!!!出来るわけがないじゃんか!!馬鹿じゃないの!!??」


一般人の俺がそんな世界を支配できるような魔王なんかに勝てる訳がない。戦う気すら起きない……。


『安心してください。そこは私が貴方の身体能力を底上げしておきます。これだけで向こう世界での人間としては非常に優れた戦士として戦うことができます。さらに向こう世界では魔法というもの使う人間がいます。これは生まれた時から決まっている魔力量により使うことのできる人間と使うことのできない人間に分かれます。もちろん使える方が便利ですが使えるように』


なんだかゲームみたいな世界だ。俺は普段から結構ゲームをしているがこのような設定のゲームは山のように存在する。が、まさか本当に自分がそんな世界に行くことになるとは思いもしていなかった。


「もっと詳しく魔法の説明をしてくれないか?」


俺は魔法なんぞ、RPGの世界でしかしらないからな……それと同じようならやりやすいんだが……。


『わかりました。』


多分あった方がいいとは思うのだけど、一応説明してもらおう。なんかデメリットがあったらいやだし。


『魔法には、それぞれ属性というものがあります。基本は炎、水、氷、雷、風、土の6種類ですが、光や闇といったような特殊な魔法もあります。これも生まれた時に自分の属性は決まっています。光や闇の属性を持った人間はめったに生まれませんが。それゆえ光や闇は威力が絶大です。が、新しい魔法の習得が大変難しく、しかもすさまじい集中力をつかってしまいます。また魔力というのは魔法を使うための力で、人によって魔力量は違っています。魔法を使うたびに魔力は消費していきますが、基本的には1日程度回復します。ただ魔力が無くなったのに魔法を使ったりする

と暴走する恐れがあるので気を付けてください。』


本当にゲームみたいだ。ただ魔力がなくなると使えないのではなく使うと暴走してしまうことがあるという違いはあるが。


「デメリットとかあるのか?」


『さきほども言いましたが、魔力が切れている状態で魔法を無理に使うと暴走になります。暴走してしまうと、貴方の中のリミッタ―が外れ、自我をなくし、手当たり次第に人殺す狂暴な獣になってしまいます。これさえ気をつければ、特に問題はないかと。』


なにそれ、怖い。問題ありまくりだよ。魔力が切れたら絶対に魔法を使うべきじゃないな…。だが世界を救うためにはここでおじけづいてる場合じゃない。


「わかった、その魔法も使えるようにしてくれ。」


『了解しました。では何属性の魔法にしますか?』


自分で選べるのか。しかしこれは迷うなー。俺、注文とかでもかなり迷ってしまうタイプだし……。



しばらく考え込んだ俺は、魔王を倒すための勇者らしい属性を選ぶことにした。


「光でたのむ。」


『了解しました。では、こちらについてきてください。』


そういってラファエルは奥の方に消えていった


俺は言われるがままにラファエルについて行った。いつの間にか無重力(?)から解放された歩くことができるようになっていた。



『ここです』


目の前には小さな扉が一つあった


『この扉をあけると貴方はここでも、地球でもない異世界に飛んでいくことになります。』


この扉の向こうには魔王が支配している世界があるってわけか……。つかここも俺にとっちゃすでに異世界なんだけどね。とそこで一つ疑問がわいてきた。


「あのさ、質問なんだけど、もしあっちの世界で死んじゃったりしたらどうなるの?」


『またここに戻ってきますよ。ただしもう二度と向こうの世界に行くことはできません。言い忘れてましたが、向こうの世界には特殊能力というものが存在します。これは魔法を使うことのできない人にも魔法が使える人にもすべての人間にあります。恐らく向こうの世界にたどりついた瞬間に貴方にも特殊能力が目覚めると思います。私にはこの能力を選ぶことはできませんので、向こうの世界に着いた時に目覚めることになります。しかし、この特殊能力がまたやっかいで一生自分の特殊能力がわからないまま死んでしまう人間も少なくないようです。』


特殊能力か、これは魔法同様に魔王を倒すための鍵となりそうだ。しっかりと見つけ出さないといけないな。


『では、どうぞご無事で』


俺は目の前の小さな扉を眺めて、地球でのことを思い出していた。家族の事、友達の事、学校の事、さまざまなことを思い出しながら俺は誓った。


「絶対に生き帰ってやるからな……」


俺は目の前にある扉を開け、歩みを進める。

そして、扉の中に足を踏み入れたその瞬間ひどいめまいに襲われ意識が途絶えた。



しばらく前に意識が戻ったのだが、時間が分からないので、それが1日たったと言われても、30秒しかたっていないよと言われても、俺には判断する事ができない。体が全く動かなくて、腕も上がらないし、口も動かない。多分感覚神経が狂ってしまったのだろう。


「!」


そんなことを考えていると、突然激痛が走った。だが声がでない。

激しい痛みに耐えきれず、俺は、もう一度意識を失った。


ご感想・ご意見・各種批評・間違いの御指摘などをお待ちしております。



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