銀の庭における合戦
屋根と道路が白銀の朝
顔上げて校門をくぐる
ああ やっぱり始まっていたか
グラウンドで雪と遊ぶ学友
サンネンダケシギョウマエノジシュウハナシ
ヒゴロノジュケンヅカレヲフキトバシテキナサイ
すりきれたカセットテープのような
教師のメガホンを追い越す
足元の雪をつかみ とりあえず丸める
狙いは こいつか あいつか
おっすの代わりに戦友の
背中に投げて奇襲をかけた
戦友のまぬけな声に
静かに笑うお嬢さん
真っ先に冬をあげたかった君の
首にはいちご牛乳のようなマフラー
君にマフラーを巻いた人は
冷えを憂う母か 父か
それとも 考えたくはないけれど
未来を誓ったイカした男か
昆布よりもつややかな
お嬢さんの髪に雪玉を
ふわりと届けられたなら
蜜のようなsmileをくれるだろう
天の花だったお嬢さん
なぜおれと同じ志望校
これは神か仏が与えた
paradiseへの試練なのか
銀の庭を軽やかに
歩く君のやわらかな
雪より儚いその御手を
とって桜を眺めたい
あとがき(めいたもの)
改めまして、八十島そらです。雪をガラスの鉢に盛って、かき氷のようにしていただきたいです。蜜は、みぞれでしょうかね。
若さゆえに有り余る活力と、受験勉強の疲れと鬱憤を解き放つために、雪遊びはいかがでしょうか。私は雪を丸めるよりも、袖についたひとひらの結晶の形を観察するような人間でした。