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戦隊ピンクに復帰したけど、やっぱり引退したい  作者: 安田景壹
第三章 五代目戦隊の戦い

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五代目戦隊の戦い 6

「キャンドルブレード!」

「ポンピングランス!」


 バーニンレッドとバーニンブルーの同時攻撃が、ギャン・デスペラードに迫る。暴虐集団の首領は難なくそれを躱し、どころか二人の武器を掴んでみせた。


「ほら、どうした!」


 武器を掴んだまま、ギャン・デスペラードは蹴りを放つ。乱暴だが、鋭さを持った蹴りが二人の腹部に入った。


「ぐっ――」

「がぁっ!」


 バーニングリーンが跳躍する。持ち手に風車のついた彼女の専用武器。その弦を引く。


「ウィンドミルアロー!」


 放たれる緑光の矢の連射。それを屈強な胴体で全て受け止め、ブレードとランスから手を離し、無造作にバーニングリーンを殴りつける。


「きゃあっ!」

「痒いぜ、そんな矢なんてなあ!」


 追撃に迫るギャン・デスペラードをバーニンブラックのグランドスマッシャーが横殴りに殴りつける。


「な――」


 だが、ギャン・デスペラードの肉体は微動だにしない。命中し、手応えもあるはず。だというのに、全く通用していない。


「可愛いな。お前ら」


 そう言ったギャン・デスペラードの拳が、バーニンブラックに迫る。


「はあああぁっ!」


 私はエンゲイジアックスでその腕を斬りつけた。固い! ダイヤモンド以上の硬度だ。エンゲイジアックスの一撃も、全然歯が立たない。


「ほう。お前が新入りのバーニンピンクか。会いたいと思っていたんだぜ」


 拳の一撃が私の腹部に命中し、スーツがダメージを処理しきれず、私の身体は吹っ飛ばされる。


「ぐはっ――!?」


 何て威力だ。このまま食らい続けていたら、身体がバラバラになりそうだ。


「おいおい。こんなもんなのか。うちの囚人どもは、一体こいつらの何に負けてたっていうんだ? ええ?」

「復活させた連中が、よほど凡夫だったのですかな」

「だっさいわねー。これならここでスタンプ押しちゃったほうが話が早そう~。ふふ、ははは!」


 ギャンギャングの幹部たちが口々に私たちを嘲る。想定外だ。ここまで力の差があるとは。


「く、くそ……」


 泉君が、ふらふらのまま立ち上がろうとする。ほかの皆も同様だ。皆、自らの武器を杖に立ち上がり、まだ戦おうとしている。


「さあ、こんなもんじゃないんだろう!? 五対一だ! 好きなようにかかってこい!」

「さて……どうする?」


 バーニンブラックが言った。


「一点集中だ。皆のバーニンストライクなら」


 息を整えながら、泉君が言う。


「躱されちゃったらどうするの!?」

「いや、泉君の言う通りだ。全力で一点突破するんだ」


 私にも策はあった。本来はガルドランに使うつもりだった策だ。あの化け物じみた首領に通じるかはわからないが……


「皆――」


 私は、そう呼びかけたあと、用意していた最後のアイテムをバーニンチェンジャーに取り付けた。


「みさとさん。それ……」


 灯火君が、言った。


「メグルンブレス。もう変身はできないけど、バーニンチェンジャーに接続する事で、バーニンストライクの威力をさらに上げられる。全員の全力をぶつけよう」

「それなら……バーニンマシンの力も借りよう!」

「よし!」


 バーニンマシンによる特性サポート機能。先日、灯火君がやってみせたものだ。


「バーニンマシン!」


 クリスタルに呼びかけると、巨大な移動ゲートを通じて、バーニンマシンが出現する。バーニンレッドは炎のフェニックス、バーニンブルーは水のウンディーネ、バーニングリーンは風のエアリエル、バーニンブラックは大地のタイタン、そしてバーニンピンクは花のアルラウネを自らのマシンとする。


「マシンフェニックス! 炎の力を!」

「マシンウンディーネ! 水の恵みを!」

「マシンエアリエル! 風の翼を!」

「マシンタイタン! 大地の息吹を!」

「マシンアルラウネ! 花の盛りを!」


 特性サポート機能によって、私たちのバーニンメダルが輝き、属性に沿った力が増していく。大地の息吹が私たちを強固なものとし、風の翼が全員の動きを軽やかに、花の盛りが能力を底上げし、水の恵みが身体を癒す。そして炎の力が、全員の攻撃力を極大までに引き上げる。


「ほう。少しはましになったじゃねえか」


 ギャン・デスペラードが腕組みしたまま言った。


『バニバニバーニン!』


 クリスタルを三回タップ。全員が構えに入る。私はさらに、改造したメグルンブレスを起動。ブレスに残っていたメグルンの残滓を、強制的にバーニンチェンジャーにオーバーロードする。


『バニ……メグ……バニ……』

「この一瞬だけ……もって!」


 機械音声は異常をきたしている。だが、ここでやるしかない! 私はバーニンの力を使って加速し、周囲の瓦礫を使って高く高く跳躍する。


「銀河烈光――!」


 バーニンとメグルン残滓によってエネルギー流路が形成され、その中に、ギャン・デスペラードを捕える。同時に、地上から四人が攻撃態勢に入る。


「来い!」


 ギャン・デスペラードが叫んだ。エネルギー溢れるエンゲイジアックスが、今、敵の首領めがけて落下する――!


