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戦隊ピンクに復帰したけど、やっぱり引退したい  作者: 安田景壹
第三章 五代目戦隊の戦い

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五代目戦隊の戦い 13

 どれくらいの時間が経ったのか。

 未だ、苦痛に苛まれる身体で、立ち上がる事もできないままジャンク・ザ・ジャックは艦内の天井を見つめる。

 行かなければならない。

 かつて、己を支えていた、強い精神がそう囁いている。

 行かなければならない。自らの足で立ち上がり、自らの手で先の見えない道を切り開く。今や、がらくた同然のこの身なれど。


「ぐ……うう……」


 気力を奮い立たせる。そうとも。行くのだ。かつてのように盤石でなくとも、この身にはまだ魔剣を操る腕が、冴えわたる剣技が、そして魔術王たる父から引き継いだ魔術がある。


「ゼラ……女神よ……我に力を貸せ」


 呪文を唱える。魔術を起こす。壁に立てかけられた魔剣に彫刻されし復讐の女神ゼラが、ジャンク・ザ・ジャックを見つめる――……


 バーニンジャーロボが宇宙を駆ける。五体のマシンが合体した事でバーニンの残量が回復し、動作に支障はない。人型に戻ったホムンクルスの胴体を狙い、鉄拳を叩き込む。ホムンクルスはよろめくも、軟体めいた身体への手応えは薄い。どこまでも伸びる腕を鞭のように振るい、反撃してくる。


「ぐっ!」

「あいつ、動きよくなってない!?」


 確かに。私は内心頷く。繰り返す形態変化といい、まるで身体の使い方を把握しつつあるかのようだ。対し、こちらは合体したて。バーニンも回復したとはいえ、長々と戦ってはいられない。


「聞こえる!? バン・バーニヤン!」


 ロボの意識でありながら、私は地球の基地に向かって通信する。


「合体は成功した! 一気に決める! バーニンソードを!」


 返事はすぐにあった。地球からの通信が響く。


『オーケー! 皆、ソードを送るよ! 受け取って!』


 バーニンによって移動ゲートが形成。溢れんばかりの光とともに、一振りの巨大な剣が地球より召喚される。バーニンジャーロボの右手が、その柄を掴み取った。


「バーニンソード!」


 五人の声が一つになる。バーニンを効率よく伝導する特殊なメタルでできたバーニンソードが星々の前にその刀身を晒す。

 ホムンクルスが、吼えた。ネガティブエネルギーをさらに発散させ、その名の如く怒り、嘆き、悲しみを含ませたかのような負の感情そのものの声で。


 ――怨。


 コクピットに流れ込んできたビジョンを覚えている。おそらくはあのホムンクルスの内側から発せられたもの。破壊。それしかない。それだけを使命に、あれはここまでやってきた。


「……あいつ。地球を攻撃するためだけに生み出されたの?」


 同じくビジョンを見たであろう侑夏が言った。


「前のと同じだ。ホムンクルスは奴らの駒。怪人のように意思もなく、ただ戦うためだけに送り込まれる」


 泉君の言葉に、私は昏い感情を覚える。戦うためだけに存在し、使い捨てられる怪物。今、目の前にいるホムンクルスの役割は爆弾。地球を破壊するため、自らの身体を炸裂させるようプログラムされている。


「やるしかない。僕らのバーニンで……」


 灯火君が言った。おそらくは皆、気持ちは同じだろうと思った。


「ええ。せめて一瞬で――」


 私は言い、バーニンジャーロボは剣を構えた。

 ホムンクルスの目が、邪気に満ちた光を帯びた。

 光線。ネガティブエネルギーがホムンクルスの目から放たれる。時空の歪みの影響か、その軌道は複雑に折れ曲がり、闇から闇へと移り、瞬く間に数十本の光線へと変化して、四方八方から襲い来る。


『ヴァアアアァアァアァッ!』


 ホムンクルスの咆哮。間違いない。これが奴の全力の攻撃だ。バーニンジャーロボの背部ブースターを起動。バーニンを爆発させながら、光線の嵐をすり抜ける。


「ソードにバーニンを流し込め!」


 泉君が叫ぶ。五人が同時にバーニンチェンジャーのクリスタルを三度タップ!


『バニバニバーニン! バニバニバーニン! バニバニバーニン!』

「「「「「バーニンジャーロボ必殺剣!!」」」」」


 見えた。剣の間合い。ホムンクルスの目とバーニンジャーロボの目が合う。新たな光線を放とうとする目が。

 すまない。何故かそんな感情が浮かぶ。さらばだ――


「「「「「爆新斬り!!」」」」」


 光線の嵐を駆け抜けざま振り切ったバーニンジャーロボのひと太刀がホムンクルスの肉体を両断する。


『ヴァアァア――』


 爆発。迸るバーニンの熱風が、光が、広がったネガティブエネルギーを吹き飛ばしていく。


「……」


 やったか。ホムンクルスの肉体は消滅したようだ。だが、エネルギーの変移が激しく、まだ正しい状況が掴めない……。


 ――ギュィイイイイィイイン――


「何だ!?」


 泉君が驚いた声を上げる。空間が軋んでいるかのような、異様な高音が響いている。


「――皆、構えろ! まだネガティブエネルギーの高反応が残っている!」


 夜見君の言葉に、私は爆風の中、必死に目を凝らす。

 大砲のような音が轟いた。衝撃波がバーニンジャーロボを揺らす。戦場となった宇宙空間から、何かが飛び出していた。

 あれは――ホムンクルスの胸にあった球体。


「ネガティブエネルギーのコアだ!」

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