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戦隊ピンクに復帰したけど、やっぱり引退したい  作者: 安田景壹
第三章 五代目戦隊の戦い

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五代目戦隊の戦い 2

「勝手な奴だ。いいだろう。とっとと終わらせてやる」


 私の言葉に、ガルドランは剣を構えた。復讐の女神が彫刻された異形の魔剣を。


「私が勝ったら洗いざらい教えてもらうぞ。要塞が消えた日、お前がメグルンレッドをどうしたのかをな」

「俺が勝てば、お前も、お前の新たな仲間も皆殺しだ。心してかかるんだな」


 脳裏に一瞬、爆新戦隊の皆の顔が過ぎる。

 胸の裡に、静かに炎が灯った。


「ぶちのめしてやるよ。がらくた野郎」

「ふん。ここで星屑となるがいい、メグルンピンク!」


 魔剣に彫られた女神の顔が、不気味な両目を開けた。その瞬間、私はバーニンチェンジャーのクリスタルを二度叩いた。


『カモン、ウェポン! ブラスター!』

「バーニンブラスター!」


 赤い銃身のバーニンブラスターが桜色の光線を発射する。三連射された光線は三本に分かれて軌跡を描き、ガルドランの胴体を狙う。が、異形の剣の分厚い刀身が、まるで虫でも払うかのように、無造作に光線を打ち払った。


「品を変えたところで!」


 黒々とした突風のように、剣を構えたガルドランが迫ってくる。横薙ぎにされる分厚い刃を躱し、さらに撃つ。桜色の光線は相手の甲冑を焦がすも、足を止めるには至らない。


「ぬぅんっ!」


 重々しい一撃が迫る。素早くクリスタルを二度叩いた。


『カモン、ウェポン! ウェウェウェポン! ガガガガン!』

「コメットガン!」


 三ツ星戦隊スタースリーの共通装備、コメットガン。光線ではなく光弾を発射する銃器で、単発、連発のモード切り替えが可能だ。本来、バーニンジャーの武器ではないので、バーニンチェンジャーの音声にはノイズが生じているが、武器を取り出せればいい。


「三ツ星フルバースト!」


 トリガーを引きっぱなしにして、光弾を連続発射。同時に、バーニンブラスターのトリガーも引く。胴体の一点に集中した光の銃撃がガルドランの姿勢を崩す。


「ぐうっ!」


 剣の振りが乱れる。躱すと同時に、剣の切っ先が地面に刺さった。すかさず二挺の銃を発射。ガルドランの甲冑を削り、ダメージを蓄積させる。


「ぐう……舐めるな!」


 見開かれた復讐の女神の両目が妖しげに光るや、私の身体は衝撃波によって吹っ飛ばされる。受け身をとって立ち上がろうとするが、衝撃波のダメージが遅れてやってくる。


「っ……!」

「ふっ。どうした、そんなものではあるまい」


 ガルドランは甲冑から昇り立つ銃撃による煙を振り払いながら言った。

 なるほど。どうやら向こうも剣術だけではないらしい。


「楽しませてくれるじゃない」



「収監ロックロック!」


 ロック・ロック・プリィズンは、能力を使用し、街中に檻を降り注がせていた。逃げ惑う人々を、檻は次々と捕らえていく。


「急げよ~。スタンプが消えるまであと数十分だ!」


 檻が逃げる親子を狙う。足は遅い。それに背を向けて逃げるなら、ロック・ロック・プリィズンの能力からは逃げられない!


「させない!」


 突如として現れた黒い影が、巨大な棍棒のようなもので、ロック・ロック・プリィズンの檻を叩き壊した。


「ぬっ――お前たちは」


 逃げる親子を守るように立ちはだかったのは、赤、青、緑、黒のスーツにそれぞれ身を包んだ、四人の戦士だった。


「そこまでだ。ロック・ロック・プリィズン」


 バーニンレッドがキャンドルブレードを片手に言った。


「バーニンジャ~~~~! やはり現れたか! オレの檻を壊しやがって!」

「壊すに決まってんでしょ! あんたがロック・ロック・プリィズンね! 街の人を捕まえて一体どうするつもり!?」

「どうもこうもない! 捕まえるのが楽しいだけだ!」

「そんな奴は――」


 ぶん、と風を切る棍棒の一撃が、ロック・ロック・プリィズンの胴体を直撃する。


「げふっ!?」


 黒いスーツの戦士――バーニンブラックが重量のある大きな棍棒を軽々振り回してから肩に担ぐ。


「やっつけるしかないね」

「ぐぅっ」


 恐ろしく強い一撃だ。ジャンク・ザ・ジャックは、バーニンレッド以外のバーニンジャーが加われば、ロック・ロック・プリィズンもあっという間に追い詰められるかもと言っていたが、まさに今がその状況だ。


「ふーっ! ふーっ!」


 身体が、熱い。まるで奥から破裂してしまうのではないかと思うほど。


「何か、様子が変じゃない……?」


 バーニングリーンが、弓を構えながらも不審そうに言う。


「ふ、ふふ、ははははは!」


 ロック・ロック・プリィズンは堪え切れず笑い出した。手の内はバレている上に、時間もない。これは早々に奥の手を出すしかなさそうだ。


「な、何だ急に!?」

「バーニンジャー! のこのこ出てきたのが命取りだ! ロックロック・スタンプフェスティバル!」


 妖しげな青い光が、ロック・ロック・プリィズンの全身から迸る。たちまちそこかしこに、掌サイズのギャンギャンスタンプの紋章が押印される。当然、バーニンジャーたちの身体にも。


「な……これっ!?」


 バーニンジャーたちのスーツに複数のギャンギャンスタンプが押印された。途端に、バーニンブルーやバーニングリーンの膝から力が抜け、まともに立っていられなくなる。キャンドルブレードでかろうじて身体を支えるバーニンレッドが、闘志を剥き出しにして構えを取ろうとするが、力が入らないようで、剣を持つのもやっとの様子だ。


「スタンプを……地面じゃなくて僕らに!」

「今のオレは歩くギャンギャンスタンプだ! 地域を支配するならともかく、地球人単体を支配するのなら、オレのスタンプでも十分なようだな! 互いに攻撃し合って自滅するがいい!」

「ぐっ!」

「あ、駄目っ!」


 バーニンブラックの棍棒がバーニンレッドを横殴りにし、バーニングリーンの弓から放たれるエネルギーの矢が、バーニンブルーを撃つ。ジャンク・ザ・ジャックが可能なのではないかと推察していたスタンプによる個人単位の支配。どうやらうまくいったようだ。


「そうだ! やれ、やってしまえ!」


 ロック・ロック・プリィズンの中で蠢く、破滅への予感は依然消えていない。おそらく儀式に使用したスタンプが消えるその瞬間、ロック・ロック・プリィズンの命も尽きるだろう。しかし、この感覚――果たして自分一人が消えるだけで済むだろうか?

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