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その4

 千秋はリダイアルをすると、2コールで一色が出る。


「あ、チーフ、何度もすいません。お訊ねしたいことがありまして」


「よかったわ、私も伝えたいことがあったから」


「何です、チーフの方から話してもらえますか」


 千秋はさっき母達から聞いた話と、コンペの時の財団側の動きを話した。


「僕もコンペの時どうだったかなと思い返してみたんです。チーフと同じ感想でした。一番若手が一番落ち着いていた感じでしたね」


「となると、あの若手がキーマンなのかな」


「少なくとも無視できない存在と思っていいでしょうね」


「そうね。一色君からの話したいことって、なに」


「チーフから頂いた資料を読み返してたんですけど、ちょっと気になる事が見つかりまして」


「気になる事って」


「財団側の3人のうち2人が、キジマ達と同じ大学出身なんですよ」


「ええっ」


 千秋は自分の分の資料を鞄から取り出し、目を通す。たしかに、課長と係長が同じ大学だった。


「見落としていたわね、どう受けとればいいと思う」


「会社を越えた学閥があるというのはどうでしょうか」


「同じ大学の後輩を贔屓しようとして、出来レースをしたと。あり得ない話ではないわね」


(となると、力関係はどうなる。キジマはコンペに出られない、学閥を理由に贔屓は出来なくなるだろう。おそらく幹部候補生の若手社員が一番のキーマンか?いやいや、上下関係を無視するということはないだろう、なら決定権は課長? 若手社員? )


「チーフ?」


一色からの言葉にハッとした。


(いけないいけない、また思考の穴に嵌まりこんでいたな)


「ごめんなさい、考え込んでいたわ。どうにも頭がまわらないわね。やっぱり明日の朝に話し合いましょう」


「わかりました。ゆっくり休んでください。ではまた明日の朝に」


そういって一色は通話を切った。


 時間を見ると、いつもの就寝時間にはまだはやい。風呂も入ったし、夕食もすんだ。テレビを見にリビングに行ったらまた母達の質問攻撃にあうだろう。


「……寝るか」


そうしよう、あとは明日の私に任せようと、千秋は明日の用意をした後、少し早めに眠りについた。




「どうしたのテンマ」


「ん、チーフからの新情報」


一色は筋トレ中のオンナに、千秋からの情報を話す。


「ふーん、そうなんだ。相手がいなくなったから無駄になったかと思っていたけど、まだそうでもなさそうね」


「使いどころの判断が難しいな、僕にできるかな」


オンナはこたえなかった。

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