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02 隠された魅了魔法


「アルテミス様、ご相談があります」


 王宮食堂で朝食を口にしようとしていた私に、昨夜の護衛兵が声をかけてきた。


 王宮の三階、二百人は入るであろう使用人食堂で、しかも騒がしい中から、偶然ではなく、私を探し出したようだ。


 一介のメイドである私に「様」を付けるとは、なかなか見どころのある護衛兵だ。お礼に、私はサンドウィッチを食べようとしていた手を止めてあげて、微笑む。



「昨夜はお疲れさまでした、どうしました?」


「実は、昨夜の刺客は、同僚を狙った犯行ではないかと思っています。同僚は、二年前の闇魔法暴走事件を探っていて、何かを掴んだようなのです」


 ずいぶんと突飛な話である。


 闇魔法暴走事件とは、たしか、流行り病を治癒させるのは、光属性の方が優れているので、闇属性は使わないこととなった、そんな事件だったはず。


「あの事件は、闇属性での治癒が暴走したことが原因となって、多くの病人が亡くなり、闇属性の使い手が逮捕され、処刑されたはずでは?」


 私が学園を卒業する頃だった。流行り病で、多くの人が高熱を出し、そして亡くなった。今でも、後遺症で、子供に恵まれないと、悩む夫婦がたくさんいる。


「同僚は、あの時、闇属性で治癒してもらい、命が助かったのです。だから、闇属性に感謝していました」


 私も、修行時代に闇属性で治癒した。暴走なんてなかったし、後遺症もない。


「俺は、あの時は聖女様が作った光属性の新しい魔法陣で治癒してもらいました」


「同僚は、この俺の体を調べ、何かを掴んだようなのです」


 護衛兵の目は真剣で、ウソは言っていないが、聖女の魔法陣に欠陥があるという内容であり、直ぐには信じられない。



「キィ~ン」何か耳障りな高音が鳴った。

 護衛兵が突然、食堂のバルコニーへ走る。


「まて!」


 護衛兵を掴もうとしたが、あと少しで掴めなかった。

 彼は、バルコニーの外へ向かっている。まさかと思い、追いかける。


 彼は、バルコニーの手すりを飛び越えた。


 私は手すりから身を乗り出し、彼を掴もうと手を伸ばすが、届かない。


 落ちていく彼の顔は、なぜか、ウットリと笑っていた……




お読みいただきありがとうございました。

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