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煌めく瞳、示す覚悟

「ティアフォルト=ビクトリアね、覚えたわ...じゃあ私について来て、私たちの基地に案内するわ」


「うん...わかった!」


 ティアフォルト......この子は強くなれるだろう。この子は自分の悲しみを乗り越え、前に進める子だ。それは、誰にでもできる事ではなく、あまつさえ10歳の子供がそうしなければ生きられない世界なのだ。そんなこと、断じてあってはならない。


「必ず、成し遂げましょう...この世界の未来の為にもね」


「?よくわからないけど、がんばる!」


 ありゃ、さすがに世界の話しは跳躍しすぎたかな?言っていることを理解できなかったみたい。まぁ、10歳の子供がそんなことを考えないでいい未来を創るのが私の使命なんだけど......


「さて、ついたわよ!ここが、私たち月光薔薇騎士団ルナ・ローズ・ラピテルよ!」


 私たちの組織......月光薔薇騎士団ルナ・ローズ・ラピテルは、騎士団とは名乗ってはいるものの、その実態は今の現状に納得がいっていない人たちで、術式の適正を持った人たちの集まりだ。


「お嬢!まさかその子供を俺たちの仲間に入れるつもりか?」


「ゴンさん、この子には世界を変える資格を持っています...そこに年齢はないと私は考えています」


「いや...ミカエルちゃんがいいなら良いんだけどよ......後悔だけはしない様にな」


 この人はゴンさんと言って、私がこの月光薔薇騎士団を立ち上げて、最初に仲間にした人だ。彼は、頭もよく作戦の立案や、実行をやってくれている。


「わかっています...この組織を立ち上げてから、私のやるべきことはすでに決まっていますから、後悔をしている暇はありませんから」


「そうか......」


 私はゴンさんが何を言いたいのか、理解することはでない。私は、人の考えを読むことが苦手だ...それで、沢山の人に迷惑もかけてきた。

 私のせいで、沢山の人を殺してきてしまった。そのことに後悔はないと言えば嘘になる。だが、誰かがやらなければならない。

 世界を変えるとは、そういうことなのだ......それが例え、誰も望まなくても...この世界は、神のおもちゃではないということを証明しないといけないのだから。


「ゴンさん!私、今までやってきたことに後悔はしていません!ここには、もういない仲間達の分まで私が...必ずこの世界を変えて見せます、だから...ゴンさんも迷わないで下さい!そのための仲間です!」


「そうか...そう思ってくれるのか...ありがとう少し楽になったよ」


 私の言葉選びがあっていたかは分からない。ただ、これでゴンさんが何かに吹っ切れてくれれば、前に進める様な気がする。


「お待たせ、それじゃあ世界能力に変わる力の説明をするね?」


「お願いします!」


「じゃあまず、世界能力がどんな物か、簡単でいいから答えてくれる?」


「神が人に与えた力?」


「うん!悪くない答えだ、次にこれが君に与える力...術式と呼ばれる力だ、君はこの力がどんな物か分かるかい?」


 さすがにこの質問は、難しいかな?でも、必ずこの質問には答えてもらわなくてはならない。なぜなら、適正者だからといって、そう簡単に扱える代物ではないからだ。

 一歩間違えれば、力にすべてを奪われてしまう。それで、何人もの同胞の悲鳴を聞いてきた。その者達は、力を制御できず、力に飲み込まれた者達だ。


 力に振り回されて自殺してしまった人や、私が殺した人だっている。私はもう、目の前で気が狂う人を見たくない。みんな、何かしらの後悔を残して逝ってしまった...だからこそ、みんなを先導している私が引き継がなければならない。


「難しく考えないでいい、さっきと同じように簡単に答えてくれればいい」


「......」


「どうかしたの?」


 ティアフォルトは口を開かない。それどころか、固まったかのように術式から目を離さない。


「すぅ、はぁ...その力は、人の身では持ってはいけないもの...そういう力だと思います」


「「「「!?」」」」


 周りからは、どよめきの声が広がっていく。それもそうだろう。今の発言は、ここにいる人たちに喧嘩を売る様な発言だ。ここにいるみんなは、自らの意志で術式という不明な力を手にしたのだ。それを、否定されれば当然キレるだろう。


「おい!さっきから黙って聞いて見れば......」


「ゴンさん......」


「小僧は今、ここにいる全員を馬鹿にしたんだぜ?それなりの理由があるはずだ、言ってみろ...それが、ただの憶測による物なら、さすがにお嬢が連れてきたガキだろうが、仲間に入れることはできねぇなぁ」


 ゴンさんの圧がすごい。ただ、覚悟を決めた男というのは、以外と強いものなのか、ゴンさんに物怖じすることはなく、話を進めていく。


「この力は、魔力?を変換して、僕たちの様な人にでも扱える様にしたものと言っていました...」


「言ったわね、そもそも人間には魔力を見る視覚を持っていない...魔力を感じることができないんだよ」


「ではなぜ?創造神様は、魔力という見えない物を僕たちに与えたのでしょう?」


「それは......」


「僕のお母さんはこう言っていました『魔力は第二の心臓』だと......」


ティアフォルトの言っていることは、私は荒唐無稽だと思う。

 魔力が第二の心臓?ならなぜ、私たちにはその魔力というものをなぜ感知できないのか...疑問が沸いてくる。

 だがそれは、今の私達には関係のないことだ。問題なのは......


「それで?今更怖じ気づいたのか?そんなこと俺たちは重々承知していることよ、どうせいつ死ぬかも分からないんだ、なら...弱さも認め、強さを手に入れる...それが例え、地獄の入り口だとしてもな!」


 ティアフォルトの言うとおり、魔力は第二の心臓と言ってもいいかもしれない。だがここに入る時に、すでに死の覚悟はできている。

 一度術式を見ただけで、ここまでの危険性を理解するのは、そうそうできないことだ。この子の潜在能力なのか、はたまた......


「一つだけ言っておく...引き下がるなら今だぞ?ここから先に踏み入れれば、お前はもう戻れなくなる...確実にな」


「帰る?そんな選択肢あるわけないじゃないですか?僕はもう逃げない!術式の継承を受けて、必ず自分のものにして見せる!」

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