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寄り添う山羊

 サトウは黙って睨み付けるだけで答えない。しばらく睨み合っていたが黙ったままだったので、このままでは埒が明かないなと千秋は矛先を変える。


「答えたくないならいいわ、それじゃ別の質問。キジマ達とはいつから繋がっていたの」


サトウはドキリとした顔になる。


「な、何の事だ」


「とぼけても無駄よ」


千秋はスマホにあるキジマがサトウ会っている画像を見せる。


「キサマいつ……」


「探偵を雇ったの」


いちいち説明するのも面倒だから、すべてノブ、いや探偵の仕事にすることにしようと千秋は思った。


「そうか、だからさっきの画像も」


「そうよ、キジマの事を調べていたら課長が接触していたので、課長のことも調べてもらったの。当然、スズキさんとの事もね」


スズキはもう泣き止んで、千秋とサトウの話を黙って聴いていたが、千秋の言葉に身を縮ませた。


「課長、横領はスズキさんの為ではないですか」


サトウは答えない。千秋はスズキに向かい訊ねる。


「スズキさん、直接話すのは初めてね。課長の為かな、ジムにまで来てスパイみたいなことをしたのは」


スズキの身体がさらに縮こまる。


「盗撮でもする気だったみたいね。でも出来なかった。良心が咎めたの? それとも気が弱いのかな」


 土曜日、千秋は蛍のジムの更衣室で着替えた。千秋が着替えるのはほとんど蛍の部屋だが、それはトレーニングの後、そのまま蛍の部屋で遊んでいく為で平日の夜遅くは帰宅するので更衣室で着替えている。


 スズキの不審行動は蛍の経営者としての目にひっかかった。つぶさに監視したところ、どうやら千秋が目当てらしい、それがますます蛍の目を厳しくさせる。


 そして千秋からの情報で調べるに至り背景が分かった。スズキは千秋の弱味、たとえば着替え中の裸もしくは下着姿を盗撮するのが目的だと推察にいたった。


 ならばそれを逆手にとり、盗撮する姿を逆に盗撮してやろうと計画して、土曜日はわざと更衣室で着替えたのだった。


だがしかし、それは不成功に終わった。


 千秋は蛍が用意した防犯カメラが映りやすいロッカーで着替えた、そこにスズキが盗撮をしたところを撮るために。しかしチャンスはあったのにスズキはそれをしなかったので、不成功に終わったのである。


「その気の弱さがキジマ達につけこまれたのね」


「佐野、もうやめろ!!」


サトウが吠えた。


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