「秘剣・流れ星!」

「ハイパー・バーニンストライク!!」


 溢れ出るバーニンのエネルギー。五色の色が織りなす必殺の攻撃がギャン・デスペラードを直撃する。


「ぐっ――はっ!」


 光が収まらない。煙のせいで、誰がどうなっているのか見当がつかない。


「はあ、はあ……!」


 煙の向こうに人影が見える。大きな、人影。違う。このシルエットは――!


「やってくれるじゃねえかぁっ!」


 土煙を裂いて、ギャン・デスペラードが突進してくる。躱せない。ギャン・デスペラードの大きな掌が、私の首を鷲掴みにする。


「さすがに効いたぜぇ! とんでもねえ奴らだよ、お前ら!」


 荒々しい息を吐いて、ギャン・デスペラードは私の首を締め上げる。意識が、飛びそうになる。バーニンのおかげで何とか気道が確保されているが、それももう、すぐに限界だ。


「――ぉ、おおおぉっ!」


 赤い人影が、煙の中から飛び出してきた。キャンドルブレードの一撃が、ギャン・デスペラードの腕を斬る。


「みさとさんを……離せ!」


 もはや満身創痍のバーニンレッドがキャンドルブレードを構えていた。連続して斬り付けるが、これはもはやただ剣を振り回しているだけだ。ギャン・デスペラードは面倒そうに私の首から手を離し、そのままバーニンレッドを無造作に払う。


「は、ははは。褒めてやるよ、赤いの。お前の一撃もなかなかだった。だがな、お前らは所詮おれの敵じゃねえ。大人しくしてりゃ、今ここで楽に――」

「僕らは、お前たちにやられたりなんかしない!」


 キャンドルブレードが深くギャン・デスペラードに切り込んだ。


「地球を、お前らの好きにはさせない! ここは四代戦隊が守った星だ! 僕らが次の五番目だ! 僕らはこの星で生きていく! お前らに滅ぼされたりなんかしない!」

「ぐ……このっ!」


 ギャン・デスペラードの拳を、ふらふらのままバーニンレッドは躱した。


「何っ!?」

「僕らのバーニンは……」


 バーニンレッドがクリスタルをタップする。


『バーニン!』

「尽きやしない!」


 火が(とも)る。

 バーニンを纏ったキャンドルブレードの切っ先が赤く燃え盛り、ギャン・デスペラードの肌を切り裂く。


「がっ……!」

「途方もない冒険は……これから始まるんだ!」


 再び、クリスタルをタップ。


『――メグルン!』

「なっ……」


 驚いたのは私だった。バーニンチェンジャーに、メグルンを発生させる機能はない。ならば、今のメグルンは……

 バーニンレッドはクリスタルをタップし続ける。エネルギーが続々と充填されていく。


『バーニン! メグルン! バーニン! メグルン! バーニン! メグルン!』

「バーニン・メグルンストライク」


 とてつもないエネルギーを秘めた一撃が、ギャン・デスペラードの顔面に迫った。ギャン・デスペラードは気迫の声を上げ、握りしめた拳でそれを迎え撃つ。

 壮絶なぶつかり合いとなった。バーニンレッドはまるで、何かに導かれるかのように剣を振るい、ギャン・デスペラードは吼え声を上げてそれに応える。


「……見事。お見事だよ。お前!」


 拳でキャンドルブレードを留めながら、ギャン・デスペラードは言った。


「名前を……聞いておこうか……ええ?」

「……バーニンレッド」


 火花が散る。拳と剣の間に。どちらも引く様子はない。


「また会おうぜ、バーニンレッド。今度はおれも容赦しねえ。……ソーマ、ヘルタイム! 引き上げだ!」

「はぁ~い。ほら立って、ジャンク! もう自分で立てるでしょ」

「はあ……残りは船でやりますか。重力場発生装置、起動」


 再び、上空に闇が開いた。今度は四人分の人影が浮かび上がる。


「歯応えのある奴らだ、バーニンジャー! これからが楽しみだ! 簡単にやられるんじゃねえぞ!」


 ギャン・デスペラードは大声で吼え、上空に開いた闇の中へと消えていった。

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