その2
「……うん、そう、今夜はケイのところに泊まるわ。じゃあねお母さん、おやすみ」
ドレスを脱ぎ、シャワーを浴びた後、蛍から借りたラフな部屋着で、リビングのフロアに寝転びながらしていた電話をきる千秋。
「うちに連絡した?」
続いてシャワーを浴びた蛍が、バスタオルを巻いた姿で、リビングにくるとスキンケアの道具を出して、寝化粧をはじめる。
「うん、お祖母ちゃんに連絡したかったんだけど、もう寝てるって」
「じゃあ明日は早く帰って安心させなきゃね」
時刻は午前2時近くになっていた。
明日は明日でやる事があるから、早く寝るつもりだったが、先程までの出来事のせいか、なかなか寝つけずにいる。
無理矢理寝ようと、リビングに敷かれた布団に潜り込み、千秋は目をつむった瞬間、蛍のスマホに着信がはいる。
こんな時間に誰だろうと蛍がスマホを手にすると、小山からであった。蛍が通話にする。
「あ、ケイ、ごめんね遅くに」
「いいよ、まだ起きていたから。それよりどうしたの」
「千秋居るかな、居るならかわって欲しいんだけど」
「居るけど……、どうしたの」
蛍は千秋にスマホを渡す。
「もしもし、ハジメ、どうしたの」
「あのね、あんたの調書をとらないといけないの」
「そうなの?」
ケイは千秋の上に馬乗りして背中から密着して、そば耳をたてている。
「キジマ以外の4人は、素直に自供しているの。みんなキジマに命令されたってね」
まあそうだろうなと2人は納得した。
「キジマに命令されて千秋を襲う目的だったんだけど、勘違いしてアタシを襲ったんだってね。だからあんたの行動を調査しなくちゃいけないの」
「まあそうね、それなら分かっているつもりよ」
「で、こっちが問題なんだけど、キジマがあんたに襲われたって言っているのよ」
「はあぁ?」
「自分は嵌められたって、あんたの挑発的な態度と言葉に我慢出来なくて、態度を改めるように注意しにいったら[うるせえ、あたいに指図するんじゃねぇ]って言われて蹴られたって」
「んだとぉ、あの野郎ぉぉ」
思わず立ち上がりそうになったが、蛍がいい重しになって、そのままの姿勢でいれた。
「だからその事も訊かれる事になると思うの。となると、あんたがあの場に居る事と、あんたとアタシが顔見知りっていうのは知られるとまずいんじゃない」
「うっ」




