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戦隊ピンクに復帰したけど、やっぱり引退したい  作者: 安田景壹
第三章 五代目戦隊の戦い

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五代目戦隊の戦い 4

「お前……約束が違うぞ!」

「俺はお前との約束を違えるつもりはない! だが、プリィズンにはプリィズンの仕事がある! 奴の爆発は俺でも止められん! それに……忘れたわけではあるまい! 俺たちは、戦っているのだぞ、この星を賭けて!」


 剛剣が勢いを増して迫りくる。いや、もはや、こいつの相手をしている場合ではない。皆の、バーニンジャーのところへ行かなければ!


「バン・バーニヤン!」


 私はチェンジャーに向かって叫ぶ。応答はない。ノイズめいた音が少ししただけだ。


「ネガティブエネルギーが街に満ちている。通信は届かんだろうさ」

「何だと……!」


 駄目だ。今、こいつの相手をしている場合じゃない。私はチェンジャーを素早く操作して移動ゲートを作り出す。ピースフルの減少に応じてゲートが作られるなら、このゲートを通るのが仲間の元にたどり着く一番の近道だ。


「逃げるのか!? 背を向ければ貴様を斬る! メグルンレッドの真実には一生たどり着けんぞ。それに、もはや間に合わん。仲間の無残な死体を見るだけだ!」


 ガルドランの言葉に、一瞬、自分は揺らぐのではないかという恐れがあった。

 いや、そんな事はない。自分の心と身体は一致している。足はガルドランとは反対の方向に踏み出し、急ぐ。


「貴様……戦いの最中に!」


 剣撃が襲い来る。私はそれをエンゲイジアックスで打ち払い、


「悪いな、ガルドラン。今は未来(・・)が待っている!」


 言って、私は移動ゲートに飛び込んだ。


「待て! メグルンピンク!」


 ガルドランの声が私を追う。移動ゲート内の不可思議な空間を通り抜け、私は出口から飛び出す。


「ゥう……があっ!!」


 ロック・ロック・プリィズンの身体が、今まさに爆発寸前だった。もはやほとんど球体めいて、青い妖光を放ちながら凄まじい轟音を立てている。

 間に合え! クリスタルを二度タップする。


『カモン、ウェポン! ウェウェウェポン! ダダダダガー!』

「キッドブラキオ・ダガー!」


 凍れる大地に眠っていた恐竜型ロボ、キッドブラキオの牙の破片を取り付けた特製ダガーを呼び出し、すかさずロック・ロック・プリィズンの身体めがけて投擲する。青い妖光がいっそう激しさを増す。その瞬間、ダガーの切っ先がロック・ロック・プリィズンの身体に突き刺さり、瞬く間に氷で覆っていく。


「はあ、はあ――」


 青い妖光は、収まっていた。キッドブラキオが牙に込めた氷のパワーは、一度だけ攻撃したものを氷漬けにする。本来ならば、これでガルドランの動きを完全に止めるつもりだったが……。


「うわっ――」


 バーニンレッドの身体からギャンギャンスタンプの紋章が消える。倒れかかった彼の身体を、私は咄嗟に支えた。


「みさとさん……? 何で……」

「そりゃまあ。私もバーニンジャーだからね、一応。ほかの皆も無事?」

「う……まあ、何とか……」

「身体は、軽くなりましたね」

「みさとさん……まじナイスタイミング」

「どういたしまして」


 全く。危ないところだった。通信状況は未だに悪いようだ。もし、あと一歩でも遅ければ、彼らは爆発に巻き込まれていたかもしれない。

 がちゃん、と。

 背後で大きな物音がした。

 移動ゲートの出口から、機械甲冑の剣士が姿を現す。ガルドランだ。


「礼を言わなきゃいけないかもね。あんたが話してくれなかったら、私は間に合わなかった。もしかして、最初からそのつもりだった?」


 邪装騎士と呼ばれた男は、先ほどまでとは打って変わって無表情だった。


「……俺がそんな男に見えるか? 間一髪間に合ったというのなら、それが貴様らの天運だ。そんな事より――」


 ガルドランは魔剣を構え直し、あらためて私を見た。


「これ以上の間延びは御免だ。そろそろ決着をつけよう。メグルンピンク」

「……そうだね。そろそろ終わりにすべきだ」


 私もまたエンゲイジアックスを構え直す。


「みさとさん――」

「手出しは無用だよ。皆も、それだけはよろしく」


 バーニンジャーの面々が、固唾を飲んで頷く。

 周囲に一般人の姿はない。瓦礫はそこら中に転がっているが、足場も問題ないだろう。

 全力でいく。私は、用意した最後のアイテムを出すべく、スーツの後ろに取り付けたポケットに手を伸ばす。

 ガルドランが、剣を握り直した。その瞬間。


「――重力場発生装置、起動」


 無機質なその声は知っている者の声ではなかった。


「ぐっ――!?」


 直後、異様な重力によって私の身体は強制的に地面に押し付けられる。ほかのバーニンジャーも同様だ。どころかガルドランでさえも膝を突いている。あまりにも強力な力だ。変身状態が強制解除され、私たちは人間の姿に戻った。


「こ、これは――」


 ガルドランが、抑えつける力に抗いながら、上空に顔を剥ける。

 天に、闇が広がっていた。

 見知らぬ銀河にでも存在するかのような、不気味で不可解な闇。その闇の中に、三人の人影があった。

 左には、薄汚れた白衣のいたるところに計器を取り付けた、モノクルの男。

 右には、煽情的な肉体をボンテージで包み込んだ、得体の知れない女。

 そして中央に位置する、ソンブレロに似た被り物を被り、屈強な青い肌の肉体に数々の装飾品を付けた、見るからに尊大な風の男。


「時間です」


 白衣の男がそういうと同時に、重力場が消え去った。身体は自由になったものの、すぐに立ち上がる事ができない。


「首領……何故ここに」


 ガルドランが絞り出すように言い、その言葉に、バーニンジャーの面々が反応する。


「首領……?」

「ボスって事……? え、じゃあ――」

「暴虐集団ギャンギャングのトップ――」


 青い肌の男が地面に足をつけ、両腕を大仰に広げる。


「よう。初めましてだな、戦隊諸君」


 その声は若々しくも、ぞっとするほどの凶悪さを秘めていた。


「ギャンギャング首領、ギャン・デスペラードだ。はるばる会いに来てやったぜ」

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