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戦隊ピンクに復帰したけど、やっぱり引退したい  作者: 安田景壹
第三章 五代目戦隊の戦い

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五代目戦隊の戦い 5

「ギャン・デスペラード……」


 纏っているのは、紛れもなく暴力の気配。身に着けているもの、全てが自らの力と存在を誇示している。

 ボンテージに身を包んだ得体の知れない女が前に躍り出た。


「はぁい♡ 戦隊のみなさーん。アタシはソーマ・ザ・プシュケー。首領のお世話係兼拷問担当♡ よろしくね」


 モノクルの位置を直した白衣の男が不機嫌そうにそれに続く。


「自己紹介の必要など感じないが、念のため伝えておこう。私はドクター・ヘルタイム。ギャンギャングの研究顧問だ」


 私たちは、目の前に現れたこの異様な雰囲気を漂わせる三人を見つめるほかなかった。圧倒的なプレッシャー。それ故に、身動ぎする事もできない。ここまで緊張するのは私が長らく前線を退いていたからじゃない。彼らは、ギャンギャングの幹部は、これまでの悪の組織はまた異なる、そして強力な連中だ。


「……あなたは、まさか人間か」


 夜見君が驚いたように言った。その視線の先には、ドクター・ヘルタイムの姿がある。


「いかにも。私はこの惑星の出身だ。だが、人間などという下等生物とはもはや一線を画しておる。私は科学技術によって自らの肉体をより高度な存在へと進化させた。我らの支配が完了した暁には、貴様ら人間を我が研究材料とし、ギャンギャングの宇宙支配を成し遂げる強い兵士を作るための礎にしてやろう」

「そんな……あなたも人間なら、何でわたしたちと戦うの!?」


 侑夏が涙声で言った。ドクター・ヘルタイムが不愉快そうな顔をした。


「いかにも愚かな小娘の考えそうな事だ。宇宙はすでに繋がっている。生まれ故郷といえど、我が才能を認めなかった者ども顧みる必要がどこにあるというのだ」


 ギャン・デスペラードが面倒そうにヘルタイムを見た。


「ヘルタイム。お喋りもほどほどしろ。ロック・ロック・プリィズンの身体を使うんだろう。さっさとやれ」

「仰せのままに。首領」


 薄汚れた白衣の男が、事務的に答え、


「ソーマ。ジャンク・ザ・ジャックの身体を直してやれ。あいつはまだ使える」

「いいのぉ? こいつ、アタシらに隠れてバトっていたみたいだけど」


 煽情的な姿の怪人が、猫なで声で言った。


「それがこいつの仕事だ。おい、ジャンク。通信しなかった事は不問しておいてやるよ。お前の剣にはまだまだ使い道がある。今後もおれに忠誠を誓うなら直してやるよ」


 ガルドランは、震える手で地面に指を立て、立ち上がろうとした。


「……忠誠? 俺とお前の関係は仕事と報酬だけだ……勘違いするな、デスペラード」

「おいおいおい。拾ってやった恩があるだろう? まあ、いい。ソーマが治療をする。しばらくじっとしていろ。さて……」


 ギャン・デスペラードの両目が、私たちを見下ろした。


「立て、五代目戦隊。地球の戦隊ってのが手強いと聞いたから、討って名を上げるためにこの星を選んだんだ。てめえらの実力、見せてみろや」

「な……そんな事のために!」


 灯火君が顔を上げて叫ぶと、ギャン・デスペラードはゆらりと近づいて、灯火君の髪を掴み上げた。


「あぁっ! ぐうっ!」

「そんな事とは言ってくれるな、坊主。お前も戦隊の一人か。こう見えて、宇宙じゃ俺もまだまだ若造でな。組織をでかくし、半端な奴らに絡まれないようにするためには、名のある連中を何十くらいかは倒さなきゃいけないんだよ。ビジネスさ、これも。なあ!」


 ギャン・デスペラードは掴んだ灯火君を無造作に投げ飛ばす。灯火君の身体はそのまま散らばったゴミ袋にぶつかった。


「春彦!」

「灯火君!」


 皆が口々に叫ぶ。まずい。立ち上がらなければ。両足に力を込め、身体を支える。立つ。やるしかない。

 赤い服の少年が、地面に手を突いた。

 その目は、立ち並ぶギャンギャングの幹部たちを睨みつけている。



「だい……じょうぶ」


 灯火君が、立ち上がる。バーニンのおかげか、そこまで怪我は見当たらない。

 侑夏が、泉君が、夜見君が、続けて立ち上がった。


「こいつが大ボスなら、今ここで倒せば戦いは終わるよね」


 侑夏の瞳には戦意が燃え、


「簡単に言うな。油断して勝てる相手じゃない」


 泉君もまた眼前の敵を見据え、


「ならば、油断せずに全力だ。爆新戦隊の力、叩き込んでやろうじゃないか」


 夜見君が不敵に笑った。

 青い炎。燃え盛る魂のような。バーニンチェンジャーのクリスタルが静かに、だが確かに熱を帯びて煌めいている。


「……いい面構えだ。後輩たち」


 覚悟はある。全員に。今、ここで戦わなければ、本当に負けてしまう。ギャンギャング――地球を狙う悪に。


「皆……行くよ!」


 私たちは、その声に頷く。決意と覚悟を以てバーニンチェンジャーを一度タップする。


「バーニンチェンジ!!」


 五色の光がクリスタルから放たれる。レッド、ブルー、グリーン、ブラック、そしてピンク。高位のエネルギーであるバーニンが肉体を駆け巡り、スーツが瞬間的に、私たちの身体を覆う。

 今、ここに。

 五人の戦士が揃った。


「灯す炎で悪党退散! バーニンレッド!」

「決して涸れないクールの泉。バーニンブルー!」

「皆に追い風! ワルに向かい風! バーニングリーン!」

「星なき夜も人の夜のため。バーニンブラック!」

「徒花なれども鮮烈爛漫! バーニンピンク!」


 悪に、名乗りを上げる。お前たちをうち滅ぼす者の名だ。その脳裏に刻み付けるがいい。


「爆裂爆発超新星! 爆新戦隊――」


 そう。これが、五代目戦隊――


「「「「「バーニンジャー!!」」」」」

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