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心配したんだから 2

「関わるな???

 ふざけんじゃないわよ!!」

佐伯はそう言った。


降りしきる雨の中。

愛され系と言われるかわいい顔をゆがめて。


顔を真っ赤にして怒ってた。


「泉野さんが嫌がるから私は真理って呼ぶのを止めた。

 泉野さんが嫌がるから私はあなたに声をかけるのも止めた。

 泉野さんが嫌がるから私はあなたに関わらないようにって思った。

 だけど!!」


いつだってまぶしかったのは。

佐伯のこのまっすぐな瞳だった。


決してぶれないまっすぐな瞳。


「でも!!泉野さんがここで倒れてて!!

 私はただ屋上の鍵を閉めに来ただけで!!

 でも屋上のドアが開いてたから覗いたら泉野さんがうつぶせで倒れてて!!」


私は心臓が止まるかと思って!!

佐伯は続けた。


「あなた息してなかったのよ???

 私が呼び掛けても反応がなくて!!

 もう戻ってこないのかと思って!!」


制服が泥にまみれようが。

どんな雨に打たれようが。


佐伯はそんなことはものともせず。

私をにらんでそう言った。


「助けてほしいだなんて私は言ってない!!」


私も意固地で。

気が強くて人を傷つけるから。


私が思わずそう言ったら。


「そんなことどうだっていい!!

 ただ置いて行かれるほうの身にもなってよって言ってんの!!」


私はそれを聞いて。

反論できなかった。


団で一緒だった。

佐伯凛子の兄貴は。


数年前にバイク事故で昏睡状態に陥り。

うちの親が言うには。


つい半年前に昏睡状態から脳死判定を受けて。

亡くなったと。


そう聞いていたから。


私はその時だって。

佐伯凛子に何も声なんかかけなかったんだ。

ていうか。


声をかけられなかったんだ。


「置いて行かれるほうってね。

 けっこう辛いんだよ。」


それはきっと心底からの叫びだ。

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