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高校入学前日
俺は知っている。この世界には重なった別の世界があることを。俺は知っているその世界に巣喰うモノは脅威であることを。
◇◇◇
ジジジッ…ジッジジ……
ノイズが走る。
ミーンミンミンミンと蝉の声がうるさい日差しの中、僕は見えてしまった。人であり人ならざるものを。俺は見ていた。そいつに両親が食われるところを。そいつは俺を見て笑う。
ジッジジジ……ジジ……
またノイズが走る。
『ねぇ、……くん。大きくなったら私と……になってよ。約束だよ』
笑顔で女の子がこちらに手を伸ばしてくる。手を取るために腕を上げた。
上げた腕は骨と皮のような腕。
あれ…?こんなんだっけ…?
◇◇◇
ジジジジジジジジジジジジジッ!
「ッ!?」
けたたましい程の目覚ましの音がなる。まだ少し覚醒してない頭で目覚ましを止める。
なんだか嫌な夢でも見てたみたいだった。内容はあんまり覚えてない。思い出したくないだけかもしれないが。
「高校入学前に嫌な気分だな…」
明日は高校の入学式なのだ。