いつだって私だけ 2
「あ~ほら。一矢。
それはさ。後でいいじゃん?」
私は自分の声で目が覚めて。
気づいたら府立1高の前に立っていた。
「てか。真理~。」
「ああ。ごめんね。
今日はどうしても無理なんだって。」
どう考えても私の声で。
気持ち悪いと私は思ってた。
いま流行りのドッペルゲンガーとかいうやつじゃねえの?
とか。
てか。そいつに遭ったら死が近いとか?
てか。そうか。
私は死んだのか??
いろんなことを思ったわけ。
そう言って。
その声の主は私に迷うことなく近づいてきた。
「あ。待ってたよ!!
ずいぶんと遅かったんだねえ??
あ。挙動不審。」
私が彼女を見て。
かなり引いてるのがわかったのか。
彼女は。
金色の長い髪をかき上げて。
「きっとね。
生きるのも悪くないよ。」
そう言った。
は??
冗談じゃねえ。
他人にとやかく言われたかねえ。
私はそう思ったけど。
声が出なかった。
私は死にたいんだ。
てか。私は死んだんだろ?
あんたは私の顔をして。
きっと死神だろうと思った。
「思考が私と同じだもんね。
泉野真理さん。
私が尖がって頑張って生きてた時のあなた。
ずっとずっと苦しくてたまらなかったあなた。」
私は彼女に心臓のところを指さされて。
「生き抜くのにつらくて。
死にたいって毎日思ってて。
みんなの中にいるくせに孤独を抱えて。
それはきっとあなたの糧になるんだ。」
彼女は私の瞳を見つめて。
「だけど私は心から笑えるようになったんだ。
あなたも私なんだからなれる。
私はあなたであなたは私。
もしかしたら私は死神かもしれない。
だけど。私はあなたが…。」
その時光がさして。
彼女が笑って言ったのを覚えてる。
周りに支えられて生きているのに気付くのってきっと難しいよね。
「泉野さん!!泉野さん!!」
私はひどい雨が降りしきる中。
屋上で倒れてたと。
私がいちばんクラスで毛嫌いしていた佐伯の声が聞こえた。