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戦隊ピンクに復帰したけど、やっぱり引退したい  作者: 安田景壹
第一章 戦隊ピンクの戦後

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4/50

戦隊ピンクの戦後 4

――今から十年前。西暦二〇三〇年。


 宇宙開発技術の発展により、人類は太陽系に新天地を見つけるべく宇宙船団による長期間探査を計画していた。

 そんな折、奴らはやってきた。きたる大帝降誕の儀に地球を生贄に捧げるべく襲来した、宇宙魔術結社アンゴルモア。魔術王ガルゴル率いる悪の組織。そのままでは到底人類に勝ち目などなかったが、結社に囚われていた妖精人トルケンが決死の覚悟で脱出、人類に接触した事で潮目が変わる。


 途方もない冒険に出る者だけが呼び起こす事ができる不思議なパワー、《メグルン》。トルケンを助けた男と、その男が見出した四人の仲間がそれぞれメグルンを呼び起こし、最初の戦隊となった。


 名を、《銀河戦隊メグルンジャー》。初変身以来、一年近くかけてアンゴルモアと戦ったメグルンジャーは、ついに結社の宇宙要塞に潜入。死闘の末、ガルゴルを倒すも要塞は暴走し、地球に落下する軌道に入る。ブルー、グリーン、イエローはメグルンジャーロボで外から軌道修正を試み、ピンクとレッドはメグルンバズ―カで動力炉を破壊すべく内部に侵入。転送装置でメグルンジャーロボに戻り、安全圏まで離脱するはずだった。


 だが、敵はまだ残っていた。

 魔術王ガルゴルの息子にして、結社随一の剣の使い手。邪装騎士ガルドラン。


『我が父の悲願は潰えた。だが、俺はまだ生きている。決着をつけよう。メグルンジャー』


 最後の最後で、私たち(・・・)の前に立ちはだかった奴は、容赦なく戦いを挑んできた。あの土壇場で、なおも異常な強さを誇ったガルドランを、私は止められなかった。どころか、メグルンブレスレットが破損し、転送装置が誤作動。ガルドランと二人、最後まで戦い続けるレッドを残して、私はロボのコクピットへと帰還。

 直後、要塞の右翼が爆発。


 衝撃でメグルンジャーロボはバランサーに異常が発生。体勢を立て直せないまま地球の重力圏に囚われる。

 大きく軌道を変えた要塞はその後も爆発を繰り返し、そして宇宙の闇へと消えていった。

 私は戻ろうとした。私たちは要塞を追おうとした。あの中にはレッドが、私たちのリーダーが、一番初めに地球のために戦おうと立ち上がった男が、まだ残っていた。


 だがメグルンジャーロボは動けなかった。一年間連続して戦い過ぎたせいで、もうガタがきていたのだ。メグルンマシンに分離する事もできず、大気圏に突入したロボを地表に激突させないよう、私たちは必死に手を動かした。

 何とか、何とかもう一度飛び立とうとした事は覚えている。バランサーが復旧し、メグルンジャーロボは海面に不時着。

 そこで、とうとう力尽きてしまった。

 どこの海かもわからなかった。私たちは急いで外に出て、それから何も起きていない事を知った。


 アンゴルモアの宇宙要塞は消えた。あとを追う事もできない宇宙の闇に呑まれて、ふっと消失したのだ。危ぶまれていた事態は無事防がれた。軌道を変えた爆発は偶然だったのだろうか? いや、違う。きっと違う。私はメグルンレッドをよく知っている。純朴さを持ちながらとんでもなく優秀なあいつは、きっと何か秘策をやってのけたのだ。だから帰ってくると思った。転送装置は生きている。もしそれが駄目になっていたとしても、ほかの手があるだろう。要塞に備わっていた脱出艇でも何でもいい。どんな手段を使ったって帰ってくると思っていた。


 そんな事はなかった。メグルンレッドのブレスレット信号は消失していた。転送装置が使われた形跡もなかった。地球は救われた。最初にアンゴルモアとの戦いを始めた男を犠牲にして。一緒に戦っていた人間が、最後の最後で離脱してしまったから。


 十年前。メグルンピンクだったあの頃。私は自分が憎くて仕方なかった。どんな戦いでも五人で帰ってきたのに、最後に一人を地球に帰せなかったのは、どうあがいても私のせいだ。


 メグルンジャーは自然と解散した。妖精人トルケンは再び宇宙へ。ほかのメンバーも、元いたところへ戻っていった。途方もない冒険へと繰り出すようなパワーは、もう失われていた。当時大学を休学して戦っていた私は復学し、復興する日常へと戻っていった。だが、心は二度とメグルンジャーになる前のようにはならなかった。


 私に再び戦う機会が与えられるのはそれから一年と少しが過ぎた頃。古代獣魔帝国と戦う、二代目戦隊の存在を知った時だった――


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